2021.09.13

「ヴィーガン」で白砂糖はNG?その理由と代替品について解説

白砂糖に動物由来の成分が入っていることはご存知でしょうか?動物性食品の摂取を避ける「ヴィーガン」では、白砂糖も摂取しません。

本来は調味料として活躍するはずの白砂糖。何故、ヴィーガンでは摂取を避けられてしまうのでしょうか?それは、白砂糖を作る工程に理由がありました。

この記事では、ヴィーガンに白砂糖が避けられる理由と白砂糖の代替甘味料について解説します。

ヴィーガン食で白砂糖が避けられる理由

白砂糖に動物由来の成分が入っていることはあまり認知されていませんが、実は「骨炭(こつたん)」という成分が入っているのです。

白砂糖の精製工程では、砂糖の脱色やろ過の目的で「骨炭」が使われています。「骨炭」とは、牛や豚などの畜産動物の骨を蒸し焼きにしてできた黒い炭のことです。

畜産動物の骨は表面に小さな穴が多く開いていて、脱色や不純物の除去に適しているためフィルターとして用いられているのです。

こうして動物の骨を使ってろ過された砂糖であることが、ヴィーガン食で摂取を避けられる理由となっています。

白砂糖の製造工程とは?他の砂糖との違い

具体的に白砂糖の製造工程はどんなものか解説します。基本的には白砂糖、黒砂糖、三温糖は途中まで同じ工程をたどります。

まず、収穫されたサトウキビを細かく切り刻んで汁を搾り取り、石灰と合わせて煮込み、不要な成分を取り除いたうえで煮詰めると、黒砂糖が出来上がります。

さらに汁を煮詰めて結晶を作り、少量の水で練ると三温糖ができます。ここまでは同じ工程ですが、この先が白砂糖ならではの工程になります。

白砂糖にするには、脱色脱塩をするために不要な成分を取り除き、煮詰めて結晶を作ります。

これを遠心分離器にかけて糖蜜と原料糖に分け、原料糖に温水を加えて溶かし、図のように段階的に不純物を除去して再び結晶化させることで、白砂糖が出来上がります。

上図でも、脱色の段階で「骨炭」が使われていることがわかりますね。また上白糖や角砂糖も同じ製造工程をたどっていることから、ヴィーガン食では摂取を避けられています。

白砂糖の代用甘味料6選

白砂糖は安価であるうえ味にクセがなく、調理に使っても食品に色が付きません。そのようなメリットから、白砂糖は市販される多くの食品に使われています。

では、ヴィーガン食では白砂糖をどのような甘味調味料に置き換えているのでしょうか?ここでは、その一部を紹介します。

1. 黒糖

砂糖の製造工程で、もっとも早い段階で出来上がる黒砂糖。サトウキビの絞り汁をそのまま煮詰めたものなので、白砂糖のように「骨炭」による脱色やろ過がありません。

ミネラルやビタミンが豊富で、身体に優しい甘味料と言えます。料理に使うと味にコクが出るため、煮物に使われます。黒糖はそのままなめても、懐かしい味を感じられますよね。

ただ、「加工黒糖」と表記されている場合は、「骨炭」を使って精製されている可能性があるため注意が必要です。購入する際は「未精製」の表記があるものを選びましょう。

2. てんさい糖

砂糖の原料はサトウキビですが、てんさい糖の原料は甜菜(てんさい)というさとう大根です。気温の高い沖縄で多く作られているサトウキビは、身体の熱を冷ますと言われます。一方、さとう大根は北海道で多く作られるため、身体を温めると言われています。

ミネラルが豊富なうえ、オリゴ糖も含んでいて腸内環境を整えるはたらきを持ちます。てんさい糖も料理に使いやすく、コクや照りが出るので煮物や照り焼きに多く使われます。

黒糖と同じように、てんさい糖でも商品によっては骨炭を使った精製がおこなわれたものもあります。そのため、てんさい糖を選ぶ際も「未精製」であることを確認するようにしましょう。

3. メープルシロップ

メープルシロップは楓の樹液を煮詰めたものです。メープルシロップも、ミネラルやビタミンを豊富に含んでいます。

同量の白砂糖と比較するとカロリーが低く、香りが良いため、お菓子や飲み物に多く使われます。おしゃれなカフェでは、メープルシロップを使った飲み物を多く見かけますよね。

メープルシロップは色や風味の強さでグレード分けされています。グレードによって善し悪しが決まるわけではなく、グレードによって合う食べ物・飲み物が変わります。

商品を選ぶ際に注意したいのが、本物のメープルシロップを選ぶことです。甘味料のなかには、「メープル風味シロップ」と書かれた商品もあります。その場合、精製された砂糖を含んでいることもあるため、注意しましょう。

4. メープルシュガー

メープルシュガーは、メープルシロップを液体から固体にしたものです。そのため、風味や栄養価はメープルシロップと変わりません。

水分量が重要な料理への使用や、日常的に砂糖からの置き換えをしている方が持ち歩く際などに使いやすい甘味料です。

砂糖のようにサトウキビを伐採するのではなく、樹を倒さずに樹液だけをとるメープルシロップは、環境にも優しいと言えるかもしれません。

5. アガベシロップ

ヴィーガン食では、アガベシロップも多く使われます。アガベシロップとは、メキシコに多く生息するリュウゼツランという植物から作られた甘味料です。

リュウゼツランの英語名が「アガベ」であることから、アガベシロップと呼ばれています。アロエのような大きな植物で、テキーラの原料としても知られています。

アガベシロップは砂糖と比べると摂取後の血糖値の上昇がゆるやかであり、甘みは約1.3~1.5倍あると言われています。そのため、ヴィーガン食に限らず、ヘルシーな甘味料としての使用が増えています。

一方、その需要拡大によってアガベの生産量が追い付かないという現状があります。そこで、用途に応じて、ほかの甘味料とうまく使い分けするのがおすすめです。

6. ココナッツシュガー

ココナッツシュガーは、ココナッツの花が咲く前の「苞(ほう)」という部分を切り、ココナッツの蜜をとって作られます。

ミネラルやカルシウム、亜鉛などが多く含まれ栄養価の高い甘味料です。血糖値の上昇が緩やかな低GI食品として知られていて、ココナッツの風味が感じられる優しい甘さが好まれます。

コーヒーに混ぜて飲むと、いつものコーヒーに甘みが足されるだけでなく、おしゃれな味になるのでおすすめです。

ただし、販売されている商品のなかには、防腐剤や漂白剤を含むものがあります。そのため、購入する際には防腐剤・漂白剤を使用していないものを選びましょう。

白砂糖以外の甘味料を購入する際の注意点

白砂糖の代わりとなる甘味料を選ぶ際、もっとも注意したいのが精製工程の有無です。精製の過程では「骨炭」が使用されているため、未精製の甘味料を選ぶことが大切です。

代用甘味料として紹介した黒砂糖やてんさい糖のなかでも、一部、精製された商品が販売されていることがあります。そのため、購入する前に表記を確認するようにしましょう。

また、きび砂糖は精製途中の砂糖液を煮詰めて作られているため、「骨炭」が使われていることがあり、完全なヴィーガンということは難しいでしょう。

そして、甘みをつけるものとして、はちみつも挙げられます。はちみつは「骨炭」を使った精製はされていないものの、蜂が労働して採取したものであるという観点から、ヴィーガン食では使用が避けられます。

ヴィーガン食は動物を犠牲にしないという考えにもとづいているため、蜂が働いて作り出したはちみつを人間が食べることはNGとしています。

さらに、白い砂糖は危険、茶色い砂糖は安全と覚えている方も多いと思います。しかし、これも注意が必要です。たとえば見た目は茶色い三温糖は、グラニュー糖や上白糖を煮詰めてつくり、カラメル色素で着色されています。

精製工程を通っており「骨炭」も使用されているため、ヴィーガン食では避けるようにしましょう。

口に入れる前に製造工程まで調べよう

白砂糖は一見すると、動物とは関係のないように思いますよね。実はその製造過程で動物が関わっているということは、積極的に調べなければわからない情報でしょう。

そこで私たちが日ごろ口にするものは、その原料や製造工程まで調べたうえで、自分の意思で選択して口にしていきたいですね。

「ヴィーガン」については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。ぜひ合わせて参考にしてみてください。