学術会議の「大誤報」を露呈したフジ平井文夫・上席解説委員、その知られざる素顔

1982年入社、報道畑を歩んできた

「誤解を一部に与えてしまった」

「だって、この(日本学術会議の)人たち、6年ここで働いたら、そのあと(日本)学士院ってところに行って、年間250万円の年金をもらえるんですよ。死ぬまで」

フジテレビの平井文夫・上席解説委員(61)は10月5日放送の情報バラエティー『バイキングMORE』でこう解説し、学術会議メンバーの驚くほどの好待遇を暴いた。司会の坂上忍(53)たちから「えーっ」と一斉に驚嘆の声が上がったのも無理はない。政権に反発する学術会議のエゴが露わになった。

もっとも、この解説が誤りだったのはご存じだろう。学術会議出身者が無条件で学士院の会員になれるわけではない。学士院会員の選考において学術会議出身者かどうかは関係のないことだ。

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文献等を調べたら簡単に誤りだと分かるので、平井氏はすぐに謝罪・訂正するものと見られた。誰にでも誤りはある。だが、実際にはちょっと違った。

翌6日朝、平井氏はワイドショー『とくダネ!』に出演。「誤解を一部に与えてしまった」と発言したものの、間違いと認めなかった。そして、今度はこう解説した。

「学術会議の会員は学士院の会員に推薦されますが、ならない人もいます」

これも正しい表現とは言えなかった。そもそも学術会議は内閣府の所管である一方、学士院は文部科学省の特別機関で、まるで別組織。2つの組織を関連付けて解説すること自体、無理がある。

平井氏が誤りを認めず、訂正内容も妥当なものとは言い難かったこともあって、朝日新聞、毎日新聞、SNSなどが厳しく批判した。大学教授らも怒りの声を上げた。解説委員の言葉が、ここまで騒動となるのは前代未聞に違いない。平井氏の誤った解説が政権側に利することになるはずだったのも騒ぎが大きくなった背景にはあるだろう。

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