テキサス大学オースティン校の神経科学者であるアレキサンダー・フート氏らの研究チームの研究発表です。
この研究発表にある、機能的磁気共鳴画像(fMRI)とは、「電磁波を当てて脳の血流を測定することで脳の働きを読み取る技術」です。そのため、頭に電極を埋め込む必要がない代わりに、ニューロンの信号を直接読み取るデバイスと比べると、どうしても解析に時間がかかり、リアルタイム性に欠けるという難点がありました。
しかし、研究チームは対象者が考えている言葉を一語一語解読して行く代わりに、機械学習を用いた人工知能(AI)モデルで脳の高度な思考の意味を読み取ることで、この問題を解決しました。
頭に電極を埋め込む必要がないので、置き換えていうと、「インプラント」を必要としない、「非侵襲」的な方法であるということです。加えて、今回の研究発表は、「電磁波を当てて脳の血流を測定することで脳の働きを読み取る技術」です。
従って、頭部に電磁波を遠隔から照射できる距離を延ばせば、テクノロジー犯罪被害で報告される、「思考盗聴」被害と同じような技術になってしまい、加えて、「インプラント」を必要とせずに、対象者の思考が読めてしまうという技術になってしまいます。
最近、「侵襲」、「非侵襲」に関わらず、このような研究発表が増えています。医学・医工学の分野で、「思考を読む」技術が、本格的に実用化される前に、昨年、発表されている、チリの憲法に加えられた「神経の権利」を広く周知し、このような技術が悪用されることを事前に防ぐために、法整備をする必要があると考えます。
学術的な学会などの規定にも、「神経の権利」を前提に、研究を進めるようなルールも必要でしょう。
「神経の権利」の考え方が、広く知られることにより、テクノロジー犯罪被害者も、救われる日が近づいて来るものと考えます。今後の医学・医工学の分野の研究者、技術者の動きに着目して行きたいと考えています。