判明!謎のジャパニーズウイスキー「会長」の正体 ツイッターで話題のウイスキーを作るのは

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サン.フーズの担当者によると、海外の企業からウイスキーの製造を委託されているのは、25〜26種類にも上るという。同社は2014年にウイスキー製造免許を取得しており、ウイスキーブームに乗った新規参入組と言えるが、担当者は「海外販売は好調」と話す。同社は以前の東洋経済オンラインの取材に対し、「自社で蒸留した原酒に海外から輸入した原酒を加えて、ブレンドしている」と、増産の手の内を明かしている(「ジャパニーズウイスキー」の悲しすぎる現実)。

紛い物に苦慮する業界、自主基準を作成

ジャパニーズウイスキーをめぐっては、定義や曖昧さや規制の緩さが指摘されてきた。スコットランド(イギリス)では、スコッチ法というウイスキーに関する法規制があり、原材料は穀類のみ、最低熟成年数は3年と定められている。アメリカでは、連邦アルコール管理法により、トウモロコシ51%以上、最低熟成年数は2年とされるのに対し、日本は酒税法だけで9割まで穀類以外の使用が可能であるほか、最低熟成年数も定められていない。

こうした現状に対し、評価が高まってきたジャパニーズウイスキーの看板が傷つきかねないと危惧した業界団体「日本洋酒酒造組合」は2021年2月、「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を策定した。

同組合の中村由男氏は、会長といウイスキーについては認識していないとした上で、「ジャパニーズウイスキーを名乗った紛い物が出回るケースもあり、業界内に危機感が生じたのが自主的な基準を作成するきっかけだった」と話す。この中では、「糖化、発酵、蒸留は、日本国内の蒸留所で行うこと」「内容量 700 リットル以下の木製樽に詰め、当該詰めた日の翌日から起算して3年以上日本国内において貯蔵すること」などの基準が設けられている。

中村氏は、「基準を設けたことで、海外の取引先や顧客に対して、ジャパニーズウイスキーはこういうものであると堂々と説明できるようになった。海外では訴訟文化という背景もあり、取引先にとっても明文化されたことで安心した取引が可能となったはずだ。顧客に対しても、ジャパニーズウイスキーは、こういうものであると説明できるようになった」と説明する。

ただ、あくまで自主的な基準であり、これに沿っていないからと言って違法になるわけではない。ジャパニーズウイスキーの人気が沸騰する中、今後は品質の管理がより重要になってくる。

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