「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。

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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

ときめき

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 若かりし頃、大好きな先輩に憧れて胸ときめいた思い出があります。その方を見かけただけで、心が躍り、胸がキュンとなるような気持ちです。それは、とても嬉しいのに、恥ずかしくて隠れたくなるような不思議な思いでした。最近は、そのような気持ちになることも少なくなり、とても懐かしく感じます。

 どこかで「心がときめく恋の賞味期限は3年」という記事を読んだことがあります。興味深く、大変印象に残った言葉ですが、おそらく、胸がドキドキするような恋愛、憧れのような感情は長続きせず、せいぜい3年で治まるという意味だと解釈しました。逆に3年以上続けば、本物ということかもしれません。

 毎夕の「教会の祈り」で「マリアの賛歌」と呼ばれる祈りを唱えます。

 マリアは、天使の受胎告知の後、そのお告げが確かなことかと、急いで山里に向かい、親族エリザベトを訪問しました。そこで、お互いの中に働かれる神の業を認め、「わたしの心は神の救いに喜びおどる」と神を讃えたのです。(参 ルカ1・46)マリアのこの「喜びおどる」という心境は「ときめき」であったと、私は感じています。それは、私が若い頃に先輩に抱いた憧憬の念や「賞味期限」があるような一時的な感情ではありません。

 お告げを受け、イエスの母となったマリアが、その後、どのような人生を歩まねばならなかったかを祈る時、マリアのこの賛歌が、どれほど深く、痛みが伴うものであったかがわかると思います。マリア自身、生涯をかけて、神のお告げの言葉を「心に留め、思い巡らし」、神から与えられる「よろこび」、「恵み」の意味を味わい、神への真の「ときめき」を深めていったのだと思います。