GOOD DESIGN AWARD

2013

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
小学校・幼稚園 [中央区立中央小学校・中央幼稚園]
事業主体名
中央区
分類
公共領域のための空間・建築・施設
受賞企業
株式会社久米設計 (東京都)
受賞番号
13G100923
受賞概要
2013年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

中高層建築が密集する都心の狭小な敷地に、子供たちが植物を身近に感じ、自然の風や光、素材に包まれ、子供同士や地域の人たち、自然と多様な出会いと発見がある、これからの「都心型の学校建築」を創造することを目指した。校舎四周につる系植物や木ルーバーを設けたバルコニーと半屋外の「自然観察テラス」を各階に配し、近接する建物との中間領域としつつ、全教室を2面採光とし、屋外と屋内が連続する学習・活動の場を実現した。校舎中央には発表・展示の場にもなる大階段「ステップギャラリー」を配し、異学年との交流の場としつつ、無風時にも校内を外気が巡り・流れるしかけの要とし、コンパクトな校舎を外気と光に満ちた空間としている。

ディレクター

株式会社久米設計 小牧実豊

デザイナー

株式会社久米設計 小牧実豊、藤森慶弘

詳細情報

http://www.chuo-tky.ed.jp/~chuuou-es/

利用開始
2012年9月
販売地域

日本国内向け

設置場所

東京都中央区湊一丁目4番1号

受賞対象の詳細

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

校舎内外で使用している無垢の木材は、熱処理をして耐久性を向上させた国産の檜や杉材を無塗装で使用し、安心・健康的で永い間愛される空間づくりを心掛けた。校舎内部の壁面は全て展示が可能なつくりとし、植栽も子供たちが植え・育てられる場をつくり、校舎建設時のワークショップへの参加だけでなく、完成後も子供たちをはじめ、地域の人々や教職員が積極的に学びの場づくりに参画できるようにした。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

本施設は小学校・幼稚園であるとともに、積極的に地域住民にも解放される活動拠点として、専用の多目的スペースを併設している。地域の人による本の読み聞かせや特別授業のほか、大人の目で見守るなど、地域が密接に関わり参加できる学校とし、地域とともに子供たちを育てる教育の実現を目指した。夜間や休日には全天候型の校庭や可動床の屋内プール、体育館、特別教室が開放され、地域の活動拠点としても大いに利用されている。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

中高層建築が密集する地域に建つ耐火建築物であるが、外装の木材は国産の檜や杉材を不燃化処理せず、「埋もれ木」から着想した熱処理により耐久性を高めたものを無塗装で使用し、バルコニーや「自然観察テラス」で活動する子供たちが、木が本来もつ香りや手触りを感じられるようにしている。校舎内部ではマグネットと画鋲、接着テープのいずれも利用可能な収納兼用の掲示板を開発し、壁面全体を展示・収納の場として活用している。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

太陽光発電や雨水利用、無風時にも機能する自然通風システムなど、自然エネルギー活用を積極的に行い、環境負荷低減を図るとともに、校舎そのものに自然素材や植物を取り入れ、子供たちが見て触れて感じる仕掛けをつくり、「学校まるごと環境教育の場」として環境手法の可視化・体験化に取り組んでいる。なかでも各教室2面採光を特徴とする平断面計画により、未来を担う子供たちが外気と外光に包まれて学び・育つことを重視した。

ユーザー・社会に伝えたいこと

敷地外周部やバルコニーの緑は、郷土植物を中心に、多様な植物に触れ、育てられる計画とした。子供たちの成長にあわせて学年毎に樹種を選定し、四季折々の姿を数千枚のレリーフにして、各学年の多目的スペースにアートワークとして展示している。校内の植物とアートワークを「中央小学校みどりの図鑑」としてまとめ、校内を探検してまわる際のガイドブックとし、子供たちにとって、地域の植物が身近なものになることを願っている。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

東京都中央区湊一丁目4番1号

審査委員の評価

都内の公立の学校はの狭隘な敷地条件が前提となる。また教育環境の充実という面から、建て替えの際には旧校舎よりも大きな床面積のものが求められることが多い。そのため、高層化が必須になりつつあるようだ。このプロジェクトではそうした学校作りに不利な条件を受け入れ、四周にぐるりとバルコニーを設けることで、子供達の居心地を確保し、自然エネルギーの活用がごく自然に行えるような環境づくりを行っている。他にも中央にステップギャラリーなる大階段を設け、高層だからこそ可能な学校のあり方を追求している。都市部の学校の可能性を示す事例として高く評価された。

担当審査委員|

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