5.天王山はへルソンから半島に至る戦い
前述の地勢・地形的特性、ロシア軍の戦力の損失から、今後のウクライナ南部の戦いを総合的に予想するならば、ウクライナ軍は早ければ11月中から12月までに、遅くとも冬季には半島奪還の可能性があるということになる。
もしも、半島がウクライナに占拠されることになれば、プーチン大統領は、今年2月24日以降、多くの犠牲を払ってウクライナ侵攻を行ってきたことのすべてを失ってしまう。
では、ロシア軍はどのように戦うのか。
ロシア南部軍は、戦況が不利になり、半島が奪還されそうになったとき、奇策を使ってでも阻止に努めるしかない状況に追い詰められる。
具体的には、「汚い爆弾(ダーティー・ボム)」あるいは化学弾(剤)を使う。
最後の手段として低出力で小型の核を使用する可能性もある。
汚い爆弾を使う予想地域
半島占拠に至る戦いは、この8か月間の戦いとは異なる。
海空を加えた総力戦となり、烈度の強い戦闘になる。しかし、ロシア軍はこれまで多くの損害を受けている。動員兵は、戦える兵ではない。
プーチン大統領が「総力戦で戦え、防御陣地を死守せよ」と号令をかけても、一時的には戦えても、半島でのロシア軍の敗北は明らかだ。