2022-10-18
インドネシア、植民地時代の化石や宝飾品を返還要求

オランダの旧植民地であるインドネシアは、芸術作品、自然科学史上重要なオブジェクト、そしてオランダが集めた宝飾品コレクション全部をオランダに対し返還するよう求めている。
インドネシアがオランダ教育・文化・科学省に送付したのは植民地時代の略奪品リストである。芸術作品だけでなくライデンのナチュラリス博物館に展示されているドゥボア収集品と呼ばれる人類史上重要なオブジェクトも含んでいる。ドゥボア・コレクションは4万の化石収集品である。この中でも1891年にオランダの考古学者であるユージン・ドゥボアが発見したジャワ原人の頭蓋骨は人類の進化の歴史を探る上で非常に重要と考えられている。
このほかにもインドネシアはディポネゴロの馬の手綱を取り戻したい意向だ。ディポネゴロは、オランダの植民地支配に対するジャワ人の反乱を率いていた。さらにロンボク宝飾品もリストに載っている。アムステルダム国立美術館は、その大半を1977年に返却したというが、インドネシア政府は、ライデンの博物館にまだ金銀宝石の宝飾品が保管されている反論している。
オランダ教育・文化・科学省は、インドネシアから返還の要請を受けたこと受け、独立委員会が要請作品のリストを検討するという。オブジェクトが実際に略奪されたかどうかは、作品ごとに決定する必要があるという。
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2019-03-12
アムステルダム国立美術館、旧植民地スリランカやインドネシアへの美術品返還か
アムステルダム国立美術館は、スリランカとインドネシア政府といわゆる「略奪美術品」を返還することについて話し合うと発表した。Trouw紙のインタビューで、国立美術館のタコ・ディビッツ館長は「美術品返還はもっと早い時期にすべきだった。弁明の余地もない。」と語っている。再来週にも同美術館の歴史部のゴッセリンク氏がスリランカに飛び、古い大砲やバンジャルマシン・ダイヤモンドなどの返還について話し合う。このダイヤモンドはかつてはボルネオのサルタンが所有していたもの。スリランカ訪問の後、ゴッセリンク氏はインドネシアにも出向く。
旧植民地への美術品返還の動きは世界的に拡大している。今年の1月にはフランスのマクロン大統領が、旧植民地の西アフリカ・ベナンからフランスに持ち出された美術品を返還する方針を決めている。今回の国立美術館の美術品返還については、所有者がオランダ国家なので最終決定は政府が行う。先週には、オランダの国立世界文化美術館(ライデンの民族博物館とアムステルダムの熱帯博物館そしてベルグ・エン・ダルのアフリカ美術館の連合体)が、植民地美術品の返還についてレポートを発表した。この3館が所有する美術品は37万5000点にのぼる。この中の植民地から略奪された美術品の自主的返還については政府の決定に委ねられている。
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