4.後方の生命線まで叩かれているロシア軍

 ウクライナ軍は、半島を取り戻すことがこの戦いの最終目標と考えているだろう。

 へルソンから半島に至る戦いが、この戦争の最大の焦点と考えて準備しているに違いない。

 ウクライナ国防省の情報によれば、ウクライナ兵の損失は、ロシアの6.5分の1という。もともとロシア軍よりも戦力が少ないことから、それでも大きな損害となっているとみてよい。

 とはいえ、ウクライナは総力をあげて戦っている。兵の補充もあるし、負傷兵の治療と回復も行われている。

 戦いでは、5月頃から自爆型無人機の攻撃で戦車・装甲車・火砲を破壊し、8月頃からHIMARSなどの長射程誘導ロケットや砲弾を使って第1線部隊や弾薬庫・指揮所を破壊している。

 9月には半島に位置する飛行場への攻撃、10月には半島とロシアを繋ぐ橋の一部を破壊した(ウクライナが実行したとは発表していない)。

 ウクライナ軍は、ロシア軍の兵器や兵員のほかにも、弾薬や燃料も破壊した。

 戦車や装甲車に燃料がなくなれば動けなくなる。ロシアと半島を繋ぐウクライナ大橋の一車線を破壊し、残った片側の1車線や鉄道用の橋も、ウクライナ軍の射撃目標になっていることだろう。

 ロシア軍は兵站物資の補給に制限を受けるし、撤退する路も遮断されたとみてよい。