Eテレ 隔週 月曜日 午前10:00〜10:20
※この番組は、2022年度の新番組です。
第7回
今回は、アイビー愛美さんと石岡飛鳥さんが、スタジオを飛び出してフィールドワークに挑戦します。植物を観察したり、インタビューをしたり…これ、本当に国語なんでしょうか?!
今回のテーマは「新たな視点で周りを見よう」。
番組のMCは向井慧さんです。
生徒の2人は、植物学者の塚谷裕一さんが書いた「スキマが育む都市の緑と生命のつながり」という評論を読み、それに関連するテーマでフィールドワークをしました。
この評論で、筆者は「スキマ」というユニークな視点から、植物の世界を見つめています。
筆者は、スキマの植物は、思いがけないほど種類が豊富だと言います。スキマという場所は、一見すると暮らしにくそうに思えますが、実際にはその反対だと述べています。例えば、草木が生い茂る場所では、植物は光合成に必要な光を得るために、背丈を伸ばして競い合わなければなりません。しかし、スキマはライバルとなるほかの植物がやってくる可能性が低いため、そんなことはありません。
また、都市の緑地は、面積はあっても種類が少ないと言います。さらに管理のしやすい虫が付きにくい植物が選ばれることが多いので、虫も、虫をついばむ鳥も来なくなります。対照的に、スキマの植物の周りにはさまざまな生き物の姿が見られます。
アイビーさんとあすかさんは、評論で読んだことを、さらに掘り下げていきます。
今回アドバイスをくれるのは畑綾乃先生です。2人は畑先生の学校を訪れ、都市の緑に関連する、さまざまな資料に目を通しました。
あすかさんは、あるアンケートの結果に注目しました。
公園の利用者に管理状況に関して気づいた点をたずねたところ、少数ながら「雑草が多い」「木や草花の管理が悪い」という意見がありました。
管理された公園を求める声もあることが分かります。
アイビーさんは植物の図鑑などを読んで発想を膨らませることにしました。そして、浮かんだ疑問や、もっと知りたいと思ったことを書き出し、フィールドワークのテーマを決めます。
アイビー「植物はどんなところに住んでいて、どんな生物が周まわりにいるのか」
あすか「あなたにとっての自然とは?」
テーマを決めるには、どんなコツがあるのでしょうか。
先生「アイビーさんのように、評論に書かれていることをより具体的に身近なことに当てはめて考えてみるのは、ひとつテーマを見つけていく方法になると思います。また、あすかさんのように、他の資料も見てみて、わき起こる“問い”みたいなものに注目するのも、発展させる方法だと思います」
向井「ぼくもこういうのを見ると、“スキマ産業”という言葉がいろんな社会にあるように、いろんな社会ごとのスキマでたくましく生きてる人たち、とかに飛躍してテーマを持っていきたくなりますけど。そういうことでもいいんですよね?」
先生「良いと思います。‟はめてスキマを考えるというのは、とても面白いと思いました」
いよいよフィールドワークです!
アイビーさんは、畑先生と学校の敷地を歩きました。
ヨモギやハルジオン、イヌワラビなど、たくさんの植物を見つけることができました。
また、他の植物が生えにくい、環境はあまりよくない場所にドクダミが群生しているのも発見しました。
アイビー「それぞれ居心地がよくてみんなそこにいるんだなって思いました」
あすかさんは、東京都内の公園でインタビュー調査をしました。“整備された公園”と“草花が生い茂る公園”、どちらが好きか、公園にいる人たちに聞きます。
草むらで虫取りをする親子が選んだのは“草花が生い茂る公園”。
父親「やっぱりほっとする。あんまり整備された緑地帯よりは、自然な状態のほうが良いかなと思います」
一方で、整備されている公園を選んだ人もいます。
女性2人組「ベビーカーを押したり、高齢者の方も使いやすいのはこちら側かなと」
子連れの女性「開かれていて見通しが良いって言うのがポイントかな」
しかし、こう答えた人も、自然に関心がないというわけではないようです。
母親「できれば植物がいっぱいあるほうが、…なかなかそういうものに触れられる機会が少ないので、公園に来たときは自然に触れられるといいなと思います」
30人以上に話を聞いたあすかさん、どんな発見があったのでしょうか?
フィールドワークの成果を発表してもらいます!
最初に、アイビーさんの発表です。
アイビー「私のテーマは『植物はどんなところに住んでいて、どんな生物が周りにいるのか』です。まず校庭の一番端っこら辺に、フキがありました。フキは日が少し当たる場所にあって、土の感触的には湿った土に生えていたと思います。どんどんどんどん歩いていって、学校の裏庭辺りに行ったところにドクダミがあって。すごいいっぱいのドクダミがあったんですけど、じめじめした場所一面に生えていました。たんぽぽはいろんなところに咲いていたのですが、日当たりの良い場所に多くありました。湿った土やアスファルトにも生えていて、生命力はすごいなって思いました。私の結論は、地面(土)の状態や、日向や日陰など、植物ごとに生息に適した環境があるってことが分かりました。以上です」
アイビーさんの発表は、印象に残った植物と、それが生えていた環境について、新たな発見を含んだものでした。
先生「たくさんの植物がある意味が、実感をもって分かったんだということが、発表を聞いてよく分かりました。湿度など、植物ごとに生息に適した環境を見つけて、実態を自分の視点で見てきたことがよく分かりました」
向井「臨場感が伝わってきましたね!」
次にあすかさんの発表です。
あすか「人の手が加わった管理された植物は自然じゃないのか、と疑問に思い、公園でインタビューをさせていただきました。全体的に意見を見ると、18対14で管理されている方が少し多かったのかなっていう印象を受けました。(「あなたにとっての自然とは?」という問いに対する答えとして)“生きているうえで大事”だったり、“気持ちがいいもの”だったり、“学び”だったり“地球そのもの”といった意見がありました。ここで2つの意見を言った方々の共通点があるなと思いまして、みんな自然が好きなんだなっていうところが発見できました。以上です」
あすかさんは、二種類の公園の投票結果を紹介した上で、そもそものテーマでもある「あなたにとっての自然とは?」という質問に対する答えの中から、特に印象に残ったものを挙げました。
先生「公園ってどんな存在なのか、と考えたときに、調べながらどんどん段階の上がっていく問いが生まれていくのが素晴らしかったと思います」
向井「整備されてる公園が好きっていう人がちょっと多いとか、面白い。人によって公園の意味合いも違うことを、あのアンケートの中から感じ取れる。あんまり考えたことなかった」
先生「あの文章からそこまで自分に発展させているところがとても面白いと思いました」
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