東京進出からまもなく1年を迎える蛙亭が、2月21日(日)に「ネコの日イヴ」と題した単独ライブを開催する。オズワルドは2019年、2020年と2年連続で「M-1グランプリ」決勝に進出しているが、誰よりも近くで見てきた岩倉は、今回の単独ライブに向けてどんな影響を受けているのだろうか。
東京に進出してからの1年間をあらためて振り返りながら、「男女コンビ」としてのスタンスや、ふたりそれぞれのこれからの目標、蛙亭としての野望に迫る。
取材・構成:鈴木梢 撮影・編集:和田拓也
芸人は、何が起きても最低限の暮らしで生きていける
──蛙亭のおふたりは2020年4月に大阪から東京へ拠点を移されたわけですが、2020年はどんな1年間でしたか?岩倉 東京に出てきてすぐ6月まで自粛期間で、周りからは「大変だね」とか言われましたけど、みんな大変だからっていうのもありますし、不安とかはそんな感じなかったですね。実家から何か送ってもらったり、周りの先輩芸人さんに助けてもらったりもして。
芸人仲間と話してたんですけど、芸人って、何が起きても最低限の暮らしで生きていけるんですよ。何があってもアホみたいな話して笑ってられるし、お金かけずに楽しめるから、本当に芸人で良かったなって。 中野 そういう、どんな状況下でもなんとかできるっていう意味で言うと、自粛期間中に版画始めたとか、なんか特技を身につける人が多くて焦っちゃいましたね。僕は絵を描いてましたけど。
岩倉 6月からはありがたいことにたくさんお仕事をいただいて、お給料もぜんぜんなかったのにゼロ数えるような額になっていて、えぐっ!って思いました。
中野 コロナ禍にもかかわらず、しかも何か賞レースとかで優勝して出てきたってわけでもないのに、たくさんお仕事いただいて。
岩倉 ちょっと……ニヤニヤが止まらない。
中野 東京ドリームって感じですね。
岩倉 実感だけじゃなくて、大阪から仲良かった人たちから「すごいな!」って言ってもらったり、劇場でもいろんな人たちから「やばいな!」「めっちゃテレビ出てるじゃん!」とか声かけてもらったりして……東京、いかついなって。
中野 大阪にいたときも東京の番組のオーディションを年に何度か受けてましたけど、東京に出てきてからはその機会自体も数もぜんぜん違って、かなり増えましたね。
──実際、「売れてきたな」という実感は、周りから声かけてもらう以外にどんなことで感じますか?
中野 それこそ、こういう取材とかされると。あとは、ネタ番組とか出ると、前は紹介文が「男女コンビ」くらいだったのが、「今きてる若手」とか「ネクストブレイク芸人」とか書かれるようになって、そうなのかな?って思うようになって。 ──特にきっかけになったのは、なんだったと思いますか?
中野 やっぱり『ゴッドタン』(テレビ東京)ですね。2020年3月の放送で皆さんが僕らの名前を出してくださって、「蛙亭、気になるね」ってことで4月にすぐ呼んでいただいて……『ゴッドタン』がなかったら今頃ぜんぜん違う状況になっていたんじゃないかと思います。
「男女コンビ」を組もうとして組んだわけじゃない
──まだまだ女性がお笑いをやると“女芸人”と呼ばれたり、ネタやキャラクターに「女性」を求められることもありますが、「男女コンビ」としてのスタンスはどう考えてますか?岩倉 たとえば男性同士とか女性同士のコンビでカップルネタとかやると、片方が変装することがあるじゃないですか。私たちは男女で組んでるから、見たまんまでネタの世界に入り込みやすいかなと。男女とか関係ないネタもやるんで、「男女で組んでてラッキー!」くらいです。
──たまたま男女で組んで、せっかく男女だからその強みを活かすときもありつつ、柔軟にネタを作っている感じですかね。
岩倉 そうですね。でも、最初から「男女コンビを組もう」として組むと、うまくいかないんじゃないかな。実際、周りにそれでうまくいかなかった人たちもいましたし。「男女コンビなんだから、もっとそれを活かしたネタやったほうがいいよ」とか言われたこともあるけど、私たちは「男女コンビ」を組もうとして組んだわけじゃないし、組みたかった相手がたまたま異性だっただけなので。
──岩倉さんと一緒にルームシェアをされているオズワルドの伊藤さんが『M-1グランプリ2020』決勝に進出しましたが、仲間の活躍はその後のネタ作りに何か影響しましたか?
岩倉 伊藤くんのM-1決勝進出は、やっぱり特に刺激を受けましたね。毎日一緒に暮らしてて、ネタを細かく直している姿とかもずっと近くで見てきて、すごいな……と思ってたんで。ニッポンの社長さんとかロングコートダディさんとかも、コント師でありながらM-1の準決勝に進出されているのとか見ると、やっぱり漫才もやりたいなと思います。 中野 僕はコントも漫才もどちらも好きなんですけど、やっぱり漫才は難しさを感じますね。
岩倉 NSCのときとかは漫才やってたんですけど、掛け合いとか、息を合わせる難しさとかを感じるようになって、コントだけやるようになったんですよね。でも伊藤くんから刺激を受けて、今は漫才もやりたいってすごく思ってます。
「最低でも1本、賞レースに出せるネタをやる」
──岩倉さんと中野さんそれぞれ伺いたいのですが、今後やってみたいのはどんなお仕事ですか?中野 CMのナレーションのお仕事を二度やらせていただいたんですけど、楽しかったのでまたやりたいです。あと、絵を描くのが好きなので作品を描きためたら個展をやりたいなと思ってます。ポケモンが大好きなので、いつか公式イラストのお仕事をしたいですね。ポケモンカードのイラストを描くのが夢です。
──ひとつもお笑い関係なくて笑いましたけど、すごくいいですね。ちなみに過去にアムロ・レイのモノマネをされていたと思うのですが、モノマネとかはされないんですか?
中野 高校生のときレジ打ちのバイトしてて、チンピラから「アムロに声が似てるね」って言われて真似したらめちゃくちゃスベッたのがトラウマで。やってと言われればやりますけど、自分からは絶対にやらないです。 岩倉 私は、もっと他事務所の芸人さんたちともユニットライブとかやりたいですね。あんまり大阪は他事務所の方々と何かやることがないので、東京に出てきてからそういった機会がけっこうあって楽しいです。
──おふたりそれぞれではなく、蛙亭としての野望についても伺いたいです。
岩倉 やっぱりまずは、「キングオブコント」優勝。お正月のネタ番組とかもいっぱい出て、「史上空前!! 笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ」(TBS)にもいつか出たいですね。あとは、全国ツアーをしたいです。私が宮崎、中野さんが岡山出身なので、地元凱旋ライブできたらいいなって思います。
中野 もちろん賞レースでの優勝は目標ですけど、ネタ番組とかたくさん出て、とにかくずっとネタをやっていけたらいいなと思うんですよね。
── 2月21日(月)の単独ライブは猫の日前日の開催で「ネコの日イヴ」というタイトルですが、披露されるネタと猫は何か関係あるんですか?
岩倉 ぜんぜん関係ないです。今までの単独ライブは「ネタをやりたいんや!」とか意気込みをタイトルにすることが多かったですけど、今回に関してはマジでなんにも関係ないです。
中野 いつもポスターのデザインを僕が担当してるんですけど、飼っている猫の写真を並べたので、それをぜひ見てもらいたいです。本当は全部猫の写真で埋め尽くしても良かったんですけどね。
──最後に、単独ライブが気になっている読者の方々におすすめコメントをください!
中野 僕はまだネタ全然知らないんですけど(2月12日時点)、とりあえずガワだけで言うと、映像とかもありつつネタ盛りだくさんで、あとオープニングのVTRをいつも僕が手描きのアニメーションで作っているので楽しみにしていてほしいです。1か月くらいかけて描いてるので。僕の役割はそれだけです。
岩倉 最低でも1本は「賞レースに出せる」と思えるネタをやりたいと思ってます。今まで以上に賞レースを意識した単独ライブになるかもしれません。この単独ライブで初めて私たちのネタを見る人もいると思いますし、そういった方々に見ていただきたいネタを用意するので、ここからどんなネタで賞レースに挑むのかとか考えつつ、一緒に楽しんでいただけたらなと思います。楽しみにしててください!!
お笑いもPOPに
イベント情報
「蛙亭単独ライブ ネコの日イヴ」
- 開催日時 :2020年2月21日(日)開場14:40/開演15:00/終演16:00
- 会場 :ヨシモト∞ホール(〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町31−2)
- 出演者 :蛙亭
<チケット>
全席自由席
料金:前売2000円/当日2500円/配信1200円(Go To割引適用後)
一般発売:2020年1月30日(土)10:00
チケットよしもと:https://yoshimoto.funity.jp/
■有料配信あり■
オンライン配信発売: 2020年1月30日(土)10:00
発売 :オンラインチケットよしもと https://online-ticket.yoshimoto.co.jp/
0件のコメント