ある日本刀研磨師が私の為にナイフを製作
してくださった。
剣道教士七段の先生だ。
手慰みで作ったハイス鋼のナイフだが、
本職が日本刀研磨師であるので、この洋式
ナイフにも日本刀的要素が織り込まれてい
て、とても興味深く思える。
片刃である。
片刃なのに片方はハマグリ刃という形状。
思わずニヤリとなる。
ミラーフィニッシュ。
使うのが躊躇われる程に美しい。
鎬のラインは日本の刀子と同じラインで
あり、ここも思わずニヤリとなる。
洋式鋼材の洋式ナイフでも、こういう
ような方向性もアリだと思う。
フルタングだ。



一番ニヤリとしたのがここ。
一番ニヤリとしたのがここ。
これは洋式ナイフしか知らない人は研ぎの
手を抜いたとか思うかもしれない。
日本刀の研ぎと同じく、うぶ刃を残して
いるのである。戦闘刃物ではこの部分は
使わないし、強度確保のために根元の刃
を落とすのが日本刀の定石なのだ。
しかし、野外創作野営=ブッシュクラフト
ではこの部分も大いに使うので、私は自分
で刃を付けることにする。
シースも研師の先生の手作り感満載だが、
こんな心のこもった物を頂けるとは私は
幸せ者だ。
物ではなく御心を頂いた。
ありがたい。
大切に、しかし、死蔵は決してさせずに
ガンガンと実用で使いたい。
きっと、このナイフと共に良い時間が流れ
て行くことだろう。
私が死んだら、次の人にも遺し伝えたい。
そんなナイフだ。
本物の剣士が自ら作ったナイフかあ。
なんだかとてもいい感じ。
見ていると、スーッと澄んだ空気の中に
爽やかなそよ風がそよぐような作品です。
濁ってない。
このナイフには、ある一つの魂を感じ
ます。