現在、『母体保護法』には「経済的理由による人工妊娠中絶」を認める条項があります。
私は中絶に苦しむ妊婦さんと赤ちゃんの命を救ういのちを守る親の会の会員ですが、経済的理由による中絶を容認する条項は将来的に廃止するべきであるとは考えているものの、今の時代においてはやはり経済状況への不安に苦しむ方は少なくないと思います。
しかしながら、今の『母体保護法』においては堕胎が医師による利権と化している実態があります。中には、赤ちゃんが大きくなってから堕胎をする方が多額の受診料を取れるというので、妊婦さんに中絶可能な22週ギリギリまで妊娠させて、赤ちゃんが大きくなってから中絶の手術をするようなお医者さんもいる、と言います。
これだと「母体保護」ではなく「利権保護」であって、妊婦さんの心身の負担も大きいですし、赤ちゃんの命を愚弄していると言わざるを得ません。
私はこれまで「政府紙幣発行による月20万円の子供手当支給」といった政策を提案してきましたが、そうした政策が実現すると経済的理由による堕胎は大幅に減るでしょうけれども、この政策が実現するまでには多くの時間がかかります。かと言って、「胎児虐殺」を利権としている今の医療利権複合体を野放しにするわけにもいきません。
そこで、医者の裁量で堕胎が行われている状況を改善するため、第三者によるチェックを義務付ける法整備を行うよう、いのちを守る親の会の内部で提案したところ、経済的理由による堕胎に保健師を介在させる法整備を会として提示することになりましたので、紹介します。
日本の「母体保護法」「経済条項」の問題に帰ろう。医師が妊婦の「病気」や妊婦の「体調」を理由に、母体保護の観点から中絶手術をするというのならばあり得る話かも知れない。戦前、戦中も「医療中絶」というのはあり得た。しかし「経済状況」を理由に「中絶」をするというのは全くもっておかしな話である。「母体保護法」には「経済条項」と言う項目があり、「経済の理由で堕胎ができる」という事になっているが、医師は「経済理由」など専門外の話であるのだから、「それはいけません」とか「どうこうしなさい」などといえる話ではない。だったら、「思わぬ妊娠」や「都合の悪い妊娠」である場合、「経済的理由」という大義名分をつけて多くの人が大事な赤ちゃんを中絶してしまうのである。なんと惨(むご)いことであろうか。それにしても「経済的理由」とうのは「時間的理由」と同じで、「あるといえばあるが、ないといえばない」のである。かつて「NHK」が「貧困特集」の番組を作ったが、多くの同情を集めた貧困女学生が、学費はないけれど、豪遊するお金はあったという暴露記事が出て、全国の同情した視聴者の口が、あんぐり開いたままだったとか・・。大きな話題になった。まことに、笑うに笑えない話である。事は「命に関わる事柄」で、子を産むお金はないが、デイズ二ーランドの年間パスを買うお金はあるというお話。私は現で何度も聞いて、驚いたものである。中絶理由は「貧困」などではなく「娯楽過多方」による「借金」と言うのが実に多いのである。例えば、車を買うのに200万300万のローンを組む。また、家を買うのに頭金500万入れて、土地を担保に銀行で2000万300万円借りる。それなのに、なぜ、赤ちゃんを産むのに「40万円」出せないのだろうか。「車」や「家」などは代えがききます。 しかし、いのちだけは代えがきかないのです。あなたが殺されたら「あなたの人生に絶対に代わりがない」ように、その「お腹の赤ちゃん」には代わりが絶対にいないのである。 私の経験ではお母さんがいのちを掛けて「この子をどうなっても、私は守ります!!」 「いのちをかけてもいい。」こう言って守れなかった赤ちゃんは殆どありません。10代後半の女性でもそうなのです。まして、お金などは、本気でしたら、どうにかなるものです。助成金の話をします。中絶したい人は、何にでも、経済的理由として理屈を付けるかも知れない。「子供を1人育てるのに3000万かかるらしいでしょ。」「うちは、子供は2人で十分。6千万以上は無理。貧乏になっちゃうわ。」 3人で9千万円よ。もしそれが事実なら、6人子供がいる私はどうなるのだろうか?「いのちの中に経済があるので、経済の中にいのちがあるのではないのである。」ここを勘違いしてはいけない。それから「1人子供を育てると3千万円罹るというのは大きな嘘である。」 興味のある方は「いのちを守る親の会」の「唯物的養育費の嘘を斬る!!いのちは唯物論に嵌(はま)らず!!」を検索してお読み下さい。
堕胎を行う人間というのは、不幸な人間です。堕胎をただ断罪するだけの方も、亦「中絶は女性の権利」と叫ぶ方も、いのちに対する同慈同悲の心を失っている方です。
いのちには絶対の価値があります。いのちを線引きする優生思想は、絶対に認められません。
ところで、経済的理由による中絶を行う人には、本当に経済的に困窮している方もいれば、子供の命よりもお金を優先してしまう経済状態の方もいるでしょう。どちらも不幸な方です。
医師は経済的事情の専門家ではありませんし、堕胎を利権にしているような医者の手にかかると、そう言う方は我が子を殺すという悪業を積む一方で、何も救われないまま人生を終わるということになりかねません。
中絶をしようか悩む方に対しては、ともすれば堕胎によって金儲けをしようとする医者ではなく、利害関係のない別の専門家による相談を義務付けることが必要です。
保健師というのはそれに相応しい職種であると言えます。
保健師のなかでもっとも数が多いのが行政保健師ですが、その仕事内容は生活習慣の改善や母子健康といった保健指導のほか、結核や新型インフルエンザといった疫病・感染症、難病や心身の障害、認知症、思春期、虐待、DV、うつ、依存症、生活困窮などの相談や支援といったものです。
行政保健師は地方公共団体の保健所等に勤務しています。他にも産業保健師や学校保健師もいます。
こうした保健師の職務内容には、貧困に苦しむ人の生活指導も含まれます。また、単に肉体の健康を見るだけでなく精神的な健康も対象です。経済的理由による堕胎に悩む方への公的な相談相手としては、まさに相応しい職種です。
逆に、子供を守るのは究極的には母親しかいませんから、保健師の指導を受けても「いや、殺す」という母親であるならば、それは仕方ありません。しかし、そういう妊婦さんは実際には少数であって、「助けの手」さえあれば子供を産んでいる方も多いことは、いのちを守る親の会がこれまでに何百人もの赤ちゃんの命を救ってきた実績からも明らかなのです。
民間団体の守る会でも多くの命を救ってきているのですから、それを公的な制度として専門家である保健師を介在させると、より多くの命を救うことが出来る事は、明白です。
よく「堕胎をしなくても虐待死するぐらいならば、堕胎をした方がマシ」という方がいますが、保健師だと「無事出産すると終わり」の医師とは違い、子供が生まれた後の生活まで手厚く支援することが出来るのです。(医師にも妊婦さんに真摯に寄り添いたい方もいるでしょうが、生活指導が本職である保健師の方がそれを行いやすいことは明白です。)
救える命は救わないといけません。未だに公式に届け出があるだけで年間10万件以上の堕胎が行われているのに、行政がそうしたいのちとその背景にある様々な問題に目を瞑るのは、認められることではありません。
『日本国憲法』第25条には政府に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する義務が定められており、第97条ではこうした権利が「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたもの」であると定められています。
まさか、堕胎が健康で文化的だという方はいないでしょうし、お腹の中の赤ちゃんは紛れもない「将来の国民」なのです。
届け出のない中絶も含めると何十万人、一説には年間百万人を超えるとも言われる赤ちゃんの命を救うために、「医師の裁量」で堕胎が野放しになっている現状を改善し、堕胎を行う前に「保健師の介在」を義務付ける法整備の導入を強く提案させていただきます。