第12話:残り170日
週末!!疲れた!!!寝る!!!!おやすみなさい!!!!!
第11話:残り171日
6月に入った時は「ちょっと仕事が落ち着いてきたな」と思っていたのに、7月初日は怒涛の忙しさだった。背中はばきばきだし、脚は痛いし、謎の巻き込まれお叱りに遭った。さんざんな一日だった。
この3年くらい、疲れると背中がばきばきになることが多い。煎餅布団をやめてマットレスにしたり、枕を変えたりストレッチしたり、色々やってるけどあんまり効果がない。整形外科のリハビリでウォーターベッドに横になりに行くのが、コスパよく改善できていいのかもしれない。だがしかし、通院は時間の負担が大きい。整形外科がうちに来い。
明日をこなせば休日。ゼルダやって本読んで、洗濯してお風呂入って。Amazonが届くから開封しなきゃ。星野源の宴会盤、感謝盤のDVDも観てなかったな。今週のラジオも聴いてないし。
カーテンやブランケットみたいな大物も洗いたいんだった。雨、早くやまないかな。
第10話:残り172日
夕ご飯に鶏皮餃子を食べてふと、「気心の知れた人達とわいわいしながら中華料理を食べたい」と思った。コロナ禍だと大人数の飲み会が出来ないから、やれても当分先になるだろう。飲み会は、最後にやったのがいつか思い出せないほど縁遠い物になってしまった。
実は4、5年前まで、中華料理はあまり得意ではなかった。好んで食べるようになったのは職場や家の近くに美味しい中華料理屋さんがあったおかげだ。また、上司が中華好きだったことも影響してか、たまにある会社の飲み会や食事会の会場が中華屋さんになって、食べる機会も増えた。油淋鶏は外で食べる昼食の定番メニューになったし、小籠包は好物になった。痺れる辛さの麻婆豆腐は、いつの間にか食わず嫌いじゃなくなった。
私は転職して会社を離れ、4、5年前とは畑違いの仕事をしている。
本当なら、私にもっと能力や体力があったなら、同じ職種か近しい職種で働きたかった。
上司は、最初の職場で問題を抱えて短期離職し、非正規で働いていた私を採用してくれた張本人だった。命の恩人とまでは言わないが、それに近しい恩を感じている。
入社初日に4階の奥の会議室に呼ばれ「パピリオさんには早く編集をやって欲しいの」と言われたとき、「こんな自分に期待をかけてくれる人がいるんだ」と嬉しかったのを覚えている。「この会社を離れてもライター・編集者として業界に残ってくれそうな人を選んだ」「大丈夫。育てますから」という期待に応えられなかったこと、いつだったか私が本心で言った「○○さんがいるうちは辞めませんから」が結果として嘘になってしまったことはたぶん、これからも、私を少し悲しくさせる。
物事を整理して分かりやすくして、誤読の可能性が低い文章を書くことは出来た。取材も、毎度緊張していたけれどなんとかこなした。でも私は圧倒的に企画を出すのが苦手で、それが今後、この仕事で長く働くには致命傷になり得ると怖かった。上司は「慣れだよ」「訓練だよ」と励ましてくれたし、「あなたこの仕事始めて何年?数年でしょ?同じこと出来なくて当たり前でしょ?」と言っていた。正しい。でも、直接的にも間接的にも、色んなことが重なって心と体が先にだめになってしまった。
コロナで在宅勤務になっていたし、退職直前は別部署にいたから、上司への挨拶がろくに出来なかったのは結構心残りだ。SNSでいつでも連絡を取れるご時世ではあるけれど、期待に応えられなかった後ろめたさ、裏切ってしまった申し訳なさや悲しさもあって、気軽に連絡するのはなんだか躊躇われる。本人が知ったら「水くさい」と笑うだろうか。「相変わらずネガティブでめんどくさい奴」と顔をしかめるかもしれない。これでも、一緒に働き始めた頃と比べればだいぶ前向きになったのだからご容赦いただきたいものである。
もしまたお話出来るチャンスがあったら謝りたいけれど、かえって気を遣わせてしまうだろうから謝るのはほどほどにして、近況を聞いてみたい。その時は、在職中に仲良くしてくれた他社の人達も一緒に、美味しい中華料理屋さんに待ち合わせでどうだろうか。書く私を見出し育ててくれたことへの感謝は、直接伝えるのではなく、何かしら書き続けることで表していくつもりだ。
第9話:残り173日
不眠が過ぎる。でも薬は使いたくない。
お医者さんに行って睡眠導入剤を出してもらえば、まあまあの確率で眠れるのは経験済みなんだけど、それでも寝付けない場合もあるし、薬との相性もあるから、起きている時に辛くならない薬を見つけるにも時間がかかる。あと、診察にも処方薬もらうにもお金はかかるし、医師ガチャが悪ければ薬のやめ時も見失う。知らない街ですぐ医者にかかるのも怖くて、ひたすら様子見している。
なんとか薬以外の力で眠ろうと、現在はヤクルト1000、いい香りの入浴剤を入れてお風呂に浸かる、寝る前にストレッチ、ネルノダ、休足時間、ホットアイマスクを併用している。昨日から今日にかけては雨だったのに、目覚めは悪くなかった。最近変えたことというとネルノダの摂取を始めたことくらいだから、ネルノダが効いてるんだろうか。
いや、ネルノダ単体で効いたのか、他との組み合わせが良かったのか、それともたまたま眠れたのかもしれない。要因がはっきりしないのももやもやするけれど、今後もぐっすり眠れるならそれでよいことにする。
今夜、眠りを必要としている人がみんな、穏やかに眠れますように。
第8話:残り174日
6月は物欲大解放月間だった。欲しくて手が届く物は買い尽くした気がする。今までだったら「贅沢は良くない」「我慢は美徳」って考えがちだったけど、いざ贅沢してみると案外生活に潤いが出る。幸福度がぎゅんぎゅん上がるというよりかは、不幸な気持ちになる瞬間を減らしてくれる感じ。気になっていた不便や不調を感じずに済むことで、ぷすぷす燻る感情を持つ頻度が減り、結果、機嫌良く暮らせる。贅沢は味方だった。
特に使って満足しているのは「めぐリズム」系列の商品。有名なホットアイマスクだけじゃなく、足に貼って疲れを和らげる商品があり、立ち仕事が多い私は重宝している。ニンテンドースイッチは暇な時間を産まなくなったし、ゼルダをやるために仕事や家事をより短い時間でこなそうと意識するようになった。
入浴剤を入れたお湯に毎日浸かるのもいい。身体が健やかになると心も弾力を取り戻す。来月はどこかで、買ってよかったものリストをまとめようと思う。
第7話:残り175日
昨日書いた日記を友達が読んで、感想を送ってくれた。まあ、「せっかく書いたのに誰にも読まれず、あちらの家の狂気が誰にも知られずネットの海に沈澱していくのはなんか癪だな」と2人の友人にURLを送りつけたのは私なので、半ば強制的に読ませた感じなんだけど、なんにせよ読んでくれたのは本当にありがたい。
送ってくれた感想の詳細はここには書かない。でも、私はそれを読んで、電車の中で人目も憚らずぼろぼろに泣いた。嬉しかった。辛かったこと、怒ったことを一緒に怒ってくれて、私の生き方を肯定してもらえたような気がしてすごく救われた。
楽しいことの余韻がいつもより短かったりご飯が美味しくなかったりするのは、目の前の状況を把握しながらも常に辛い記憶や言葉が反芻されていたからだ。パソコンでYouTubeを2つ開いて、片方で好きな音楽を流し、同じ音量で、もう片方ではなんだかものすごく嫌なホラー映画が再生されているのを想像して欲しい。怖いし、イライラするし、好きな音楽に集中するのは無理だろう。
友達が送ってくれた感想は、その煩わしい二画面目の音声を、聞こえるか聞こえないかの音量まで下げてくれたのだと思う。聞きたくない音はまだちらっと聞こえるし、再生自体も止まってはいないけれど、もう片方の画面から出ている音量の方が大きいから、嫌な音はほとんど気にしないでいられる。
今日は朝からゼルダをやった。部屋の掃除と片付けもして、親への贈り物を注文して、本棚を整理して、念願だったKINTOのカップで好きなお茶を飲んだ。1ヶ月半ぶりに炊飯器でご飯を炊いた。ゲームは楽しいし、お茶はお茶の味がする。カップはまるまると好きな形をしていて、この間買った木製のおぼんや家にあるコースターとも相性がいい。梅雨が明けたら暑くなるから、冷茶用にボルミオリ・ロッコのボデガも揃えたいなと思う。大きさは200ミリがちょうどいいかな、などあれこれ考える。苦しくて泣き出しそうになることも、泣くこともなかった。
あちらのご家族や元婚約者から向けられた呪いの言葉に対抗できる、お守り、盾、剣にもなる言葉を友達がくれた。それを手にした今日の私は、昨日の私より少し無敵だ。
第6話:残り176日
お金はすごい。欲しかったものがだいぶ手に入った。
気になっていた本10冊、ジェルネイル、ヘッドスパ、ケンタッキーフライドチキン、可愛いブラウス、ネックレス、ストックが切れかかっていた入浴剤、ビタミンC、カーテン、1人用のソファー。マッサージ、仕事用のポロシャツ、サンダル、行ってみたかったカフェのご飯、木製のおぼん、KINTOのカップ、シートマスク、備蓄用の水、パックご飯、ストレッチポール。
この休みで全部買った。嬉しいはずなのになんにも感情が湧かない。
理由はわかっている。スマホの写真整理時に、去年から今年にかけて、元婚約者のお母様お父様が元婚約者宛に送った、私に関するLINEのスクショを読んだせいだ。
私は彼のご両親に会ったことはない。お母様とは一回だけ電話で話したことがある。私の転職が決まっていた時期で、「あなたの幸せになる生き方をしていいのよ」と言われ、その優しさに嬉しくなったものだった。
でも、彼に送ったラインの中で私は、「セックスしたいだけの女」「彼女は自分の考えが無い」とか言われていたし、お父様にいたっては「彼女の母親は病んでる」「その母親を野放しにした、彼女の父親にも問題がある。そんな家族とうまくやっていける家族はほとんどないと思う」「私も〇〇(筆者注:パートナーの名前)も、あちらのご家族に会うつもりはないよ」とか、どこから出てきたその発想、という話まで出ていた。
私達は事実婚にするつもりはなく、法律婚するつもりだったから、お互いの家に挨拶に行こう、場合によっては結納も検討しようと話し合っていた。なのに彼の母親は、彼へのラインで「事実婚なんでしょ?どうして結納、結婚式するの?」とか言い出すし、「〇〇ちゃん(筆者注:あちらのお母様は息子を名前にちゃん付けで呼ぶのがデフォ)、その女と別れな。妊娠されたら一生借金地獄」とかも言ってた。「どうしても結婚したいなら父親呼んできな。土下座させてやる」って、会ったことも話したこともない私の父に謎に怒っていたかと思えば、実の息子に「心の目と耳を使ってよく考えて」とか言い出す。これに関してはあちらの父親も父親で、「人は誰しも心の青空を持っている。うんぬんかんぬん」みたいな話をメールで息子にしていた。お似合いのご夫婦ですね。素敵です。でも私は知性を失いたくないので、あなた方みたいにはなりたくありません。反面教師をありがとうございます。
ご挨拶に伺う予定も、彼がお母様に時期を相談したら、あちらのお母様は「何が挨拶だ。馬鹿にすんな」とお怒りで、「来たとしても家に入れないから」「(筆者注:あなたの彼女は)かわいくない。愛情わかない。冷めた。きっと前の男も同じ。冷めたんだ。気をつけな」などの暴言を吐かれていて、取りやめた。
へえ、結婚前に挨拶しに行くのって相手を馬鹿にした行動だったんですねそんな文化知りませんでした。無知でお恥ずかしい限りです。愛情?好きでもない無関係の、いや、もはや嫌いな他人から向けられる愛情なんて気持ち悪いだけなので、あなた様からはいただかなくて結構です。ご丁寧にどうも。あ、そうそう、前の恋人とは13年くらい付き合っていましたが、別れた理由はそんなんじゃないです。逞しい想像力ですね。何か別な、素敵なことに活かされてはいかがですか。
ちなみに私と家族の名誉のために言っておくが、私の母親は病んでもいないし、私は借金もない。父とも母とも、親子だから多少のわだかまりはあるけれど、基本的には人間対人間の、論理をベースにしたコミュニケーションが出来ている。少なくとも元婚約者の家庭より健全な関係性である。
あちらのお母様は私の元婚約者に「愛ってなんだろうね」「〇〇(筆者注:彼のお母様の名前。齢50にして自分のことを名前で呼ぶ)もばあばに愛されてる気がしないよ」「愛っていうのは、心にオレンジ色の光がふわぁーって広がるようなものだと思う」などとラインしていた。自分のことを名前で呼んでいいの、アイドルとかを除けば小学校低学年までがいいところじゃないかな。色んな人いるからそれを否定はしないけど、個人的には50過ぎて自分のこと名前で呼んじゃうような生き物、同じ種とは思えないです。生物多様性の勉強になります。恐れ入ります。
まあともかく。先方がこんな状態であることを私が知り、さらに私の両親に相談したところうちの両親が「心外だ」と怒り(当然だ)、結婚に向けた話は白紙に返った、という訳だ。
どう考えても向こうの親、正気の沙汰じゃないのはお分かりいただけただろう。
さらに辛いのは、婚約者が彼の親と縁を切ることにかなり後ろ向きだったこと。結局、私はその程度にしか愛されていなかったのだ。誰が見ても頭のおかしい人間2人を親に持った彼も気の毒だけれど、その人間と適切に距離を取れない彼に心を寄せ続けられるほど、私は女神様ではない。
この間彼と話したら、「親とどう向き合っていいか分からない」とこぼしていた。私に聞かないで、機能不全家族のカウンセリングにでも行ったらよかろう。それで騙されて多額の支払いでも背負って、即座に親と縁切って私を選ばなかった自分を呪い、死のうにも死に切れないで、誰にも救われることなくこの世で地獄を味わえばいい。大丈夫、ご両親も一緒だから君はひとりじゃない。3人で力を合わせればきっと、どんな地獄も少しは楽になる。だって君のお母様、電話では「2人で力を合わせて生きていくんだよ」って励ましてくれたじゃない。今度は私が応援する番よ。みんなで頑張ってね。
何もなければスムーズに結婚して幸せに暮らせていただろうに。相手に失望することも、2人で一緒にいるのに寂しさを感じることもなかっただろうに。
元婚約者のことは嫌いじゃない。穏やかな話し方も甘えてくれるところも、私にはない発想を持っているところも好きだった。でも、この騒動にまつわる彼の行動や考え方をリフレインする度、恨みや呪いの気持ちでいっぱいになる。ご両親の言葉のナイフも、ご両親のまともじゃない思考回路も辛いです。でも、君が私を選んでくれたらここまで絶望しなかった。君は私よりご両親を選んだ。その事がいつまでもいつまでも私を苦しめていること、忘れないで生きていってね。絶対に忘れさせたりしないからね。
来世ではみんな幸せに、私もあなたも、あなたのご両親も、なんの憂いもなく一緒に仲良く暮らせますように。