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画像ファイル名:1665672092451.png-(490439 B)
490439 B22/10/13(木)23:41:32No.981899492そうだねx2 01:10頃消えます
懐かしい声、少し赤く色づいた青空
黄色と黒の花が咲き誇り、少女は柔らかく微笑んで──何かを渡した。
『ちゃんと覚えていてくれますか?』
『…覚えるって、何を』
『………を覚えていてくださいね』
『忘れないよ、‪───✕‪✕‪✕‪✕‪✕‪✕‪✕‪✕‪✕』

ふわりとした、甘いチョコレートの匂い。
植物の匂いだが、何の匂いかが思い出せない。
……現実のような夢だった。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
122/10/13(木)23:41:55No.981899628+
春空、夏は近く、風はまだ涼しい。
太陽は少し熱を持ち、仕事の合間だというのに……日向ぼっこがてら、芝生で少し寝てしまっていた。
「おはよーございます」
「…ん、ああ、おはよ…えっ?」
じーっと見つめる彼女に、思わず飛び上がる。
「わっ」
すっと離れて、ぼんやりとまた彼女は見つめる。
「………」
「………」
「え、えーっと……」
「こんにちは、アストンマーチャンです」
「………うん」
「レースが始まるから、見ててね」
「えっ!?……あ、待って──」
222/10/13(木)23:42:18No.981899786+
すっと居なくなる彼女に、どこか喉がつっかかって…
だけど、何も言えなかった。
322/10/13(木)23:42:42No.981899930+
「…なんだったんだろう、さっきの」
どこか近寄りがたく、だがどこまでも目が離せない。
遠くで見るレース、彼女は確かに強かった。
「…で」
誰よりも早く、スプリンターとしての才能は高い、…少なくとも重賞は勝てると言わしめるほどの強さで、トレーナー達の的になった。
時折人形を使って表現する姿と、何かをアピールしてる姿が見えた。
…そう。彼女の夢は全世界に自分の名前を知ってもらうように───
「そのために人気を用意したのか……」
名前を知らしめる為に、沢山本を読んでいたな。どうやったら人気になるのかも───
「───って、……あれ?」
ぞわりとした冷や汗と、頭によぎった何かはたちまち消えてしまう。
「………」
遠くから、確かに彼女は自分を見つめていた。
ずっと、ずっと…気味が悪く
だけど、だけど嫌じゃなかった。
422/10/13(木)23:43:16No.981900106+
「…はぁ、今日はなんだか変な日だな…」
よぎった何かを思い出そうとしても、黒く塗りつぶされたような何かに遮られて思い出せない。
まるでそれは、運命が拒否しているような、…そんな違和感だった。
「………あの子、…アストンマーチャン、…あの子が鍵を握っている」
522/10/13(木)23:43:53No.981900308+
グラウンドを探す、居ない。
図書室や施設を巡る───これもいない。
「君はどこに…」
「探し人ですか?」
「うん、どうしても話さないとって………うわぁっ!?」
「こんにちは、アストンマーチャ…」
「うん、アストンマーチャン、そうだ、そう、俺は、君を───」
622/10/13(木)23:44:24No.981900495+
君を?なんだ?何をしたかった?
また突っかかると、すぐに記憶が消えるように、不思議な感覚は己を支配する。
「……走りが、すごく魅力的だった、それで探してた」
「……あんなに遠くに居たのに、ちゃんと、見てくれたんですね」
「そう、それで、……君の夢、…みんなに覚えてもらえる存在になる夢を───」
「……っ!」
「……って、何言ってんだ俺、…そんなこと言われてもな…困るよね…ごめん」
「覚えていたんですね」
「──あっ」
何を覚えていたのか分からない、多分錯乱している。俺は何か変だ、…やっぱりこの子は何か…
…恐ろしいものを持っているのではないか。
722/10/13(木)23:44:47No.981900617+
「花を覚えていますか」
「花?」
「………そう、花を」
「花って、何の……?」
行きずまり、喉から声が出なくなり、…彼女はすっと微笑む。
「…さようなら、…また会えるといいですね、マーちゃんは信じてますよ」
彼女はそう言いきって、すっと居なくなる。
822/10/13(木)23:45:12No.981900778+
(不思議な子…いや、違う、何か決定的な…もっと大事な…)
922/10/13(木)23:45:46No.981900949+
その夜、俺はずっとノートに文字を書いて、書いて、乱していた。
『チョコレートの匂い』
『花畑、秋の花』
夢の中にいたあの子は…確信的な何かは…だけど、本当にそうなのか断定できない。
「マーチャン…ああ、誰だ、誰だよこれ」
頭を掻きむしり、しがみついて、やっぱり分からない。
彼女を俺は知っている。確かに知ってる。だけど真っ黒なインクが記憶に被せられて何も見えない。
「わっかんねぇ…」
春の夜は寒く、窓を開けると冷たい風が流れていく。
───その時だった
風が吹き、ノートが飛び、ひとつの付箋が出てくる。
「……あ、これ、……」
黄色と黒の花だった。確かに覚えている。
太陽のような花だ。…あの時の君のようだった。
───チョコレートの優しい匂いがした時、全てを思い出した。
1022/10/13(木)23:46:09No.981901068+
~~~~~~~~
本当に悲しいのは、忘れられること。
だけど、だからこそ、残って欲しい。


どんなものでも、いつかは忘れられます。
例えば声、性格、顔。
1年で声が、2年で性格が、3年で顔が───
忘れて、失われて、最後は何も無かったことになる。
だからこそ、覚えて欲しいと思う度に、その行為が如何に無駄なのかを思い知る度───
いっそう、人の記憶に残るにはどうすればいいのかばかりを考えて。
1122/10/13(木)23:46:48No.981901284+
『引っ越してしまうのですか?』
『うん、といってもそこまで遠くは無いけどね…』
みんな、覚えてくれるのに手を離してしまって。
そうして1年も経たないうちに忘れられて。
『覚えていてくれますか』
『覚えるって、何を』
『マーちゃんの名前、…子どもの頃から、そばに居た子の名前を』
『そんなの、忘れる訳が…』
そっと渡したものは、マーちゃんを示す物ではありませんでした。いつかは覚えていて欲しいけど、この時、この場所で、どうしても忘れて欲しくない人に……私を証明するものはありません。
マーちゃんは忘れません。だけど、皆は忘れてしまいます。
『コスモスの…押し花?』
押し花に、めいいっぱいの香りをつけて、静かな付箋に閉じ込めて。
『この香りを覚えていてくださいね』
『…うん ……アストンマーチャン』
『はい、マーちゃんは覚えてます、だから、覚えていてね』
1222/10/13(木)23:47:27No.981901501+
~~~~~~~


「……マーちゃん…忘れててごめん」
でも、それは運命が知ってはならないと警告をしていたようで。
俺と彼女が共に歩くと…不幸が訪れる、それを教えてくれていたようで。
空を見る。…今日は新月だった、黒い空に、ただ強く覚悟をする。
「誰も祝福をしなくても……ちゃんと、思い出したよ、…だから、大丈夫」
1322/10/13(木)23:48:11No.981901729+
どこにいるか分からないはずなのに、次の日の夕方、河川敷に向かう。
「マーちゃん!!」
「…ほわほわさんは知っていんですか?こうなること」
ぼんやりと墓石に向かって彼女はつぶやき、そうして立ち上がる。
「ごめん、遅くなった」
「思い出してしまったのですね」
「…」
どこか後悔を残した彼女の言葉…
分かっていた、自分たちは同じ道を歩んではならないことくらい。お互いに失いたくない、忘れてしまえばきっと楽だった。…彼女は何かに消されてしまうような───そんなの、昔から知っていた。
「……本当に悲しいのは、忘れられること」
「………!」
「君がずっと言ってたのに、俺は忘れてしまった」
すると、満足したような笑顔で、じーっと俺を見る。
「知ってます。あなたはとってもお寝坊さんですから」
「…うん」
1422/10/13(木)23:48:35No.981901855+
ゆっくりと立ち上がり、人形を見せる。
「…やっと」
「やっと?」
ううん、と彼女は首を振る。
「夢が増えました、……大きな夢の最初の1歩は、あなたにもう忘れてもらわないようにすることです」
「……うん!」
「明日のレース、見ててくださいね」
1522/10/13(木)23:48:56No.981901979+
~~~~~~~~~
どんなものも、忘れられていく。
命は流れるもの、流れていけば、皆手も届かず、どこかへと消えてしまう。
川が流れるように、いつか海に着くように。
だから、残さないと行けない、いた痕跡を、ちゃんと──
『生きてくことは、そういうものだと思ってます』
だけど、だけど──
『そうかな?俺はそうは思わないな』
あの時、あなたはそうじゃなかった。
『……どうしてです?』
『だって…生きていれば、もちろん意味を見出すことは大事だよ!人としての価値、それも凄く俺は大事だと思う、だけどね───』
1622/10/13(木)23:49:16No.981902088+
その言葉は、ずっと今も残っていて。
『生きてれば、いい事のひとつくらいあるじゃない』
『…………ほんと、能天気さん』
呆れた感じで、心の底から話しちゃって。
だけど、そうやってゆっくりと陽向に眠るあなたがどうしようもなく好きだった。
ずっと、その寝顔を見ていたかった───
それだけは、消えて欲しくないと思うのは、きっと…我儘なのです。
あなただけは、忘れられたくないと思っても、仕方ないと思う心と相反しても…
きっと、もう遠くに行ってしまったのだと
1722/10/13(木)23:50:16No.981902446そうだねx1
~~~~~~
忘れさせたくない、…最初に恋をしたのは、それが理由だった。細かく、足を紡ぐように、小さく、忙しなく、……そして速く。
圧倒的な勝利、見つめ続けた彼女は、ちゃんとゆっくりと戻ってくる。
「ちゃんと、見ていますか?」
「…うん」
瞳を覗き込むように、だけど俺も見つめ直す。
「……ずーっと、見てくれますか?」
「もちろん」
「じゃあ、合格です。」
「…じ~っ…」
「……」
「ふふっ、よろしくね」
優しく微笑むあの日を思い出して、もう一度笑った。
「また、取りに行きましょうね、コスモスの花を」
1822/10/13(木)23:50:39No.981902582そうだねx2
あなたは私のレンズさん、大切な大切なもうひとつの瞳なのだから。
1922/10/13(木)23:51:27No.981902850そうだねx11
っていうアストンマーチャンとトレーナーに安易な幼なじみ設定を付与した上で
高松宮超えて天皇賞・春辺りで世界から抹消される怪文書が好きなんだけど
誰か書いてくんない?
2022/10/13(木)23:52:05No.981903052そうだねx12

2122/10/13(木)23:52:31No.981903189+
あと今日はいつもの10時くらいに出そうとしたらもう居て
23時に出そうとしたらもういて久しぶりにファインモーション書いた時と同じくらいぐぎぎ…ってなったよ
怪文書がまた増えてきて嬉しい
2222/10/13(木)23:52:42No.981903249そうだねx1
おい待てぃ
もう書いてんじゃねーかありがとう
2322/10/13(木)23:52:58No.981903343そうだねx2
皆脳ミソ焼けてる楽しいね
2422/10/13(木)23:53:46No.981903660そうだねx16
ダメだ
抹消されそうになった上で引き戻して子宝にも恵まれろ
2522/10/13(木)23:53:51No.981903687+
やだやだやだやだやだやだ抹消されるのは嫌だ
消されないままちゃんと付き合ってイチャイチャして結婚しなきゃヤダ
2622/10/13(木)23:54:10No.981903799+
マーちゃんを消させない為にループしてる感じになりそう
というか脳内ではそうなってる
2722/10/13(木)23:54:46No.981904013そうだねx2
セックスシーンまだ?どうでもいい前書きが長いよ~
2822/10/13(木)23:55:17No.981904190そうだねx4
読んでて分かったけど
これそうか忘れてる時はマーチャンって言ってるけど
思い出してからはマーちゃんになるのか…イントネーションの違いとは言え本当に知ってないと出せないんだよねその言い方は…
2922/10/13(木)23:55:48No.981904378そうだねx3
あの……黒いコスモスの花言葉って……
3022/10/13(木)23:56:12No.981904520そうだねx2
トゥルーに入るにはダスカとウオッカとアマさんの好感度を稼ぎつつマーちゃんの育成もしなきゃいけないんだな…
3122/10/13(木)23:57:01No.981904802+
>あの……黒いコスモスの花言葉って……
>恋の終わり、恋の思い出、写り変わらぬ気持ち
3222/10/13(木)23:58:57No.981905464+
海だった、深海のように深く、遠い景色のようで、誰もいない。
そうだ、戻らないと、…………そうだ、ここは?ここはどこなんだ?
真っ暗な景色で、いくらあるっても帰り道は無い。
途方に暮れ、俺はしゃがみこむ。
「……全てのものは、海に還る…上流から下流へ、何もかも連れて行って……」
俺は何をしていた、思い出せない
真っ黒なインクがまた脳を支配している。…そして、今度はあの時と違っていた。
「………潮時、なのか」
3322/10/13(木)23:59:20No.981905586+
どこで間違えたのか?覚えていない。
自分はどうして死ぬと思った?覚えていない。
……そうだ、彼女は消えかけていた、この世界からなかった事のようになっていた。
「…三女神に文句言ったのが間違いだったかな」

マーちゃんが消えるなら、俺が消える。そんなことを叫んで文句を言ってた記憶がある。
……だとするならば…
「…死ぬのかな、俺」
ぼんやりと空を見る、新月だった、月は無い。
…そういえば、彼女を思い出した時もそうだった。
「…黒い空、コスモスの花、…大切なものは、いつでも近くてずっと遠い」
3422/10/13(木)23:59:41No.981905705+
海へと歩く、冷たくなかった。
もう一歩進む、自然と胸は晴れやかだ。
もしかしたら、自分は悪魔と契約をしてたのかもしれない。
だから、この行為に意味がなくて、実は2人とも共倒れなのかもしれない。
でも、───心は今、晴れやかだ。
2人とも死ぬなら悪くないなんて本気で思い始めてる。
「いや、それじゃダメだ、ちゃんと生きていて欲しい。マーちゃんは生きてくれ、どうか、ちゃんと夢を……」
「……忘れないから、見てるから、頑張れよ……」
波が押し寄せるようにやってきて、飲み込まれた時、意識は静かに手放していた。
3522/10/14(金)00:00:07No.981905868+
────────────────
白昼夢は強く目を覚まし、白色の景色はつんざくように目をこじ開けていく。
「……夢?」
辺りを見回すと、異変にすぐ気づいた。
何かがない、大切な何かが。
「トレーナー室…誰の、トレーナー室?」
そう、私のトレーナー室。マーちゃんの野望を叶えるための場所。
「………いない」
彼が、彼?彼とは?
3622/10/14(金)00:00:19No.981905954そうだねx5
まってまってまてまてまてまてまてまて
3722/10/14(金)00:00:36No.981906075+
「うーん…確かに記録には残ってますが───公式記録にはトレーナーの詳細が分かりませんね…」
「わからないねぇ、確かにトレーナーはいた気がするけど、スっと消えてしまって…」
「おはよう、アストンマーチャン、君のトレーナーは転勤…したんだっけ、だから新しくトレーナーに着くことになった、よろしくねっ」
女性トレーナーの新人の方でした。見たこともない人です。
3822/10/14(金)00:00:59No.981906209+
最初から、居なかったと決められてしまったようでした。
違和感は確信に変わるのに、断定するものはどこにもない。
「一人でこの四コマブログを作ってたのかい!?すごいね…!」
「いえ…それは──」
写ってたはずの映像のどれにもあなたは居ない。
ううん、いや、絶対居たはず、だってこの映像には──────
「今日は彼と来ています、美味しいケーキを食べるんです」
彼、そう、──彼です。
彼は映らなく、声もしない。違う、ここに映っていた──この店の前で照れ臭そうにしてました。
「どうして、……どうしてあなたが居なくならなきゃいけないんですか」
3922/10/14(金)00:01:21No.981906334+
思い出を残すとき、人形があります。
形にすることで、きっと人は思い出せる。
写真がある事で、ちゃんと映っています。
人の声は1年で忘れられ、人の名前は2年で忘れられ、顔は3年で忘れられる。
だから、不滅でいて欲しい、本があれば名前が残り、映像があれば声と顔が残る。
私はたくさん残してきました、今日に至るまで、失われなかったのに。
やっと思い出した時に、その優しい笑顔といつも傍で精一杯動く彼の姿が映って…
「……居なくならないで」
本当の、本当は、たった1人にずっと残ることを望んでいたのかも知れません。
4022/10/14(金)00:01:46No.981906502+
「どうしたの?アストンマーチャン」
優しい声で語る彼女に、縋る声で聞く。
「前の方を知っていますか」
「ごめん…私…急に来ちゃって…そもそも前の人、本当に居たかも分からないから…」
「彼を探してるんです、…もう、この世界に居ないかもしれない…です…」
「前の人はどういう人だったの?」
記憶が波が、優しい音が全てを失わせている。あの声は確かに強かった。あの笑顔はいつも太陽のようで好きだった。
そしてそれが急に失われて、大きな事故を起こして───それで───
事故?
そうだ、彼は、私をあの時庇って──
「────────病院」
「ん?」
「そう、病院……私の、お母さんが働く病院に」
ゆっくりと立ち上がり、思わず外に出る。
「ちょっ、ちょっと待って!」
4122/10/14(金)00:02:08No.981906642+
あの病院に彼がいる。
号室は覚えてる、632。
何度も。毎日、夜までずっとそばに居たから。
最後の夢のような感覚が終わったら…消えていた。そこにある、そこにいる。
「早く…もっと…もっと….!!」
消えてしまう前に、最後の痕跡が消えるまえに。

たどり着け、たどり着いて───!!!
4222/10/14(金)00:02:31No.981906779+
受付を抜け、階段を上り、6階の奥の大きな部屋の扉に着く。
鍵が閉まってるとか、他の人がいるかもなんてどうでも良くなっていました。もうそんなことを考える暇もないのです
ただ、残ってるかもしれない、そんな呪いのような思いだけで───


扉を開け、あの時泣いていた窓の先、大きなベット───誰もいないベッドの椅子に、ひとつ写真が置かれていた。
「これは………」
4322/10/14(金)00:02:51No.981906895+
写真は2枚、トロフィーを握る私と、トレーナーの2ショット。
何となくちょっとだけ映る感じで、トレーナーの人気も使えるな…なんてずる賢いことを考えてた時の写真でした。
『スプリンターズステークス…レコード達成、不甲斐ないトレーナーだが、初めてのG1を達成した、…本当にありがとう』
『高松宮記念、どんなに世界が君を見なくても、───ずっと見ているから、覚えているから』
「……………!!!」
涙が落ちて、文字が滲み、そして消えていく。
そこにいたはずの存在が、消えていく。
写真の文字が、あの声が、体が、全てが。
「お願い…消えないで…覚えて…覚えていて欲しいのです…………」
もう少しだけ、もう少しだけ…。
あなたがいた時間を、あの日々を
4422/10/14(金)00:03:11No.981907009+
ポロリと、あるはずのない紙が落ちる。
付箋、花は枯れていて、黒ずみ、だけど、優しい香りがしていた。
窓が開き、春風が流れ込んで、そして拾い上げる。
4522/10/14(金)00:03:32No.981907205+
『忘れないから、見てるから、頑張れよ』
4622/10/14(金)00:03:55No.981907382+
「───はい」
桜が散り、風はゆっくりと熱を持つ。
空は青空で、澄み渡っていた。雲はなく、どこまでも澄んでいる。
最後の記憶は消えていき、存在はなかったことになる。
だけど、……ちゃんと、ここに私はいました。
「………………見ててくださいね、───さん」
最後の名前は、飛び立つ鳩の群れにかき消されてしまった。
4722/10/14(金)00:04:41No.981907727そうだねx5
>っていうアストンマーチャンとトレーナーに安易な幼なじみ設定を付与した上で
>高松宮超えて天皇賞・春辺りで(トレーナーが)世界から抹消される怪文書が好きなんだけど
>マーちゃんはちゃんと残って夢を叶えることが出来たからハッピーエンドなので美しいね
4822/10/14(金)00:04:59No.981907838+
欺瞞!!!!
4922/10/14(金)00:05:12No.981907937そうだねx4
美しい…
5022/10/14(金)00:06:16No.981908339そうだねx3
自分が消える覚悟は出来てても他人が消える覚悟は出来てなかったんだよね...
5122/10/14(金)00:06:36No.981908454+
うるせえハッピーエンドになれって心と古の泣きゲー感が合っていいという2つの心があって苦しい
5222/10/14(金)00:06:57No.981908617+
トレーナーが先に海に行ってもそれはそれでメンタル再起不能になると思うんですけど!
5322/10/14(金)00:07:35No.981908942そうだねx4
>うるせえハッピーエンドになれって心と古の泣きゲー感が合っていいという2つの心があって苦しい
ヒロインが消えるパターンが王道だけど
正直ヒロインより主人公が消える方が心の傷は大きくて良いね……
5422/10/14(金)00:08:31No.981909326+
>トレーナーが先に海に行ってもそれはそれでメンタル再起不能になると思うんですけど!
大丈夫だよ世界から抹消されてマーちゃんの記憶からついに名前も抹消されたから
5522/10/14(金)00:08:59No.981909519そうだねx4
セックスは!!!!??????
5622/10/14(金)00:09:30No.981909735そうだねx1
人の心とか無いんか?
5722/10/14(金)00:10:23No.981910094+
鍵は両方あるもんな…
5822/10/14(金)00:11:08No.981910406+
でもまあ俺も育成終了後に海に行って止めようとするけどもう時間なのですって言って海に身を投げるから追いかけて抱きしめながら海の中で2人が交わる妄想ならしたから分かるんだよなぁ
5922/10/14(金)00:11:55No.981910707そうだねx4
>>あの……黒いコスモスの花言葉って……
>>恋の終わり、恋の思い出、写り変わらぬ気持ち
黄色いコスモスは「野性的な美しさ」「幼い恋心」
そしてコスモスは……秋桜……
プロか何か?
6022/10/14(金)00:12:29No.981910911+
黒がマーちゃんで黄色がトレーナーか………
6122/10/14(金)00:12:33No.981910934そうだねx2
>人の心とか無いんか?
神様にそんなの求めるなよ
6222/10/14(金)00:13:30No.981911285+
抱き寄せたら身体を許してはくれるけど
温泉以外でそれやると思い出になって海直行な気がしてならない
6322/10/14(金)00:15:41 sNo.981912305そうだねx2
ちなみにこれ蛇足になるから正直出すか迷ってるんですけど
⏰からのマーちゃんが海にいってトレーナーを助けるパターンも書きかけてはいるんですけど
でもなぁ蛇足だよなぁこのままが1番美しいよね…
6422/10/14(金)00:16:23No.981912584そうだねx1
何やってんだあくしろ
6522/10/14(金)00:16:30No.981912624そうだねx6
>ちなみにこれ蛇足になるから正直出すか迷ってるんですけど
>⏰からのマーちゃんが海にいってトレーナーを助けるパターンも書きかけてはいるんですけど
>でもなぁ蛇足だよなぁこのままが1番美しいよね…
そのコメントが一番蛇足だと思う
6622/10/14(金)00:17:39No.981913051そうだねx1
>ちなみにこれ蛇足になるから正直出すか迷ってるんですけど
>⏰からのマーちゃんが海にいってトレーナーを助けるパターンも書きかけてはいるんですけど
>でもなぁ蛇足だよなぁこのままが1番美しいよね…
ここで十分綺麗に終えられてるからこっから蛇足を入れても別ものとしてちゃんと観れるから大丈夫だと思うぞ
というか単純に分岐として見てみたい
6722/10/14(金)00:17:50No.981913134そうだねx1
出せ!!お前ならできるはずだ!!出せ!!出すんだ!!
ちゃんと幸せにしろ!!
6822/10/14(金)00:18:12No.981913259そうだねx2
グッドエンドなんてそのくらい陳腐でいいんだ
だから早くお出ししてくれ
6922/10/14(金)00:18:56No.981913535+
すごいノリがimgらしくなくて背筋冷たくなった
7022/10/14(金)00:19:18No.981913672そうだねx2
ふざけんな足生やせ
7122/10/14(金)00:20:11No.981914000そうだねx10
>すごいノリがimgらしくなくて背筋冷たくなった
そりゃ大変だ
暖かくして寝ろよ
7222/10/14(金)00:22:35No.981914982そうだねx1
その言い方は出すんだろ?俺は良く知ってるから早くだすんだ
7322/10/14(金)00:28:21No.981917070+
静かな海で、俺は思い吹ける。
思えばここまでよく生きていたものだと。
だから、これで──

「ダメです」
「……マーちゃん」
「行かないで、ください」
「…君が消えちゃうよ」
全てを終えたら居なくなる、そう決めていた、覚悟していた。
「だけど、代わりに消えるのはダメです。」
「……」
「生きてたら、いい事もあるって教えてくれたじゃないですか」
「────っ!!」
7422/10/14(金)00:28:44No.981917190+
「…うん」
「帰りましょう」
「どうやって」
「あ、確かに分かりません、困りました」
「だよね……」
そんなふうに冗談を言うと、急に眠気がやってくる。
「ごめん…なんか…眠い……」
「本当、お眠りさんですね」
「ごめん…」
倒れ込むように眠る彼を支え、ゆっくりと仰向けにして…寝顔を覗き込む。
「……ずーっと見ててください、ずーっと覚えていてください。」
7522/10/14(金)00:28:55No.981917246+
私にとって、それだけ大事なんですよ
そんな小さな言葉は、静かにかき消されてなくなってしまった。
7622/10/14(金)00:29:23No.981917405+
「──きて、ください」
「──て、船がなくなったら、流され──」
「……ん、うぅ……あれ…?」
「………っ!」
「いって、いてて…俺は…なんでここで寝て…?」
「起きて……くれたんですね…!」
「マーちゃ…」
ぎゅっと抱きしめられて、服が濡れる。
「ずっと、ちゃんと、見て、覚えていて、欲しいです」
「……………うん、……あと、その」
「……?」
「痛い…全身が、凄く」
「あっ」
7722/10/14(金)00:29:36No.981917483+
………数週間を経て、俺は無事完治して退院した。
「……その、迷惑かけちゃったね」
車椅子を引かれ、骨が完治するまでは彼女に運ばれる生活になってしまっている。
これではトレーナー失格だ──なんて話すと、それはそれでいい視点で四コマが撮れるから…なんて彼女は冗談めかして話す。
「秋までは時間があります、…ゆっくりと、ゆっくりと歩みましょう」
「うん」
「それと…これ、返します」
「これは…」
コスモスの付箋、あの時と違って黒ずむように枯れていて、もう使えそうになかった。
「…スプリンターズステークスが終わったら、取りに行きましょうね」
「…うん」
「…次は何色がいいですか」
7822/10/14(金)00:30:01No.981917616そうだねx5
「白と…ピンクにしよう」
「……そうですね、そうでしょうとも」

桜並木の道は、どこまでも満開だった
7922/10/14(金)00:30:21No.981917721そうだねx3
書ききった!!!終わり!!
8022/10/14(金)00:30:41No.981917844そうだねx2
よくやった!
8122/10/14(金)00:31:04No.981917966そうだねx1
ようやくトゥルールートに入ったか…
8222/10/14(金)00:31:06No.981917976+
おつかれ!!
これ渋にもあげた方がいいんじゃない?
8322/10/14(金)00:32:36 sNo.981918441そうだねx2
>おつかれ!!
>これ渋にもあげた方がいいんじゃない?
あげるとしても数ヶ月とか時間だったらこっそりあげようかな
ゴミ溜めに投げるくらいがちょうどいいんだ
8422/10/14(金)00:33:43No.981918790そうだねx1
白とピンクはどっちも花言葉は純潔か…
いや抱けよ!?!?
8522/10/14(金)00:33:57No.981918851+
お疲れ様!
トレーナーいなくなって終わるルートもその後のハッピーエンドもどっちも良かったよ
8622/10/14(金)00:35:20No.981919263+
ヤッてないじゃん!!温泉は!?
8722/10/14(金)00:35:22No.981919278+
>>おつかれ!!
>>これ渋にもあげた方がいいんじゃない?
>あげるとしても数ヶ月とか時間だったらこっそりあげようかな
>ゴミ溜めに投げるくらいがちょうどいいんだ
(この小説どっかで読んだような...まあすき!しておくか...)
8822/10/14(金)00:40:44No.981920954+
そうやって、十数年が過ぎた。
「おや…まだ売上が出てるのか」
「もう、恥ずかしいですから」
「…なんだ、夢だったんでしょ?これくらい堂々と叶ったんだから…」
「……かなっても、凄くぽっかりと穴が空く感じで」
「…」
覚えて欲しい、痕跡が残らないとならない…そうやって躍起になったのに、失ったのはかげがえのない人だった。
だから、もう分かってるんですよ、本当に大事なのは。
「………ずっと、そばにあなたがいる」
「……マーちゃん?」
「生きていれば、いい事はある、…ありました、こんなに多いとは思ってもませんでしたよ」
「……うん」
8922/10/14(金)00:41:16No.981921120+
優しく、キスした上で……
「痕跡も、ずっといる時間も、もっと、もっと見てください」
「…もちろん」
静かにキスを返し、閨は暗く落ちていく
今日もまた、逃がしてはくれなそうだった。
9022/10/14(金)00:41:46No.981921265そうだねx3
っていうだいぶ時間たって改めて夢の価値と大人になって哲学と現実を見返すのもいいと思うんですよ
9122/10/14(金)00:42:12No.981921400+
ヤッたんだな!?!?!?!?
9222/10/14(金)00:43:35No.981921805+
神様は何も禁止なんかしてない
9322/10/14(金)00:43:52No.981921890+
ノーマルエンドとグッドエンドとトゥルーエンドにアフターデイズまでありがとうございます
9422/10/14(金)00:44:41No.981922126+
跡をつけるのは大事だな!
9522/10/14(金)00:45:04No.981922253そうだねx1
あとなんか時間許す限りまで書いたら寝れそうだから
シチュ出したら書くね…
9622/10/14(金)00:45:40No.981922436+
>あとなんか時間許す限りまで書いたら寝れそうだから
>シチュ出したら書くね…
出産!!!子育て!!!!!!!
9722/10/14(金)00:45:52No.981922490+
迸るkey風味
9822/10/14(金)00:46:02No.981922544+
fu1536838.mp4
9922/10/14(金)00:47:28No.981923031+
>fu1536838.mp4
ウワーッ!?重い!!
10022/10/14(金)00:50:50No.981924063+
>ゴミ溜めに投げるくらいがちょうどいいんだ
ワハハ
10122/10/14(金)00:51:37No.981924305+
>出産!!!子育て!!!!!!!
「おかーさん、この本は何?」
「これですか、むかしむかしにいた、人気バに隠れて一生懸命、世界に我ありと叫ぼうとしたウマ娘と、それにずっと尽くしたトレーナーの本ですよ」
「……お母さんじゃん!」
「まあまあ年上の公って事で聞いてくださいな」
「…んー…お母さん、本になって、ぬいぐるみになってばっかり!」
「…それを価値があると思って、昔は全力だったんです」
「どうして?」
「生きてく時、何も残らないのが…きっと、怖かった。…大切なものとか、そういうのも全部なしで、生きてくことに理由が見いだせなかったんです」
「……うー?」
「でも、でもですよ、…その時、転換点として、この子のトレーナーさんは言ったそうですよ、『生きていればいいこともある、悪いことの方が多いけど、いいことがあるなら生きる理由がある』……と」
10222/10/14(金)00:52:00No.981924433+
「…今も、名将のトレーナーとして、未勝利からG1まで等しく育てるあの人は……」


私も残るように、あなたも残ったのです。
子供も、未来も、たくさんのウマ娘の時間と、生きる意味が残りました。

……今日は、涼しいいい秋空ですね。
「コスモス、咲いたでしょうし、しおりでも作りましょうか」
「うん…!ママ!」
ゆっくりと椅子から立ち上がり、庭へと足を運ぶ。
今日は、澄み渡る秋空だった。
今日のいい事は、これで充分なのです。
10322/10/14(金)00:52:22No.981924528そうだねx4
という具合でいかがでしょうか
10422/10/14(金)00:53:41No.981924927+
良い…
10522/10/14(金)00:53:43No.981924940+
ありがとう…ありがとう…
素晴らしい…美しい…
10622/10/14(金)00:55:55No.981925623+
ああ…いい…
10722/10/14(金)00:57:12No.981925988+
トレーナーさんだけ消えた√の後日談は在庫ありますか…?
10822/10/14(金)00:57:22No.981926035そうだねx7
投稿するところ以外は完璧だ…
10922/10/14(金)00:59:05No.981926552+
>投稿するところ以外は完璧だ…
マジでプロかと疑う完成度なのにこんなクソのゴミ箱に捨てるな
11022/10/14(金)01:00:30No.981926897+
まぁここの様なゴミ溜めに投稿しない方がいいのはわかるがよ…
11122/10/14(金)01:01:53No.981927245+
最高だったありがとう…
11222/10/14(金)01:03:13No.981927605そうだねx2
渋とかにまとめて投げても良いんだよ…
11322/10/14(金)01:03:27No.981927669+
最初は好感度そこそこで心に傷を残し二週目はは好感度を上げたけど何かが足りなくてプレイヤーの消失が起きて三周目でようやく好感度以外の条件を把握してトゥルーに届く
こうやって書くと泣きゲーそのものだ…
11422/10/14(金)01:04:17No.981927893そうだねx1
俺も渋にたまに出してるけど最新作は閲覧数1000超えたし結果が目に見えると嬉しいよ
11522/10/14(金)01:08:24No.981928933+
チョコレートの匂いってコスモスの匂いなのか

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