2022.10.29
# 週刊現代 # 宗教

【インタビュー】僧侶・釈徹宗が「宗教ってあなどれない」と実感した、広島、バチカン、エルサレムのこと

故郷にも忍び寄る過疎化の波

大阪府池田市にある如来寺(浄土真宗本願寺派)の長男として生まれました。

提供:釈徹宗

池田市の南部は阪急電車や幹線道路が通っていて便利なんですが、お寺がある北部は田舎なので、最寄りバス停まで歩いて15分もかかります。

そこからバスに乗って駅までさらに20分です。公共交通機関を使うと相愛大学まで片道2時間もかかるので、毎日の通勤はもっぱら車になります。

如来寺の周りは植木屋さんだらけですね。昔は庭に立派な松や槙を植えていたお宅も多くて景気がよかったんですが、今は公共事業を担当するような会社形態の植木屋さんでないとなかなか厳しいそうです。気付かないうちに少しずつ過疎化も進んでいますね。

 

ハトに襲撃されたのが原体験?

鮮明に覚えている一番古い記憶はハトに襲撃されたことなんですよ(笑)。

1歳ぐらいかな。エサを持っていたら、ものすごい数のハトがぶわぁって集まってきて、あまりの恐怖で泣いたんです。周りの大人たちが笑っていたのもショックでしたね。

でも、号泣している僕を母が抱きあげてくれて。あの時の「ああ、よかった、助かった!」っていう安堵感は今でもハッキリ覚えています。恐怖の中から救い出されたという記憶のおかげで「人を信頼する」っていう僕のベースができたのかもしれないですね。

大きくなってからその時の写真を見つけて、西本願寺に家族で行った時のことだったと判明しました。その後、お坊さんになるわけですから、西本願寺は僕にとっていろいろな意味で原体験の場なんでしょうね。

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