“英傑たちの詩(バラッド)”について青沼Pを直撃!

 上記のまとめは、あくまでダイジェスト。観ていただければ、そのおもしろさが伝わるはずだ。そして、番組終了後、青沼プロデューサーに、今回の番組と“The Game Awards 2017”の感想、そして、“英傑たちの詩(バラッド)”についてのミニインタビューをさせていただいた。

青沼英二氏(あおぬまえいじ)

『ゼルダの伝説』シリーズのプロデューサーを歴任。最新作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』でもプロデューサーを務めた。(文中は青沼)

――番組、お疲れ様でした。青沼さんが感じた今回の見どころは?

青沼 やっぱり、青木さんのディープぶりと、水木さんの意外なプレイっぷりですね。こういうプレイでやってきたのか! と。

――チクチク積み重ねて来たからこその、1000時間なんでしょうね。

青沼 そうなんですよ。だから、細かいテクニックを全部知らないとできないゲームじゃないんだ、幅広いいろいろな人たちに楽しんでいただけるものになっているんだと、再認識できたので、ものすごくうれしかったですね。

――水木さんとライネルとの死闘は熱かったですね! 途中でリンゴ食べまくったり、“ウルボザの怒り”を覚えたりして。

青沼 非常に白熱した戦いでした(笑)。またいろいろなテクニックを覚えていただけると、戦いかたも変わってくるはずなので、もっと楽しんでいただけるかなと。

――そして、先日の話題になりますが、“The Game Awards 2017”の“Game of the Year(以下、GOTY)”受賞、おめでとうございます!

青沼 ありがとうございます!

――受賞の模様が映像で配信されていましたが、あれは受賞できるかどうかはわかっていない状態だったんですよね?

青沼 そうなんですよ。授賞式で座っていると、どんどん海外のタイトルが出てきますし、何か得体の知れないアウェイ感みたいなものを感じてしまって……。日本のゲームはやっぱり難しいのかなって、妙に弱気になってくるんですよね。それで、イベントも終わりに向かっていましたから、藤林(藤林秀麿氏。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ディレクター)に「そろそろ帰ろうか」と話をしていたんです。そんな油断していたところに、GOTYの発表がどーんと来たものだから、頭が真っ白になっちゃって。立ち上がって藤林と抱き合いましたが、もう完全に無意識ですよね。そんな状態のままステージに上がって、僕が発した第一声が「サンキュー! アメリカ!」。お前は中学生かと(笑)。

――(笑)。

青沼 人はこういうときに何も言えなくなるんだなってよーくわかりました(苦笑)。

――でも、あの歓喜される姿は感動しました。青沼さん、興奮してるなーと。

青沼 いやいや、興奮も何もわからない状態だったんですよ。だからこそ、第一声がアレで。「サンキューアメリカ」は、あの後、開発スタッフからもけっこうイジられました……(笑)。でも、それくらいうれしかったです。

――本当におめでとうございました。そして、同タイミングで追加コンテンツ第2弾“英傑たちの詩(バラッド)”が、配信されましたが、今回のポイントを教えていただけますか。

青沼 第1弾“試練の覇者”は、より深くゲームの攻略を楽しんでいただくための内容になっていましたが、今回の第2弾は本編の物語を深掘りするものになっています。もちろん新しい試練の祠もありますし、神獣級のダンジョンも新しいものが追加されていまして、最後にはボスも登場します。また、映像でも告知していますが、“マスターバイク零式”というバイクが手に入ります。

――あの世界にバイクが登場するとは、衝撃でした。

青沼 あのバイクは、追加コンテンツ第1弾がリリースされるちょっと前に、開発チームに「バイクやっちゃダメ?」と提案したんですが、スタッフに猛反対されたんですよ。「あの世界でバイクなんてありえないですよ!」と。僕は現実でもバイクに乗っていることもあって、あの世界をバイクで走ったら気持ちいいだろうなーなんて言っていたんですが……。そうして反対はされたんですが、いろいろと開発を進めていくうちに、「やっぱり最後は何かインパクトがあるものを出したいよね」という話が出てきて。そこで、誰からともなく、「バイクですかね……」と話が出たんです。で、「なんだよ、みんなやりたかったんじゃん!」と(笑)。それで、バイクの開発が始まって、燃料補給に料理と同じように素材を入れるというのも自然と決まったりして。バイクに限らずですが、やると決めたら、スタッフがものすごい熱量を持って作ってくれるので、頼もしかったです。

――GDC(Game Developer's Conference)のときに、リンクがバイクに乗っている設定画が出ていましたよね?

青沼英二プロデューサーに聞く、『ゼルダの伝説 BotW』GOTY受賞と“英傑たちの詩(バラッド)”。水木一郎さん、青木瑠璃子さん出演のニコ生まとめも_08
GDCで公開された設定画の中に、バイクに乗るリンクが!

青沼 あれは、スタッフの“こんな要素があってもおもしろいよね”という提案のひとつとして出たアイデアですね。でも、そのときにはバイクを入れようという話はまったくなかったんです。

――それにしても、バイクひとつにしてもこだわりがすごいですよね。

青沼 今回のバイクは、いわゆるトライアルバイクで、うまくジャンプを使えば山も登れるので、ぜひ試してほしいですね。そして、『ブレス オブ ザ ワイルド』にとっては、これでうまくフィナーレを飾れたなという気がしています。

――やはりフィナーレですか……。

青沼 もちろん、今後も『ゼルダ』シリーズは続いていきますし、これだけ皆さんに支持をいただいた『ブレス オブ ザ ワイルド』ですから、これに負けないユニークなものを作っていきたいと思います。それが、いつになるかというと、難しいところはありますが、お待ちいただけるとうれしいです。

――こんなに支持されるものを作ると、次回作へのハードルがかなり上がっていますよね。

青沼 ハードルはとっても高いです(笑)。でも、また楽しい開発を続けていきたいと思いますので、ご期待ください!