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2009年06月09日

エレキギターの塗装について

本日はエレキギターの塗装について書きます。

皆さんご存知だと思いますが、エレキギターの塗装は3種類あります。
ラッカー塗装とポリ塗装、そしてオイルフィニッシュ。

ラッカー塗装とはニトロセルロースラッカーを用いた塗装で、木が呼吸するのでギターの鳴りが良いと言われています。塗膜の硬化には時間がかかります。ゴムやシンナーで溶けてしまう性質の為管理が大変です。

ポリ塗装はポリウレタンの化学反応で塗膜を硬化させるので、作業時間が短く、そしてシンナー程度では解けない非常に強固な塗装です。管理も簡単です。

オイルフィニッシュは塗料を使わず、木部の保護の為のオイルを染み込ませる手法です。利用していると人間の皮脂を吸い込んで黒なってしまう難点があります。



セルロースは元々軍用の爆薬の原料で、大戦後アメリカに余っていたセルロースをペンキに利用する事になりました。そこで戦後大量にニトロセルロースラッカーが用いられるようになったと言われています。

ラッカーは乾燥に時間がかかります。通常で1ヶ月ほどの乾燥期間が必要な場合が多く、その為の塗装工程の長期化とコストで、現在はメーカーにとって敬遠する塗装となっています。

フェンダーやギブソンもラッカーフィニッシュを仕様にしているギターが多いですが、このラッカーフィニッシュと言う言葉が曲者です。実はフィニッシュとは仕上げと言う意味なんです。つまり、塗装自体はポリウレタンを使用して、最終のトップコートと呼ばれるクリア塗装をラッカーで行っているのです。

えっ!?って思う方も多いと思いますが、ギブソンやフェンダーがオールラッカーでやるのは、カスタムショップの高級ラインが中心です。
と言うことはラッカーが呼吸するなんてありえませんね。下がポリで塗装されているんですからね。

と言うか木が呼吸すると何故ギターの鳴りが良いのでしょうか?呼吸する事自体都市伝説であり、誰も実証などしていません。ましてや、呼吸する事がギターの鳴りに影響しているなどあるのでしょうか?
ならば、オイルフィニッシュは凄く鳴ると言えますよね。塗膜形成をせずオイルを染み込ませて木部の保護をしているのですから・・。
私の印象でオイルフィニッシュが特段鳴るとは思えないのですけど・・・。どちらかと言えば肌触りの良さで愛好しているとユーザーが多い気がします。

ポリ塗装は2種類の薬品を混合し強制的に硬化させる塗料を用います。通常は24時間ほどで完全硬化します。
工場などでは次の工程に入りやすいので重宝されていますし、塗装が薄くても塗膜が硬いので木部の保護と言う観点でも優秀だと思います。
ただし、一度に大量の塗装をするような環境に無いと、塗料はその日で使い切りになるのです。ある程度の規模のある工場でなければ出来ませんね。週に1回ギターの塗装をするような個人工房がポリをやれないのは無駄が多いし設備投資出来ないからです。
すると、出来ない事は否定しますね。ポリなんて駄目でラッカーが最高なんだと・・(笑)

私の主観はポリの塗装が薄いのがベストだと思います。それによって何かがスポイルされると思えないからです。
ラッカーの管理の面倒さを考えればなのですけどね・・・。

ビンテージの62年ストラトのラッカーは気温が25度超えると柔らかくなってしまい、ハードケースの内張りの繊維がくっ付いて、ケースから出そうとするとバリバリと音を立てました。
友人はギブソンのLPを皮のストラップごとケースに入れて保管していましたが、数ヵ月後見事にストラップの跡がボディーについてしまいました。(私がコンパウンドで綺麗に修理しました)
中古で仕入れたLPは長年シールやステッカーを貼っていました。実はシールやステッカーの粘着にはシンナー成分があります。数ヶ月では問題無いのですけど、数年経って剥がすと見事に跡が残ります。
ギタースタンドのゴムで焼けたギターの多い事多い事。うんざりしますね(笑)

塗装の下地処理でサンディングシーラーと言う物を吹きます。これは木の導管を埋めて塗装が均一に伸びるようにする為に使いますが、これからラッカーを使うギターなんて殆ど無いでしょう。

私はラッカーが嫌いなわけではなく、下地からのオールラッカーの極薄の塗装をプロヴィジョンからしてもらった事があります。これは、素晴らしいと思いました。
管理が面倒な事は別問題とすれば薄い塗装は鳴りやすいと言うことが好きなだけですね。

ちなみに、ギブソンはホットガンと言う濃度の濃い塗料を温めて一気に吹き付ける塗装法を利用しています。その為、あのボテッとた感じの塗膜になるんですね。コントロールキャビティとかを見ると納得します。

結局は個人の好みの問題なのです。ギターなんてのは所詮嗜好品の一部なのですから自己満足の為にあるような物です。自分の趣味趣向を最大限に取り入れる事こそが大事なんですね。

ただし、メーカーがやっている事は少々胡散臭いので書いてみました(笑)


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posted by えれちおやぢ at 12:36| Comment(4) | TrackBack(0) | ちょっと秘密の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
よくぞ書いてくれました。
ギター塗装の都市伝説。
迷信って、イヤになりますよ。
Posted by zx900 at 2010年04月11日 23:11
これから一本ギターを自家塗装する予定ですので参考にしたいと思います
Posted by じゅん at 2011年03月18日 02:29
オイルフィニッシュについてですが少し誤解があられるようです。

個人で処理されたものは色々あると思いますが、一般的なメーカーでオイルフィニッシュと呼ばれるものは、酸化重合で硬化する乾性油(亜麻仁油など)をベースにしたもので処理したものが多いと思います。

この乾性油というのは、固まるといってもそんな硬度の高い皮膜を形成する訳ではなく、言い方は悪いですが”出来の悪い塗装”みたいな感じです。

仮に固く皮膜を形成するとすれば、それは添加されたものが作っている皮膜でしょう。

不乾性油による処理では、長期間の保護は望めず、ほとんど生木に近く、湿気の影響も大きいです。

また乾性油よりも木材に浸み込む量も多いので、音の鳴りへの影響もバカに出来ないと思われます。

オイルフィニッシュは作業が簡単(失敗のやり直しが楽)ですし、一見一番木の自然な音が引き出せそうですが
おっしゃって居られるとおり、余り楽器には向いてない処理であると思います。
Posted by 通りすがりで失礼します at 2011年09月30日 21:15
はじめまして。
とても勉強になりました。思い込みが剥げ落ちました。

伝説的な海外のギタリストが使用しているのはフェンダーにしろ、ギブソンにしろ、オールラッカー塗装のギターばかり・・・(究極はスティーヴィー・レイ・ヴォーン)。

僕は経年変化の起きないポリウレタン塗装を敬遠していましたが、利点があったのですね。

ブライアン・メイのギターはニスの刷毛塗りのように思われます。
Posted by たいく~ん at 2012年07月11日 23:01
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