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舞ちゃんは　１８歳。
航空工学を学ぶ　大学生になりました。
（佐伯）飛行機に興味ないですか？ないよな。ない。
（佐伯）飛行機に興味ないですか？どうぞ。
ありがとうございます。（舞）ありがとうございます。
見てみ　これ　なにわバードマン。かっこええやろ。
かっこいい～。これ自分らで作ってんねん。
へえ～　すごいです。
見てみ。　あれがプロペラや。これも　自分たちで作ってんねん。はあ　すごい…。
（佐伯）飛行機はな　人が空を飛ぶんやで。夢しかあらへんやろ。
主翼…？
舞　運命の出会いでした。
（由良）触ったら　あかん！あっ…。
ちょっと　あんた　何すんねん！ごめんなさい！
すいません…。（由良）よかった　折れたん１枚だけか。
これ作んのにみんなが春休みかけたんやで。
どないしてくれんの？（玉本）まあまあ　由良わざとやないんやから。わざとやられたら　たまりませんよ。
（鶴田）てか　新入生？
人力飛行機に興味あんの？
全然ないです。え…。私も。えっ。
行こ。
ええから　行き。
ホンマすいませんでした。
♪～
♪「公園の落ち葉が舞って」
♪「飛び方を教えてくれている」
♪「親切にどうも」
♪「僕もそんなふうに」
♪「軽やかでいられたら」
♪「横切った猫に」
♪「不安を打ち明けながら」
♪「ああ　君に会いたくなる」
♪「どんな言葉が　願いが景色が」
♪「君を笑顔に幸せにするだろう」
♪「地図なんかないけど歩いて探して」
♪「君に渡せたらいい」
♪「道のりと時間を花束に変えて」
♪「君に渡せたらいい」
♪～
触ったら　あかん！あっ。
はあ…。
（浩太）どないしてん？
ううん。
あんな　大学に飛行機作ってる人らがおってん。
おっ　ほんで　どんな飛行機や？
人力飛行機。ふ～ん。
発泡スチロールで出来たリブがズラ～ッと並んでてなぁ。
発泡スチロールで　リブ作ってんのか。せやねん。
へえ～　面白いなあ。
（めぐみ）授業は　どない？楽しいで。
よかった。　しっかり勉強して飛行機作れるように頑張り。うん。
そや　お父ちゃんの作ったねじも使てな。うん！
楽しみやね。
あれ　お父ちゃん　時間やで。あっ　ほな　工場行ってくるわ。
今から？うん。大変やなぁ。
難しねじ　頼まれてな。
いや　かなんわ　ハハ。　参った　参った。
気ぃ付けてな。行ってらっしゃい。
お兄ちゃんから電話あった？
ないねん　何やってんねやろね。
どっからも内定もらえんと落ち込んでんのと違うやろか。
え…。
もっかい電話してみるわ。うん。
[℡]
♪～
[℡]
誰やろ？
もしもし。[℡]（久留美）あっ　舞？　私。
久留美？　どないしたん？
（久留美）実は　今日な　携帯買うてん。
[℡]ホンマ？　ほな　この番号…。
うん　私の携帯。[℡]うれしい！これで　いつでも電話できるな。うん。
[℡]ほな　またゆっくり連絡するな。まだ　お店の片づけ残ってんねん。ああ　そっか　お疲れさん。
[℡]うん　ほなね　バイバイ。（不通音）
相変わらず忙しいなぁ。
よいしょ…。
（津田）彼氏？友達です。何や。
お父さん　仕事決まったんやて？はい。
今度は　続いたら　ええのになあ。
ホンマですよ。ホンマやで。
久留美ちゃんは　看護専門学校の１年生。
生活費を補うために放課後は　ここでアルバイトをしています。
♪～
ただいま。
（佳晴）お帰り。
似合ってるやん！
え～　そうか？うん。
朝まで一人で大丈夫か？いや　私　いくつやと思てんの。
学校の課題やるから一人の方が集中できてええわ。
まあ　そやな。　行ってくるわ。気ぃ付けて。はいはい。
火の元だけ気を付けえよ。うん。
日常のあらゆるもの。例えば　コマでも　天体でもこのように運動方程式を作ることができれば物体の運動は　求めることができます。コマのジャイロ効果も飛行機が空を飛ぶ理由も説明できる。ただ運動方程式を解くには大事なところを見抜いてそれ以外は　無視して…。
失礼します。
何の用？
昨日は　ご迷惑をおかけしました。
私に　直すお手伝いさせてもらえませんか。
そない簡単なもんちゃうねん。
帰り。
この翼…。
ホンマきれいやったから。
私にできること　何かありませんか。
その翼　好きなん？
ほな　入るか？　うちのサークル。え…。
この翼の美しさが分かるんやろ。飛行機　一緒に作ろ。
はい　よろしくお願いします。うん　よろしく。
（部員たち）よろしく。（拍手）
名前は？
岩倉　舞です。岩倉です。
僕らも　１回生です。
よろしくお願いします。
よしゃ　ほな　いろいろ説明するわ。こっち来て。
はい。
はい　入って。失礼します…。
気ぃ付けてな。はい。
２回生の由良冬子　パイロットや。
あの人が　パイロット。
なにわバードマンの一年にいっぺんの晴れ舞台が　イカロスコンテスト。
毎年７月　全国の人力飛行機サークルが琵琶湖に集まってどんだけ遠くまで飛べるか競うんや。これが　去年の俺らの飛行機。そんで俺が　去年のパイロット。
人力飛行機のエンジンや。アハハハ。
（鶴田）パイロットが　ペダルこいでプロペラに動力を与えるんや。プロペラが飛行機の推力つまり　前に進む力を生み出して…飛ぶんや！
すげえ…。（鶴田）すごいやろ。　なあ。
やることはシンプル。
一年かけて飛行機作ってたった　いっぺんの晴れの舞台で飛ばす。
そんだけや。　せやけどそのシンプルなんが難しいねん。
度重なる苦労が　自分らみたいな希望に満ちあふれた１回生をこんな疲れ切ったおっさんに変えんねん。
やかましわ！
プロペラを作ってるんがプロペラ班の玉本と西浦。
あっ　よろしく。お願いします。
（鶴田）次　向こう行こか。はい。
こっちや。
パイロットの脚からプロペラまで動力を伝える駆動部分を作ってるんが胴体班の佐伯。おんなじ胴体班で　パイロットが乗るコックピットを作ってる渥美。
そんで俺が　翼班の鶴田。
担当は　ヨク。　ツバサや。
空さん　おる？（玉本）あっ　おったで。どこや。
空さん。
（鶴田）あれが　空山さん　永遠の３回生。
うちは　３回生の夏の大会を最後に引退するのが決まりやねん。
せやから　ずっと留年して３回生やってはる。
担当は　まあ　いろいろ。
（刈谷）鶴田。ん？ちょっとよか？
こいつが刈谷。今年の飛行機　スワン号の設計者や。
何や。ちょっと相談なんやけど…。
コクピ接合部分のエポキシ樹脂まだ固まっとらんかもしれん。
ほな　強度足りへんかな。この前の気温も低かったけんね。動かすの　念のためもう一日　待ってくれんね。
これが　設計図…。
ここにいるのは自分たちの手で　人が乗れる飛行機を作ろうとしている人たちだと思うと何だか胸が熱くなる舞ちゃんでした。
おっちゃん　こんばんは。（八木）うん。
（貴司）舞ちゃん。
貴司君　やっぱり　おった。
貴司君は　高校卒業後システムエンジニアの職に就きました。
（貴司）どないしてたん？
私な　人力飛行機のサークルに入ってん。人力飛行機？
ああ　あの　テレビでやってる…。うん。
なにわバードマンいうんやけど飛行機　好きな人がいっぱい集まってんねん。ふ～ん。
それにな　翼がきれいなんや。
繊細やのに力強くてなでっかいのに軽くてな。
よかったな　ええもんに出会えて。
うん。　貴司君は　どないしてたん？
忙しいわ。　システムエンジニアいうても営業もせな　あかんし。
そうなんや…。うん。
そや　初任給もろたら　ごちそうするな。
久留美ちゃん誘って　どっか食べに行こ。
えっ　３人で集まんの久しぶりやな。うん。
♪～
小さいけんって　気ぃ抜いちゃいかんよ。
これが　いいかげんやとうまく操縦できんくて危ないけんね。
はい。はい。はい。
あっ…。え…。
ごめんなさい。
青春は　始まったばかり。
頑張れ　舞ちゃん！
これは　もう駄目やね。