女性向けキャリアスクール「SHE likes」を運営するSHEさんが大規模資金調達のリリースを発表されました。
引用:日本経済新聞
その金額なんと18億円とのこと。すごい金額ですね..
足元の業績も非常に好調のようで、今回の発表と同時に採用ページも公開されておりました。
インパクト人材を求むと謳われたそのページでは、詳細な事業KPIなども公開した170ページに渡る採用資料が公開され、非情に良い仕上がりに。ですが、キャリアスクールとして最も大切な「スクールとしての成果」が抜け落ちており気持ちの悪さを感じたのでご紹介します。
まず売上のスライドより、売上は16億円、前年比150%成長とのこと。
引用:SHE採用ページ
続いて継続率などの数値です。LTVは驚異の31万円。
引用:SHE採用ページ
引用:SHE採用ページ
長期目標も公開されておりました。
売上100億円、営業利益35億円とのこと。営利率35%ですか…素晴らしいですね。。
コミュニティの自動化率についても気になる。
採用資料に抜け落ちた「社会課題を解決しているのか」という視点
採用資料では、熱いメッセージが数多く書かれておりました。
SHEを通じて下記資料のような男女の賃金格差など社会問題を解決するという内容です。
引用:SHE採用ページ
一方で170ページで一切触れられていない内容があります。
それは、「SHElikes」を受講した生徒の所得がどのように変化したかというデータです。
資料では下記のように有料会員数が6000人いると開示されているのですが、この方々の所得がどうなったのかという点は一切触れられておりません。卒業生に関しては6万人以上と公表されています。
引用:SHE採用ページ
キャリアスクールの究極目標は「売上を上げること」でもなく「チャーンされないように管理する」ことでもなく、【受講者の所得を改善すること】のはずです。
満足度という数字は開示されておりましたが、キャリアスクールを謳うのであれば、卒業生の所得・キャリアがどう変化したのかを示すべきだと感じます。
資料内ではSHEの中で循環させ、実質無料で受講させるというような記載もあり、マッチポンプ的な事業ではないかと不安を感じました。
引用:SHE採用ページ
満足度調査ではなく、本当にキャリアスクールとして対価を払った見返りを提供できたのか、そのような視点を書くべきではと感じた次第です。
資料のデザインや構成は非常に良かったのですが、その一点が最も重要であるにも関わらずSkipされているのはわざとなのか、追っていないのか。
もし追っていないのであればキャリアスクールとして謳うのであれば、追うべき指標であると感じます。
スタートアップ匿名アカウント界隈でもSHEについてのツイートをまとめた
匿名アカウント界隈でも賛否のSHE調達ニュースでした。
「年収があがる」という謳い文句のプログラミングスクールが大量に立ち上がり、結果的に低スキルのエンジニアが増えたように、そのような事にならなければよいなと感じます。
今回の資料、事業としての収益性の高さやサブスクリプションでの安定収益などは魅力に感じましたが、一方で170ページに及ぶ資料の中で、スクール参加者の受講結果という最も重要な要素が抜け落ちている、その一点に非常に気持ち悪さを感じました。
ビジネスとしては受講者を滞留させ、月額を徴収し続けるのが正解かもしれません。ですが、キャリアスクールを謳う以上は「参加者をいかにより良い就労環境を提供し、卒業させたか」をより資料で書くべきです。
顧客への価値提供がビジネスの本質であり、ビジネスの最終成果は売上や利益ではなく「価値提供」です。本来、価値提供の結果として売上や利益が続くもので、逆転させてはいけないのです。
SHEがどのようにして「SHE 評判」などの検索結果を肯定的な意見にしたか、などの情報もSuan公式 LINEでは配信しております。
(今後そのような記事も執筆予定です、Suan公式 LINEで速報を受け取りましょう)