YOH消防士の資産運用・株式投資

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【悲しき実情】再任用職員は老害なのか

再任用制度

 現在、公務員の定年退職年齢は60歳です。一部の例外を除いて、60歳に達した年に職場から退職することになります。

 ・定年退職後は年金受給して悠々自適に生活する

 ・60歳以降は第二の人生を楽しむ

 過去にはこのような道筋を辿っていましたが、現在ではこのような人生プランをたどることは難しくなっています。老後生活の柱である公的年金の受給開始年齢が段階的に引き上げられているからですね。

出典 平成16年年金制度改正 支給開始年齢について

 過去には男女共に受給開始年齢が55歳であったのが、段階的に引き上げられ、平成12年には男女共に受給開始年齢が65歳になっています。(繰り下げ受給すれば60歳受給は可能)

 ・60歳で定年退職

 ・年金受給は65歳から

 この5年間の空白を埋めるために平成25年にできたのが、再任用制度です。

再任用職員になると役職は下がる

 再任用制度での雇用を希望する職員は、60歳以降も公務員として働き続けることになります。しかし、退職以前と同じ環境で働けるわけではありません。

 ・勤務地

 ・勤務内容

 ・勤務形態

 このようなことは、必ずしも希望通りになるわけではありません。そして、業務内容は同質なものとなりますが、就任するポストや給料は退職前よりも低くなることが一般的です。

 ・定年退職前は部長(年収850万円)

 ・再任用職員になると、一般職(年収350万円)

 このような形の雇用契約を結ぶことになります。そして、この雇用契約は職場のに歪みを生じさせる大きな原因となっています。定年退職したからといって、その人の能力というのは変わりません。

 ・数カ月前まで部下だった職員の遥かに下のポジションで働く

 ・労働時間や能力は変わらないのに、給料が半分以下になる

 再任用職員の中ではこのような不満を持つ職員が少なくないということです。そして、仕事は非常にやりにくいものとなります。

 ・なんで部長だった私がこんな雑用をしないといけないんだ

 ・現役時はすり寄ってきた職員が今は挨拶すらしない

 このような環境変化に驚きやショックを受けてしまうということになるのですね。そして、負の悪循環に陥って、「老害」などと後ろ指を指されるような立ち位置になってしまうことになるということです。

出典 人事院 公務への再任用

割り切ることが大切

 当然ながら、再任用職員の全ての方がこのような悪循環に陥るわけではありません。

 ・与えられたポジションで粛々と業務をこなす

 ・一線引いたポジションで仕事をする

 このような方も少なからずおられます。そして、このような働き方をされている再任用職員は非常に重宝されています。それらの方に共通していることは、「過去のポジションや肩書に固執していない」ということです。

 ・数カ月前までは部長として指示を出す立場にあった

 ・多少強引でも、自分の意見が通る環境化にあった

 このような時と同じ気持ちで再任用職員として働いていると、現実との差に唖然として、気持ちが追い付かなくなるということです。

 最も不幸だと感じるのは、再任用職員として働きはじめてから、その現実に気付いてしまうことです。

YOHの職場の例

 私の職場でも組織内でトップ5に入る役職の方が定年退職して、今年から再任用職員として働きはじめています。この方をAさんとします。

 ・現役時は常に気を使われる立場にあった

 ・とにかく自分の意見に賛同してくれる職員が多い

 定年退職前のAさんはこのような立場の方でした。消防職員として災害現場に行くのではなく、組織の方向性などを決める立場にある権力者といってよいポジションで仕事をされていた方です。

 しかし、再任用職員になれば、このような方が20代の職員と同階級の一般職員として、アルバイトの方と同じ仕事をしています。

 ・職場の消耗品の管理

 ・細々とした雑用

 このようなことを主な仕事としていることになります。しかし、Aさんは再任用職員としてポジションや階級こそ下がったが、今までとおり、部下だった職員が自分を崇めるように接してくれると考えていたのですね。

 しかし、かつてAさんにすり寄っていた職員は現在はAさんに見向きもしていません。かつてAさんにすり寄っていた職員はAさんに敬意を払っていたのではなく、組織のトップ5に入る地位に対して敬意を払っていただけだということです。

 ・地位

 ・役職

 ・立場

 このようなものから、定年退職で退いたAさんにすり寄っても時間の無駄だと判断されているということです。

 ・再任用になってもかつての部下は、自分を特別な存在として扱ってくれる

 ・再任用になっても、自分の意見を聞きにくる職員が大勢いるだろう

 Aさんはこのように考えて再任用職員として働くことを選んだのでしょうが、そうはならなかったということです。

 ・再任用職員はかつてのポジションと関係なく一般職として働いてもらう

 このようなことは、自分には当てはまらないと考えていたのでしょうが、それが通用しなかったということです。Aさんが不幸なのは、再任用として働きはじめて数カ月後にこのような事実に気付いたということです。

かつての地位や栄光は環境が変われば輝きを失う。

YOHの考え

 私の職場では、数年後に団塊の世代の定年退職を迎えることになります。その時には、再任用職員が非常に増加することになります。

 その時には、再任用職員として上手く働くことができる方と、そうでない方が出てくることになります。

 ・退職前の地位や階級からは一線引く

 ・再任用職員として新たな気持ちで働く

 このような考えを持つ方というのは、上手く働くことができることになりますね。

 ・退職しても部下は自分のことを頼ってくるはず

 ・立場が変わっても、組織は自分の意見を聞いてくれる

 このような考えを持っていては、再任用職員として上手く働くことは難しいものになってしまいます。大切なことは、周囲が自分を持ち上げることを真に受けないことです。

 ・退職後も現役時のように意見を出してください

 ・再任用になっても、いろいろとご指導お願いします

 組織というのは、このようなうわべの言葉で成り立っている部分が少なからずあります。しかし、このようなことを全て真に受けてしまってはいけないということです。

 私自身は現在、救急隊長として働いており、部下からお世辞のようなことを言われることもありますが、真に受けないようにしています。多くのお世辞はYOHという人間に向けられているのではなく、「救急隊長という属性のYOH」に向けられているからですね。

 ・地位

 ・階級

 ・役職

 このようなものが変われば、そのようなものを向けてくる部下はほとんどいなくなるということです。

 ・YOHという人間に対してしっかりと話をしてくれる

 ・YOHという人間に対して意見を求めてくれる

 このような方とは、YOH自身も階級や役職の関係なく付き合うように心がけています。しかし、このような方は非常に少なく、数えるほどしかいないということです。

 再任用職員は老害、と言われることがありますが、これは仕事をしないできないといった話ではなく、気持ちの部分が非常に大きいということです。

 過去の栄光や肩書にしがみついたまま仕事をするほど不幸なことはありません。大切なのは、今の自分に何ができるかということです。与えられた役割をしっかりと認識して、できることをこなしていれば、再任用職員は老害、などと言われることは無い、と私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 そもそも、定年退職時に充分な資産があれば再任用職員として働かなくてもよいですね。選択できる立場にあることは大切です。

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