なぜ今まで私は野外活動で便利なガス
ストーブ等を使わなかったのかなあと、
ぼんやりと考えてた。
アルコールストーブさえ使い始めたのは
ここ10年以内だ。
重要なことを忘れていたのに気づいた。
私はブッシュクラフターだったのだ。
だから長年薪しか使わなかった。
私はキャンパーではなく、ブッシュクラ
フターだったのだ。何十年も。
それゆえ、知人に誘われて公園野外メシ
を二人でやった時も、ズラーッと並べら
れた「自慢の道具」を見せられた時に、
果てしない違和感があったのだ。
その次に私が今度は同人を連れて行った
のは、担ぎによる徒歩(かち)での森林メシ
だ。
ブッシュクラフトである。炉は現地で作
る。
刃物で薪を割りフェザーを作り、直火で
火を熾す。
キャンパーの知人は途中でもう限界との
ことで予定を変更して下山して帰投する
ことにした。
「自慢の道具」の装備が多すぎて、疲労
困ぱいで歩けなくなったのだ。私が彼の
装備も担いでようやく下山した。
私は刃物、火口、最小限の食器と食材と
塩と水を水筒に2ℓいう最低限の装備しか
持たない軽装だ。
重たい銃や弾薬(これが重い)さえ無いの
だから楽ちんこの上ない。
だが、ロープや刃物数種類とエマージェン
シーキットは欠かさない。
色濃く志向の方向性の違いによる結果が
出た。
私はキャンパーではない。
ブッシュクラフターなのだ。
だが、キャンプツーリングをやるとなると
そうも言ってられない。直火禁止の場所
での宿泊も想定しなければならないから
だ。
昔はどこでも直火OKだったのでキャンツー
でもバーナーなどは携帯しなかった。
今は時代が違うようだ。
だが、「自慢の道具」を増やして重量が
嵩むことは愚ではなかろうかという自己
問答以前に、道具頼りは何か大切なもの
を忘却しそうであるという危険の匂いを
動物的に私は察知する。
自分の指標を見誤らないように落ち着き
が必要だ。
自分はバーベキューやファミリーキャンプ
やグランピングを個人山行きではやるつも
りは全く無いからだ。
二輪での旅行きとブッシュクラフトの
融合、その方法を目指したい。
どうやれば、どこまでシンプルかつ最大
なものを得られるか。
ミニマムでマキシマムなのがブッシュ
クラフトの根元部分であるので、そこを
見失わないようにしたい。
ギア集めをするつもりはない。メーカー
の新製品にも全く興味はない。
必要最小限の装備と創意工夫で最大の
森林活動を成す。
ブッシュクラフトはそれだ。
何十年も昔の道具を当たり前のように
現役で使う。
ブッシュクラフトはそれだ。
ブッシュクラフトに流行は存在しない。
また、流行を作ってはならない。
それゆえ、道具頼りや道具の数頼りでは
ない人間力というスキルを磨かないとなら
ないのがブッシュクラフトであって、便利
や利便性を第一義とし始めると、ブッシュ
クラフトが与えてくれる最重要な「教え」
そのものを見失う。
森での活動から何を学ぶか。
それは、決して都会的利便性を森で実現
させることからは得られない。
それだけは確信的に断言できる。