「ちゅっ…ちゅぅ…はぁ…もっと、もっと…」
俺の膝の上に乗って好き放題に唇を奪っているのは担当バのダイイチルビー。通称ルビーだ。
こちとら次のレースに向けてのトレーニングメニューを考えないといけないというのにその作業はルビーの唇によって遅々として進まない。
…まぁこうなった原因は全て俺にある以上これ位の我儘は受け入れてやらねば。一旦意識をPCからルビーに向ける。
「はいはい、ルビーは何がもっと欲しいの?ちゃんと言ってくれないと分からないよ」
「貴方の!貴方のを…下さい!早く!」
「だから俺の何を…って、むぐぅぅ!?」
「ちゅぅぅっ!れろぉぉ、れろぉぉん。えろぉ…ふふっ、美味しい。もっと口を開けて下さい。もっと舌を差し出してください」
・・・
ルビーは世にあまねく『華麗なる一族』と呼ばれる名家の御令嬢で”華麗であれ。至上であれ。常に最たる輝きを。”と言う一族の玉条に従いルビー自身も己を厳しく律しトレーニングに励んでいた。
最初の1年は順調な滑り出しをする事が出来たのだが2年目のクラシック戦線である問題が起こる。GⅠオークス、GⅡローズSで2戦連続5着に甘んじたのだ。その後の診断で右脚にフレグモーネ(進展性の化膿性炎症)を発症していることが分かり休養を余儀なくされる。
今までレースを見据えトレーニングに励む事しか考えてこなかったルビーにとって治療の為とはいえ2ヶ月間のトレーニング禁止はストレスを溜めるには十分だった。そしてルビーはトレーニング以外でのストレスの発散方法をよく知らなかった。
己にも周りにも厳然とした態度を取っていた事も災いして交友関係もあまり広くなく、数少ない友人や俺からのお出掛けの誘いも拒んで塞ぎ込む日々が続いた。
…治療を開始してまだ2週間。後1ヶ月半もこんな状況が続くのかと思うとルビーが不憫すぎる。ルビーをストレスから守る為なら何だってやってやる。鋼の意志を以て俺は行動を開始した。
その日からルビーに違和感を覚えさせない様に少しづつ少しづつスキンシップを増やしていった。適度なスキンシップにはリラックス効果があるからだ。そしてフレグモーネの治療には抗生物質を患部に注射するのが効果的で今までは通院して行っていたのだがこれもスキンシップの一環として俺が担当すると申し出た。
「あの、トレーナーさんに脚を見せるのは少々恥ずかしいのですが…」
「病院に毎日のように通うのも負担が伴うし、そもそもフレグモーネに気付かなかったのは俺の責任だ。せめて治療の手伝い位はさせて欲しい」
そう言って俺は頭を下げるがやはりルビーは難色を示した。
「この通りだ!頼む!ルビーに何もしてやれないまま過ごすなんて俺には耐えられない!」
ルビーの為になるのなら何だってやってやる。俺は土下座してルビーから赦しが貰えるのを待つ。
「…トレーナーさんのお気持ちは十分すぎる程分かりましたから頭をお上げください」
「それじゃ」
「…はい。脚の治療はトレーナーさんに一任しますので宜しくお願いします」
数回脚に触れて治療を施してからはもう坂道を転がり落ちるかの如く。スキンシップは激しくなっていった。
肩に手を置き、
手を握りあい、
頬に手を添え、
膝の上に乗せて、
唇を重ね合わせ、
…1度キスの味を覚えてからは積極的にルビーの方から身体を摺り寄せ、膝に乗り、唇に吸い付いてくるようになり今に至る。
「れろぉ…貴方との口付けは蜜の味がします。これは癖になります」
「人目が付かない所だけにしておいてよね。誰かに見つかったら俺の首が飛ぶから」
「あら、人目が付かないのなら宜しいのですね。それではー」
そう言ってルビーは俺の膝の上で器用にスカートを脱いでその下にあるルビーの名に恥じぬ真紅のショーツを俺に見せつけてくる。
「今までは下着もここまで気にする事はありませんでしたのに。今ではいつ見られても、触れられてもいいように恥ずかしくないモノを着けているのですよ。さぁ、貴方という熱に灼かれて変えられてしまった責任、取ってくださいね」
「あまりお尻を動かさないで。危ないから」
「まだダメですわよ。その熱は私の中に曝して、もっともっと私を変えていただかないといけないのですから」
141cmの小柄な体でもウマ娘のパワーには敵わない。せめてもの抵抗にと手を動かすものの、
「あんっ♥そんなに焦らなくても大丈夫ですから」
俺の左手を取って胸に自分の持っていき、
「ここで貴方に向かって自己主張している2つの小さなルビーも」
今度は右手を取って真紅のショーツの中に潜り込ませ、
「ここで熱く滾らせて貴方を待っている少し恥ずかしがり屋のルビーも」
「全部貴方のモノなのですから♥」
”華麗であれ。至上であれ。常に最たる輝きを。”と言う一族の玉条は片時も忘れた事はありません。
…ですがこの玉条は『誰に』向けた言葉なのでしょう。
華麗な走り、至上の結果、最たる功績。全てをトレーナーさんに…いいえ、旦那様に捧げなくては。
「さぁどうぞ旦那様。その滾った熱を早く私に♥そうすれば貴方だけのルビーが完成しますから♥」
さぁどうぞと言いながら身動き1つ取れない俺の身体を器用に動かして1点に狙いを定めるルビー。
「…あぁぁ!熱ぅぃぃ!!灼かれていますっ!今ルビーの中が貴方色にっ!灼かれぇてぇぇ!!!きゃぁぁぁ♥♥♥」
そうして俺は日が暮れるまでルビーの身体をその白熱で以て灼き続けた。