(2ページ目)ついに逮捕!「4億級納車トラブル」渦中の元社長が転落するまで | FRIDAYデジタル

ついに逮捕!「4億級納車トラブル」渦中の元社長が転落するまで

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経営が順調だった頃の小谷徹容疑者(写真:被害者提供)

転機となったのは2011年。52歳のときに長野市議会議員選挙に出馬し、大敗。そのあたりから経営状態が悪化した。開業当初は5人いた社員の整備士は給料がまともに支払われないことが増えてだんだんと辞めていき、人手が確保できない場合は近所のガソリンスタンドやカーショップに丸投げしていた。そのため、整備やタイヤ交換での利益もほとんど期待できなくなった。2020年の年末に脳梗塞で倒れたことも追い打ちをかけた。

本来であれば会社の「顔」となるトップが、従業員に対しても顔向けできないほど経営状態が悪化すれば、当然、顧客に対してもまともに向き合うことなどできない。小谷の脳梗塞は重篤な状態ではなかったようだが、小谷自身、自分が倒れたことを非常に腹立たしく、情けなく思っていたのだろう。「早く家に帰らせてくれ!」と病院内で大暴れし、半ば追い出されるようにして1か月弱で仕事に復帰している。

左半身に麻痺が残り、杖での歩行を余儀なくされていたが、右半身は問題ないため車の運転はなんとかできていた状態だったという。体が不自由になったことで、納車を待つ購入者や車検や整備などでつながりができた客へLINEを送り、営業活動にますますいそしむようになる。

だが、昨年12月28日以降はLINEのやり取りもぷっつりと途絶えた。どうやら被害者とやり取りしていた携帯電話は解約して連絡が取れない状態にした模様。しかしその一方で、被害の実態を知らない客には見積もりを出し、お金を入金させ、質問に回答するなどの営業活動を続けていたことも判明していた。実際、今年に入ってから320万円を入金した被害者もいた。その後、やり取りをしていた客に対して1月15日の夕方から夜にかけて突然、「入院します」とのメッセージを送った後は連絡を断ち、行方をくらませていた。

経営が傾いて社員に顔向けできず、長年付き合いのあった顧客を裏切るしか生きる道がなくなった小谷容疑者はもはや、姿を消すしかなかったのかもしれない。

小谷容疑者は今回逮捕されたが、同容疑者の度重なる“裏切り行為”で納車トラブルに巻き込まれた人々の怒りが収まったわけではない。今後の捜査によって、どのような解決策が示されていくのか。引き続き、取材を続けていくつもりだ。

経営が軌道に乗っていた2013年頃、「もっと車で遊ぼうよ」の合言葉や社是、長野運輸支局からの表彰状にたくさんの注文票がならぶデュナミスレーシング店内
小谷容疑者が被害者に入院することになったことを伝えたLINE(被害者提供)
2月末にリニューアルが終われば店を再開させる意向を示したLINE(被害者提供)
2011年、52歳のときに長野市議会議員選挙に出馬したが大敗。その頃から経営状態が悪化した(被害者提供)
今年初めに撮影されたデュナミスレーシングの店舗写真(被害者提供)
すでに解体され、跡地には唐揚げ専門店ができるという(被害者提供)
  • 取材・文:加藤久美子

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