The Wayback Machine - http://web.archive.org/web/20071216174322/http://www.ads.fukushima-u.ac.jp/~souran/sociology/m_katou.html
氏名  加藤眞義(かとう まさよし)

専門講義科目名・職名  社会学原論 助教授

生年  1964年

最終学歴  東北大学大学院文学研究科博士課程後期三年の課程修了

学位  博士(文学)

主要職歴  東北大学文学部助手をへて1997年度より現職

所属学会  日本社会学会,東北社会学会,日本労働社会学会,日本村落研究学会

専門分野  理論社会学,社会学学説史,農村社会学

専門講義の概要

  「個人と社会との関係」をどのように捉えるのかという問題が,ながらく社会学の原問題とされてきた。だが,「個人」や「社会」といった概念化は,しばしば,個人なるもの,社会なるものを実体視する認識へと路を開いてきている。講義では,この問題を,「行為」と「構造」との連関をいかに理解するのかという問いへと翻訳しなおし,あらためて,社会学の古典理論および現代理論においてどのような理解が示されてきているのか検討する。その作業をふまえ,あらたな社会理論の可能性を模索していきたい。

研究課題

 現時点では,次の二つの課題にとりくんでいる。ひとつには,現代社会における「個」と「共同性」との連関を把握するうえでの基礎たりうる社会学理論の可能性を追求することをめざしている。そのさい,重視したいのは,〈他者の想定〉と〈行為の時間性〉というふたつの主題にかんして,これまでの社会学の古典理論,現代理論が,いかなる問いと解法とを示しているのかという点である。「社会的なもの」は,たんに「複数の」人間がいることだけで成立しているのではなく,他者の想定および特有の時間構成によって成立しているというのが,本研究の基本的なアイデアである。

もうひとつは,現代日本農村の地域社会にかんする実証的研究である。資本制という社会形式のいわば「外部」に女性の労働行為が位置づけられていることを,フェミニズム理論が明確に描き出しているが,翻ってみると,農民の労働行為も,資本制という社会形式の「外部」に位置づけられてきたといえなくもない。上述の理論社会学的研究を生かしながら,〈女性の活動〉と〈多就労 pluli-activities〉とをキーワードとして,農村地域社会にかんするモノグラフ的研究を継続していきたいと考えている。

研究業績

  主要著書

 『個と行為と表象の社会学』,1999年,創風社

 主要論文

 「『ブリュメール』にみるマルクス政治分析の基礎視角」『社会学年報』19号,1990年,東北社会学会

 「農村女性の就労構造- 山形県庄内地方の事例」『社会学年報』21号,1992年,東北社会学会

 「マルクス政治分析の展開- 1850年代初頭のフランス論をめぐって」『社会学研究』59号,1992年,東北社会学研究会

 「初期マルクスにおけるフランス革命論- ジャコバン評価と「市民社会」把握」『社会学研究』60号,1993年,東北社会学研究会

 「多就労と個別経営の動態」『東北大学文学部研究年報』44号,1995年,東北大学文学部

 「社会的なものと自然」『社会学研究』62号,1996年,東北社会学研究会

 「活動と関係行為- マルクスにおける行為の把握」細谷昂編『現代社会学とマルクス』,1997年,アカデミア出版

 「社会的行為の「として」構成」『行政社会論集』11巻4号,1999年,福島大学行政社会学会

 「社会的リアリティの遂行的生成」『行政社会論集』12巻1号,1999年, 福島大学行政社会学会

 「可能態と形式の規定」『社会学研究』68号,2000年 東北社会学研究会

「資本の時間と生命活動」 北村寧・佐久間孝正・藤山嘉夫編『新世紀社会と人間の再生』2001年, 八朔社

「遂行的抽象と理念―マルクス社会理論における「観念的なもの」―」『社会学年報』31号,2002年, 東北社会学会

 学会報告

 「関係行為と『主体』の構成」日本社会学会大会,1995年11月

 「マルクスの『下向法・上向法』にかんする一考察- 日常表象と『学』との連関をめぐって」日本社会学会大会,1996年11月

 「社会的リアリティの遂行的生成- 『資本論』第3部の問題構成- 」,日本社会学会大会,1997年11月

「遂行的抽象と理念」(課題報告 「思想としての社会学の可能性」),東北社会学会大会2001年7月

 翻訳

 ピエール・ブルデュ著,田原音和 監訳,『社会学の社会学』,1992年,藤原書店