デジタル庁の今 vol.3行政データの共通化、手続きのデジタル化への挑戦
業界で注目を浴びるスタートアップの会社自体ではなく、今一番求めているポジション(急募求人)にフォーカスを当てて掘り下げていく本企画。
今回は番外編”デジタル庁の今”として4回に渡ってインタビューを実施。今注目を集めているデジタル庁準備室のお仕事について、実際にデジタル庁準備室で勤務しておられる皆様にお話を伺います。
3回目の今回は、デジタル庁準備室でシニアデータスペシャリストを担う長谷川さんに、仕事の詳細ややりがいをお聞きしました。
本記事の登場人物
内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 シニアデータスペシャリスト※ 長谷川亮
株式会社HERP 代表取締役CEO 庄田 一郎
デジタル庁準備室について
デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指し設立準備中。
徹底的な国民目線でのサービス創出やデータ資源の利活用、社会全体のDXの推進を通じ、全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく、取組を推進しています。
本記事で取り上げるデジタル庁準備室の求人
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ユーザーは最初から国民全員。ベースレジストリの整備で国民のユーザー体験を改善する
その後ウェブメディアやリクルート等の企業を経て、2018年にメルカリに入社しました。当時はスマホ決済の黎明期で、メルカリもちょうどメルペイを始めるタイミングだったので、そこにデータアナリストとして関与することとなりました。
メルカリとメルペイのデータを円滑に使うにはどうすればよいか?データを安全に使うために何を守るべきか?データを簡単に使うにはどういうサポートが必要か?など、様々な課題を通してデータガバナンス全体の推進を担ってきました。
それをきっかけにデジタル庁の思想や成したいことを理解し、 これはぜひ実現すべきミッションだと共感したり、GaaS(ガバメント・アズ・ア・スタートアップ)という考え方に対してもワクワクを感じて、自分もチャレンジしてみたいと思い応募しました 。
入庁してみて少し経ちましたが、 ユーザーは最初から国民全員 。 こんなスタートアップは他にないと思います 。
自分のスキルアップにもなりますし、自分がやってきたことを日本社会をより良くすることに繋げていけそうと感じていて、とてもやりがいがあります。
例えば役所で書類を提出する際に「住所を書いてください」と言われることがありますが、そもそも届け出ているのだからすでにそのデータは持っているはずではと思いませんか?
こういった非効率な、ユーザー体験が悪い部分を解決していくためのプロジェクトです。
めんどくさいだけだったらまだしも、直近起きているのは、コロナの影響で事業者が休業をしていてもすぐにその保障を受けられないという問題です。
それはなぜ起きているかというと、データの所有が複数省庁にまたがってしまっていて、本当に申請者が本人かどうか?とか、この書類とこの書類の内容は一致しているか?などの確認に時間がかかってしまっているからなんです。
このままでは国民の便益に悪影響があるので、住所や事業所・事業所に対して与えられている営業許可証などだったりが全部つながっていて、各手続きに即時対応できる状態にしていこうとしています。
ベースレジストリは日本にとって初めて取り入れるものなので、 誰かから指示があるというよりはみんなで0から作っています 。それに対して各省庁も協力してくれることも働きやすさのひとつですね。むしろ「ベースレジストリにこういったことも加えたいが可能か?」など建設的な要望をいただいていて、ありがたいです。
アジャイルにレガシーな環境を変革していくデジタル庁の仕事
これまでの官公庁のリリースは完成版を一気に出すやり方でしたが、 デジタル庁ではアジャイルにやろうという考えが強い ので、ベースレジストリもできるところから進めていこうとしています。
今年から来年にかけて、プロトタイプの運用が始まります。その中から公開可能なものを順次公開していく予定です。
リソースを確保するためには民間人材含めて採用していく必要がありますが、彼らにとってデジタル庁含めた省庁が働きやすいかというと、今はまだ民間企業のほうが働きやすい状態だと思っています。それでは国民のために大きな挑戦がしたいというパッションのみに頼ることになり、母集団が限定されてしまうので、 まずは働きやすさの整備をしながら、並行して仲間を増やすための発信もしていかなければならないと思っています 。
優先度高く改善が必要な部分ですね。
また、 対象カスタマーは全国民、調整範囲は全省庁という壮大なスケールに挑戦したいというチャレンジ精神のある方にとっても、またとない環境だと思います 。人に任せていては何も進まない。自分がやるのだという意識を持ってぜひ応募して欲しいなと思っています。
例えば住所を届け出たのにデータとして取り込めないという問題においては、マンション名の有無等の表記揺れ問題を、どう認識してどう計測して正しいジャッジに繋げるかの検討が必要です。そういうことを考えて企画としてまとめたり、各所に散らばっているデータをうまくつなぎ合わせてデータの連携基盤を作ったり、その整備をやったことのある人を歓迎したいです。
実際の業務は、ベースレジストリについての考え方の企画・設計を我々が担当し、ベンダーさんにお伝えして一緒につくっていくことになります。
また、既存ルールの中で戦うのが民間企業ですが、 ルールをつくっていくところに携われるというのは民間企業だと経験しづらい面白さだと思います 。
デジタル庁という組織は新しい意見を取り入れようという文化ができてきているので、民間非常勤に対しても、省庁での業務についてどんどん意見を言って欲しいと言われているんです。そんな環境でルールメイキングから携われるのはなかなかないと思うので、ぜひたくさんの方にご応募いただきたいです。
国民の未来を担うデータエンジニアリングに携わりたい方は、ぜひご応募いただけたらと思います。長谷川さん、本日はお話ありがとうございました!
筆者の感想
今回はデータエンジニアリングという観点からデジタル庁の挑戦を支える長谷川さんにお話をお伺いしました。ベンチャー企業の代表ともいえるようなメルカリで勤務をされながら、全く環境の違うデジタル庁準備室にてカルチャーのギャップを感じながらもその状況をある意味楽しみながら価値を作っていくことに全力集中されておられる様子が全てのお話から感じられ、我々が日々行っている行政関連の手続きもいつか大きく変わるんだと、今から実感することができたインタビューでした。データを整えるというお仕事ではなく、ルールメイキングをする仕事だとおっしゃられていた点も非常に興味深く、データ活用をここまで意味のある形で価値に変えられる仕事も多くはないのではないかと思います。これまでの経験を日本全体にとって意味のある形、価値のあるものに変えるチャレンジが確実にできると思いますので、興味のある方は一度求人票をチェックしていただきたいです。
※所属部署・役職は2021年7月当時のものです
本記事で取り上げたデジタル庁準備室の求人
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