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おこげ
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何度も会いに行く少女と、仙人 - おこげの小説 - pixiv
何度も会いに行く少女と、仙人 - おこげの小説 - pixiv
8,182文字
何度も会いに行く少女と、仙人
何度も会いに行き、恋から愛へと想いを育てる少女と、少女を大切に思うようになり、幸せになって欲しいが為に突き放す仙人がすれ違う話。

※特殊設定および、捏造あります。
※死の表現があります。
※ハピエンの予定です。

続いたら、名前変換ありの名前がつくかもしれない。

私は、魈様は自分の思いとか無視して自己完結して、大切なものを守ろうとする人だと思ってます。凡人とか弱い相手だと特に。

元々Twitterに載せたやつを加筆修正したものになります。
Twitter(gnsn夢用):【twitter/okogekashi_0725

素敵な表紙をお借りしました。ありがとうございます!
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2022年10月3日 07:05


あるところに、どこにでもいる何の力も持たない平凡な少女と人知れず妖魔を退治し続けている仙人がいました。

 そんな二人の出会いは、死に瀕していた少女を通りがかった仙人が助けた、というものでした。

 遠い昔のある日。少女が親の手伝いを済ませて、町はずれにある家へと帰ろうとしていた時、少女は運悪く妖魔に襲われたのです。  最後の一撃といわんばかりに目の前で振り下ろされる武器。痛みも温度も感じなくなりつつある体。目を開けているので精一杯な朦朧とする意識。

 まさに、少女の命は風前の灯火でした。

 

 そこに、黄金に輝く瞳の仙人が現れ、瞬く間に妖魔を一掃して消えかかっていた少女の命を救ったのです。

 少女は仙人に深く感謝し、恩返しの為に仙人と出会った所に足繁く通いました。礼はいらないと断りながらも心優しい仙人はそんな少女を放ってはおけず、用がある時は町の近くの橋で自分の名前を呼ぶよう言い含めました。仙人と少女が出会った場所は妖魔が現れる可能性のある危険な場所だったからです。

 そうして、恩返しだと言って、食事を持ってきたり、綺麗な花を摘んできたりしながら町の近くの橋で仙人を呼び続けました。  飽きもせず、何年もそれは続きました。



 しかし、そんな穏やかな日々は、ある日突然終わりを告げました。

 仙人との出会いから数年後、少女が仙人と約束した橋に来なくなったのです。  凡人、それも子どもの興味の移り変わりなんて早いものだと、仙人はほんの少しだけ寂しいような気がしながらも納得しました。猪突猛進のような少女のことだ。大方、好いた男でも出来て会いにこなくなったのだろう。仙人は、そう考えました。

 それから、少しの年月が経ったある日。仙人の耳に、あの約束の橋で仙人の名を呼ぶ声が聞こえたのです。あの凡人なのか。と、少しの疑問を抱きながら仙人が呼び出しに応えて橋へ現れると、そこに立つ存在に驚き、目を丸くしました。



   なんと、小さな()がいたのです。

   仙人はすぐに、その猫が少女であることに気がつきました。どうした。なんだその姿は、と仙人が問いかけるのに対し、猫改め少女は猫の言葉で、死んで生まれ変わったらこの姿でした。とあっけらかんと答えました。

 少女が約束の橋に来なくなったのは、心変わりでも興味を失ったからでもなく、流行病で死んでしまったから。ただそれだけだったのです。

 『ついこの間、記憶を取り戻した時は驚きました。不思議なこともあるものですね。』と、少女は笑い、仙人はこんなことがありえるのかと混乱しました。

 そこで、仙人は気がつきました。詳しい原因は分からないが、少女との出会い、つまり死にかけている少女を助けたときのことが関係しているのではないかと。自分の仙力を使って助けたから少女が生まれ変わる際に、死ぬ前の記憶を持って生まれたのではないかと。仙人の知る限り、少女はそれ以外は平凡な生だったため、仙人はきっとそうだと確信していました。

 仙人は、自分の考えた仮説を少女に話しました。そして、何とか解決する方法を探すが、自分のせいですまないとも謝りました。仙人は、ただの凡人であった少女を理から外れた存在にしてしまったことを申し訳なく思ったのです。

 しかし、それを聞いた少女が嘆く様子を見せることはありませんでした。

『じゃあ、もしまた生まれ変わって私の記憶を持っていたら、どのような姿であろうと必ずこの橋で貴方様を呼びます。その時は来てくださいますか?』

 少女の問いに、仙人は勿論だと頷きました。それを見ると、猫の姿のままの少女は嬉しそうに笑いました。

『私が私であることを知っている方がいる限り、私は幸せです。それも、私を救ってくださった仙人様が覚えていて下さるなんて、これ以上の幸福はありません』

 それはそれは幸福そうな様子で言いました。

 それもそのはず。少女は……恐れ多くも、あの日自分を助けてくれた黄金の瞳を持つ心優しい仙人に、淡い恋心を抱いていたのです。仙人である彼が長い時を生きる中で、【自分】という存在が消えずに共にいられる。  それは、少女にとって紛れもなく至上の幸福でした。



 それから、少女は何度も生まれ変わる度、約束の橋で仙人を呼びました。  少女は、鳥や犬、人間、などの様々な動物の姿で生まれ変わりました。時には、モンドや稲妻……璃月以外の様々な場所で生まれたこともありました。

 しかし、少女はどんな姿で生まれ変わっても、どんなに遠いところで生まれ変わっても、少女は必ず約束の橋で仙人のことを呼びました。そして、仙人も必ず少女の呼び声に応えました。

 その間、少女の仙人に対する想いは、少女の中で少しずつ育てられ、恋から愛へと変わっていきました。  いつの間にか、少女は仙人を愛するようになっていたのです。

 何度目かの生まれ変わりの時、少女は再び人間に生まれ変わりました。

 仙人とはどんな姿でも会話ができるとしても、久方振りに仙人と同じ人の姿に産まれることができて、少女は大層喜びました。その喜びの勢いで、以前の記憶を取り戻してからすぐ仙人との約束の橋へ向かいました。

 運良く璃月で生まれた少女は、約束の橋に辿り着くとすぐに仙人を呼びました。心の中で、仙人と会ったら自分の声で何を話そう、今度は人の身だから隣を歩くこともできる、と期待に胸を弾ませながら。

 そんな少女の呼びかけに、仙人は風の音と共に姿を現しました。しかし、少女の前に現れた仙人の様子はいつもとは違いました。どこか暗い雰囲気を纏い、俯きがちで、少女からは仙人の表情は見えません。

 様子がおかしい仙人に、声をかけようと少女が口を開く前に、仙人は言いました。

「もう、我とは会うな」

 仙人の言葉に、少女の伸ばしかけた手はピタリと止まり、まるで頭から冷水を浴びせられたように固まりました。

「どうして、」

 少女が口を震わせながら問いかけた言葉に、目を逸らしたまま仙人は何も答えませんでした。

「なぜ、何も言ってくださらないのですか」 「……すまない」 「なにか事情があるのですよね。それならば、私はその時までここに通い続けて待ちますから、」

 縋るように少女は言葉を重ねました。どうしても、仙人の言葉が受け入れられませんでした。  しかし、それに仙人はただ静かに首を横に振るだけでした。

「……必ず解決する方法は見つけ出す。その約束は違えない。だが、我には近づくな。もう会おうとするな」 「どうしてですか。約束してくださったではありませんか」

 とうとう堪えきれなかった涙が少女の瞳から溢れ落ちました。少女の涙に、仙人は大きく目を見開き固まりました。それもそのはず。

 仙人は長い間、生まれ変わりを繰り返す少女の色々な姿や表情を見てきましたが、少女の泣く姿を見たのは初めてだったのです。  やがて、その涙は止まることなく、幾度も溢れてこぼれ落ちていきます。

 仙人は肩を震わせて泣く少女に手を伸ばしかけました。しかし、その手は少女に届く前に止まり、固く握られ降ろされました。

 そして、仙人は痛みを堪えるように顔を歪めながら静かに言い放ちました。

「我は仙人で、お前は凡人だ。こんなにも長い間、交流を持つべきではなかった」

   酷い言葉でした。仙人の言葉は、少女の今までを全て否定しているようなものでした。少女は胸の奥の柔らかい部分を鋭利な刃で傷つけられたような心地がしました。

 これ以上はもう耐えられないと、少女は仙人が続けて何かを言おうとするのを遮るように口を開きました。

「それは。っ、…………あの日。妖魔に襲われていた私を助けたことが間違いだったということですか」

 人間離れしたような端正な顔に驚愕を貼り付けた仙人が少女を凝視しました。  何を驚いているのか。あなたが今しがた言ったことはそういうことだろう。少女は大粒の涙をこぼしながら仙人のことを睨みつけました。  皮肉なことに、その日初めて仙人と少女の視線が交わりました。しかし、少女は仙人から視線を逸らして、勢いのまま言葉を続けました。

「あとから拒絶するのならば、……どうして。優しくなんてしたのですか。約束を交わしたのですか。あの日、あの時、私を救ったのですか」

 少女は、ズキズキと痛む胸を押さえながら、俯きました。仙人が自分の言葉をどんな顔をして聞いているのか、見るのが恐ろしかったのです。少女の瞳から溢れる涙は、重力に従うようにぽつぽつと地面に広がっていきました。少女の口の勢いも止まらず、次々に仙人への言葉を捲し立てていきました。

「これから、私は一人で生きていけということですか。私を見捨てるのですか。なら、あの日どうして死にゆく私を見捨ててはくれなかったのですか」

 今、仙人にぶつけている自分の言葉が、どれだけ身勝手で酷いものか分かっていながらも止めることはできませんでした。

「…………こんなことになるのであれば。あのまま、野垂れ死ねばよかった」

 そう吐き捨てると、少女は袖で乱暴に目元を拭いました。あなたに出会わなければ、こんなに苦しい思いをすることも、惨めに泣くこともなかった。永遠に叶わぬ幻想を抱くこともなかったのに。

 胸の痛みを誤魔化すように、少女は顔を上げて黙ったまま何も言わない仙人を再び睨みつけました。

 仙人の表情を見た瞬間、ピシリと少女の体が固まりました。  酷く傷つき、今にも泣き出しそうな顔をしていたのです。

 どうして、あなたがそんな顔をするのか。と、傷ついているのは私の方なのに。と少女は思いました。  しかし、それと同時に酷い罪悪感を覚え、言ってはいけないことを言ってしまったと、約束をした日に己を責めるように謝る仙人の姿を思い出しました。

 すぐに少女は謝ろうと口を開きましたが、仙人の突き放す言葉を思い出して、言葉を紡げなくなってしまいます。何も言えなくなった少女は、仙人から逃げるようにその場を立ち去りました。

 少女は息が切れるのも構わず、走りました。

 走って、

 ひたすら走り続けて、

 息も絶え絶えになってようやく足が止まりました。

 随分走り続けた少女の足は限界を迎え、少女は服が汚れるのも構わずその場に座り込みました。少女はわずかにせき込みながら息を整えようと深呼吸を繰り返しました。

 あがっていた息が整い始めて、少女はどこまで来たのだろうと辺りを見渡すと、いつの間にか町から遠く離れた所まで来たようでした。    少し先を進めば崖のようになっているその場所は、少女のぐちゃぐちゃになった心を落ち着かせるのにちょうど良い場所でした。しかし、いくら落ち着かせようとしても仙人の言葉が頭から離れず、少女の瞳に涙が滲みました。    その時、ふと近くに咲いている花が目に映りました。

 それは、少女がよく仙人に贈っていたもので、

   仙人が好んでいる花、清心でした。

   誘われるように少女は、清心の花を摘み取りました。少女は、この花の香りが好きだという仙人の言葉を覚えていました。……そして、そう話す仙人が浮かべた普段よりも和らぎ穏やかな微笑みを覚えていました。

  少女は、仙人のその微笑みが一等好きでした。

 唯一、【自分】の存在を覚えてくれている仙人との穏やかな時間が、少女はなによりも大切で、好きだったのです。  きっと、仙人も自分の過ごす時間を悪くは思っていないだろうと思っていました。でも。

「……仕方なく、付き合っていただけだったのですか、」

   少女の悲し気な呟きに答える声はありません。ただ、清心の爽やかな香りが漂うだけでした。

 清心を見つめているうちに、少女の頭の中で次々に沢山の仙人との思い出が浮かびました。そして、……最後には、さっき見たあの酷く傷ついたような顔が思い起こされます。  初めて見た仙人のあの顔を思い出す度に、少女は……胸が、締め付けられるような心地がしました。

 しばらくして、少女は立ち上がりました。仙人にやっぱり謝ろうと考えたのです。今がどうであれ、あの時救ってくれて、今まで自分の存在を受け入れてずっと寄り添ってくれていたことには変わらない。今まで幸せを与えてくれていたのだから。

 だから。    手遅れになる前に、酷い言葉を言って傷つけてしまったことを謝ろうと、歩き出そうとした瞬間。

「っ!?」

 少女の背中にドンッと強い衝撃と痛みが走り、振り返った少女の目には木の棒を持ったヒルチャールが映りました。武人でもない少女の体は、ヒルチャールの攻撃で運悪く崖の方に突き飛ばされました。

 手に持っていた清心が手元から離れて、白い花弁が舞い上がりました。それは、ヒルチャールの攻撃の衝撃さを物語っていました。  崖を越えて宙に飛ばされた少女の体は、重力に従うように崖の下に落ちていきます。為す術なく落ちていく自分の体に、少女は死を確信しました。    あぁ……。今回は、ここで終わりなんだ。

 今回の死を受け入れようとする少女の目の前に、清心の花弁が見えました。思い出されるのは、勿論。仙人のことでした。  

 謝りたかったな。  次に会いに行く時には、必ず。もう、会ってくれないとしても、何度も通って謝りたい。  

 あの優しい仙人に、謝ってあの言葉は口から出たでまかせだと説明して感謝はしていても恨んでなんかいないと伝えたい。少女は思いました。  例え、自分の想いを伝えることはできなくても。そばにいることが許されなくてもいいから。繰り返される生が終わる時まで私のことを覚えていてほしい。そして、できることならあなたが許してくれる時に会ってくれればいい。    一生に一回でもいいから、自分の呼びかけに応えて会ってくれたら、それだけで繰り返される生と死の中で自分は生きていけるのだと伝えよう。  そう思いながら、少女は来る衝撃と痛みを覚悟して目を閉じました。    目を閉じた少女の瞼の裏に、最後に見た仙人のあの顔が浮かびました。今回の【私】が見たあの人の顔があんな悲しいものだったなんて。

 あーあ、……久々に人間として生まれることができたのになぁ。  

「――、ごめんなさい、」

 届かない謝罪の言葉を呟き、少女の意識は途切れました。

   ・    ・    ・

 ・  

「それで!?その後はどうなったんですか!?」 「…………えぇと、」

 興奮気味に頬を紅潮させて、身を乗り出してきた友人に思わずたじろぐ。どうやら、少女()の話は、【白鷺の姫君】と称されて人々から親しまれている彼女の興味を十分に惹くものだったらしい。      ハッと我に返ったらしく、友人もとい綾華は照れたように少し頬を桃色に染めながら座り直した。そんな彼女を微笑ましく眺めながら心の中でそっと呟く。  …………それにしても。今回も、運良く人間に生まれ変わることができたけれど、彼に会いに行くのは当分先になるだろうなぁ。

「……生きている間に、会いに行けるといいけど」 「?どうかしましたか?」

 小さく呟いたはずの独り言を聞かれていたようだ。先程よりは落ち着いた様子の綾華に首を傾げられ、呟いた言葉の内容を誤魔化すように私は苦笑いを浮べた。

「この物語の続きは、私にもわからないの」 「……、そうなんですか」

 少し落ち込んだ様子で綾華が肩を落とした。その姿に罪悪感が芽生えるのを感じながらも、私は曖昧に笑うことしかできない。だって、こればっかりはどうしようもない。私だって知りたい。私だって、あの続きを。……あの人にもう一度会いたい。

「そうですよね……仕方がないですよね、」 「仕方がない?」 「登場人物と背景から考えると、このお話は璃月の物語ですよね?」 「うん、そうだね」 「やはり、そうでしたか……そうなると、現在の稲妻で続きを知るのは困難になりますね」

 綾華は神里の屋敷から見える海へ視線を移した。綾華の言った【仕方がない】の意味が分かった。それは、私があの人に会いに行けない理由のひとつでもあり、今の稲妻が抱える大きな問題だ。  綾華に倣うように私も海へ視線を移し、神の意志を表すような雷雨に荒れた遠い海の先を眺める。

「これじゃあ、魈様に会いに行けないなぁ」     せっかく人間に生まれ変わることができたのに。今世の私が記憶を取り戻した時には、鎖国されてて会いに行くどころか稲妻から出ることができなくなっているなんて思いもしなかった。



 ねぇ、遥か海の向こうにいる魈様。

 これは、会おうとするなと、交流を持つべきではなかったと言ったあなたの言葉が正しいということなのでしょうか。  あなたに会いに行くなという神からのお告げなのでしょうか。





ーーーーーーーーー

   少女の声が聞こえた。

 我の名前を呼び、何かを告げる少女の声が聞こえた。弱々しくとても小さな声だった。助けを求めているわけでもなかったのに。近づくな。会おうとするな。と、自分勝手に突き放した癖に。考えるよりも先に、我の体は少女の声の元へすぐに駆けつけていた。

   後悔とは、後から悔やむことなのだと。だから、凡人たちは短い生の中でできる限り後悔のないように生きているのだと、彼の方は言っていた。しかし、それでも生きていれば必ず、【後悔】を経験する。彼の方もその経験があるそうだ。

 思えば、あの少女と出会ってから我は後悔をすることが多かったかもしれない。今だってそうだ。  

 少女を囲むように散乱する白い筈の清心の花弁。  少女の体と清心の花弁を赤く染めあげる血溜まり。  所々どす黒い青い色に変色し、地面に強く衝突してひしゃげた少女の体。   「…………ッ、」    奥歯をギリッと噛みしめ、目の前の光景から視線を逸らす。そして、崖の下から見上げた先に、棒を持つヒルチャールの姿があった。

「…………お前か、」





 武器についた魔物の血を振り払い、少女の元へ降り立った。身をかがめて、少女の顔を覗き込む。深い眠りについてる少女の顔は、随分と穏やかなものだった。きっと、迫り来る死に慣れてしまっているのだろう。

「お前の死に顔を見るのを初めてだ。……お前は、死が近づいた時、何時だって大人しく受け入れ、抗ったことがない(・・・・・・・・)だろう」    一度も我の名を呼び、助けを求めたことなどないだろう。恨み言のような、到底届くことのない言葉を少女の魂の抜け殻に投げかける。  少女は何時だってそうだった。こんな魂にしてしまった我を責めるわけでもなく、にこにこと呑気な笑顔を浮かべていた。あの時以外、ただの一度も恨み言を吐いたことなんてなかった。

「我はただ、お前にーー。…………まぁ、いい」    これ以上傷つけないように気をつけながらそっと抱き上げた体は、とっくに冷たく軽くなっていた。

  『魈様、――――――、』

 少女は今際の時に、我の名を呼んだ。そして、なにか言葉を遺したのだろう。そこまで聞き取ることができなかった。

「……お前のことだ。我には届いていないと思っているのだろう。あの場所でしか、お前の言葉を我が聞き入れないのだと、」    酷い言葉を投げかけた我に対する恨み言なのか。もしかしたら、心優しい彼奴は我に吐き捨てた自分の言葉に対する謝罪の言葉を遺したのかもしれない。

 既に役目を放棄し、音を発しない少女の心臓に耳を当てる。

  「――、何と言ったのだ」

   嗚呼。

 彼奴の……あの泣き顔が、悲痛な声が、頭から離れない。



何度も会いに行く少女と、仙人
何度も会いに行き、恋から愛へと想いを育てる少女と、少女を大切に思うようになり、幸せになって欲しいが為に突き放す仙人がすれ違う話。

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