2022.10.29

【インタビュー】奥田瑛二が赤裸々に明かす…「天知茂さんの付き人だった俺の青春」

僕の先輩に映画スターが!

将来は映画俳優になる――。小学5年生のとき、映画『丹下左膳』の大友柳太朗を観てそう心に誓った僕が、天知さんの存在を知ったのは高校3年生のときでした。部活のラグビーに明け暮れて、授業中はいつも居眠りばかり。そんな高校生活を送っていたある日のホームルームでいつものように居眠りを始めたところ、担任の先生がこんな話をしたんです。

「我が校には有名な卒業生が二人いる。一人は政治家の江崎真澄。もう一人は映画スター天知茂だ」

映画スターという言葉に、僕はパッと目が覚めました。俺の先輩に映画スターがいる! 眠気もすっかり飛んで、『映画スター・天知茂』の存在が僕の中に記憶されたんです。

映画スターになるためには、まず東京。そのためには東京の大学に進学という大義名分がないと、親は絶対に地元から出してくれないのはわかっていました。当時、僕の父は市議会議員だったので、なおさら地元への愛着は強く、案の定、名古屋の大学に行けと言う。だから僕は父に訴えました。

「お父さん、これからは中央の時代になる。だから東京に出て勉学に励み、名古屋に帰ってきて25歳で市会議員、30歳で県会議員、40歳で国会議員になるから、東京に行かしてくれ」

そんな大嘘をついて、条件付きで東京に出させてもらったんです。その条件とは愛知県出身の衆議院議員の部屋住みの書生をして、勉学と政治の世界を学ぶこと。父は息子のひそかな野望など想像にもなかったと思います。

名古屋の御園座にて。奥田が父(右)との記念撮影を頼むと天知は快諾した 写真提供/奥田瑛二名古屋の御園座にて。奥田が父(右)との記念撮影を頼むと天知は快諾した 写真提供/奥田瑛二
 

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