沖縄県内の新型コロナ感染者数が1日5千人を超えた。なぜ異常に多いのか。沖縄タイムスに読者から「他県より検査を多くしているからでは」と意見が寄せられた。県によると県内の1日当たりのPCR検査能力は約2万8千件で、全国平均の1・5倍。全国に目を向けると、濃厚接触の段階では検査しないなど、自治体によって対応が異なる。沖縄県の担当者は「限られた医療資源を守るため」と積極的な検査の意義に力を込める。(社会部・銘苅一哲、平良孝陽)
■濃厚接触では検査せず
感染者数と検査の関係に疑問を抱いた読者によると、静岡県浜松市で暮らす娘が濃厚接触者になった際、PCR検査を受けずに1週間自宅待機し、症状があれば医療機関を受診するよう、市から指示を受けた。
沖縄タイムスは浜松市に電話取材した。担当者は濃厚接触者のPCRは妊婦や透析患者に限定しているとした上で「接触者が検査で陽性になっても、その場で薬を処方できるわけでもない」と説明。症状がある人を優先することで保健所や病院の負担は軽くなると強調し、「無症状の濃厚接触者を検査する意味はなくなっている」と話す。
一方、沖縄では県が中部と南部の2カ所に濃厚接触者用の検査場を設置し、無症状者に対する民間検査の無料化も継続している。
■抗原キットの普及も進む
県ワクチン・検査推進課によると、県内の1日当たりのPCR検査能力は行政と民間を含め最大で約2万8千件。厚生労働省が5月20日にまとめた各都道府県のPCRの検査能力は平均1万8917件で、現在の沖縄は平均の1・5倍の検査で感染者を洗い出している。
また、県は6月に感染の中心だった小中高の児童生徒と同居者が自宅で検査を受けられるよう抗原定性検査キットを配布し、1日400世帯まで受け付けた。市販の抗原キットの普及も進み、19日には680人の感染が抗原検査で判明するなど感染者数の増加の一因となっている。
■なぜ真逆の方針を継続?
なぜ国や県外の自治体と真逆の方針を継続するのか。県の担当者は島しょ県で他地域からの支援が難しく医療資源が限られる中、早期に感染者を発見し拡大を防ぐ狙いがあると説明する。
こうした意識は医療現場も共有している。医師の1人は「離島県の沖縄では感染力の強いオミクロン株は感染者の早期発見、隔離が重要だ」と話しながら、医師以外の薬剤師による治療薬の投与を認めるなど制度を改正することで病院の機能を維持する必要性を説いた。

















































