甲木は守備本能を持ち、徳は仁、色は青、味は酸、声は濁、方向は東、自然界では樹木であり剛木です。質は強く、性は直です。
樹木は天に向かって直上し、萠と動を繰り返して成長します。時期が到来すると隆棟の材となりますが、時所を失うと腐朽して廃材となります。樹木の成長や能材のためには、金性で剋されることが必要ですが、剋され過ぎると、薪となるか四散して形をとどめなくなります。水性と火性は樹木の成長には欠かすことのできないものです。しかし水性の過多は漂流を促し、自立の能を失い、火性の過多は自焚して身を失い、一時の成功があっても早く世を退きます。甲木は、金性の剋が無ければ、身が旺じすぎ、自信過剰となって世の中の常道を歩めません。甲木は土性を剋し、原野を森林に変えます。直上参天の勢を持っていますので、一度倒れますと二度と立ち上がれません。
しかし風雪に耐える力は相当のもので、独立、忍耐、頑固の質を備えています。一年、四季に合わせますと、春は剛木、夏は枝葉が繁茂する大樹、秋は死木で能材の用となり、冬は根幹の樹です。「十干」の中で生命のあるものは木性だけです。人間に例えますと、甲木は男性です。