CAPCOM

Profile

池田 陽
デザイナー(リガ―)
2017年入社

現在までのMain Project

入社後、「バイオハザード RE:2」の開発チームに配属され、イベントシーンのフェイシャルを担当。2年目中盤より新規タイトルにアサイン。現在も同タイトルでフェイシャルチームのリーダーを務める。

進化した映像表現に衝撃を受けゲーム業界に

元々、映像制作に興味があり専門学校もその関連に進学しました。ゲームは中学卒業以来ほとんど遊んでいなかったんですが、インターンシップ先の企業でゲームエンジンに触れる機会があり、そのとき「ゲームの映像ってこんなに進化していたのか!」と衝撃を受けたことが、ゲーム業界に目を向けるきっかけに。
映像とゲームは制作に使うソフトやノウハウが共通している部分も多く、割とスムーズに自分の進路を切り替えることができました。現在の仕事はリギングアーティスト、いわゆるリガーです。
リグと言うとキャラクターのボディ全体の動きを制御するイメージがありますが、私はフェイシャルを専門としています。
専門学校で学んできたリギングもボディや動物が中心でしたし、最初にフェイシャルのリギング担当と言われた時は、かなり戸惑いました。とは言え、根本的な考え方はボディもフェイシャルも同じですし、自分の知識を応用できる部分もたくさんありました。

フェイシャルに特化したリガーという職業

ハードの性能向上に伴ってカットシーンなどにシネマティックな映像が多用されるようになってから、キャプチャーベースでのフェイシャル表現のニーズは一気に高まりました。
業界内ではフェイシャルに特化したリガーというのは、まだまだ新しい立ち位置だと思います。実際の作業としては、リグの設計に先立って、まずジョイント配置やウェイト作業を行います。
ジョイントは簡単に言うと可動部分で、人間の関節にあたるものです。ジョイントを動かしたときに、どの程度メッシュ(3DCGモデルの表層)が追随して動くかを設定するのがウェイト作業です。
アニメーションを付ける際に一つひとつのジョイントを操作するわけにはいかないので、複数のジョイントをコントロールできるようにするのがリグの役割です。
タイトルごとにかけられるコストや、リリースするハードの性能にも大きく左右されますが、キャラクター一体のフェイシャルだけで、多いものだと300くらいのパーツで構成されるため、非常に細かく地道な作業になります。

開発の進捗をコントロールするバランス感覚

キャプチャーベースでフォトリアルな表現のキャラクターの場合は、リアルな人間の表情を極力少ないジョイントで最適化して再現する必要があるため、顔の骨格や表情筋などについても結構勉強しました。
この仕事の難しさは、どこまで仕様を固めるかの判断にあると思います。ゲーム開発は数年がかりの長丁場になるので、早い段階でリグの仕様を決めこんでしまうと、開発が進んでいく中で数年後にその仕様が足かせになってしまう可能性があります。
ですから、ゲームの方向性やキャラクターの設定などが流動的なケースでは、リグの設計もある程度の自由度を持たせた状態で開発を進めるようにしています。そのあたりのバランス感覚というか、アクセルの踏み加減みたいなものは、リガーにとって大切なセンスなんじゃないでしょうか。
非常にニッチで、狭き専門性に特化した分野ですが、まだまだこれから大きな可能性を秘めた領域だと思っています。

ある1日のスケジュール

10:00〜 出社・メールチェック
11:00〜 メンバーのタスク確認
12:30〜 昼食
14:00〜 モーションチェック
15:00〜 定例ミーティング
17:00〜 ツール作成・調整
18:30〜 帰宅

この日の仕事のポイント

フェイシャルのチームリーダーとして、スタッフの進捗管理やミーティングに充てる時間が多めになってきました。この日のスケジュール上にはリギングの作業時間が書かれていないのですが、実際には合間にコツコツ作業しています。
ゲーム開発は分業化が進んでいる分、各セクションとのやり取りや確認がかなりあります。その都度、修正や更新が発生するので、作ったら更新というのを繰り返しつつ、随時それを共有しながら調整していく、という流れになっています。

休日の過ごし方

入社してからゲームをする時間が多くなりましたね。ここ最近は実家に帰省する機会が多かったので、愛犬に会うことが増えました。
なかなか会えませんが、いつも大はしゃぎして迎えてくれるのが嬉しいです。

My Possibility 〜私の感じる無限の可能性〜

専門学校時代に身につけたプログラミングのノウハウやMayaの知識を活かして、サポートツールの制作を進めています。
ツールを使うことで、リガーだけではなくアニメーターでもリグが組めるようになれば、もっと効率的に作業が進むと思っています。
私自身も、将来的にはフェイシャルだけではなくボディのリグも、仕事で扱っていきたいと考えています。