Eテレ 隔週 月曜日 午前10:00〜10:20
※この番組は、2022年度の新番組です。
第4回
今回のテーマは「意見と意見文」。
番組のMCは向井慧さん。
一緒に学ぶ生徒はアイビー愛美さん、しゅうせいさんの2人です。
そして、今回みなさんにアドバイスをくれるのは、井上志音先生です。
みなさんは、意見を言うことは得意ですか?
アイビー「相手から反論を買ってしまうんじゃないかって思うので、すごく不安になってしまって…」
しゅうせい「苦手なほうだと思いますね。言ったことによって、いざこざみたいなのが起きちゃったらいやだなって思うので…」
その気持ちも分かりますね。でも、井上先生は、意見を言うことは決して差し出がましいことではないと言います。
先生「意見を言わないことによって、いつの間にか自分が賛成しているようにみなされてしまったり、後から言えばよかったと後悔してしまったりとか…意見を言わないほうが実は怖い事態が起こったりもする」
相手にちゃんと納得してもらえるように、筋道を立てて自分の考え方を伝える練習をしていきましょう!
まずは、クイズです!
これから出す問題が、「意見」か「事実」か考えてみてくださいね。
最初に例題です。
「富士山の標高は3776m」…これは事実です。
「富士山は美しい」…これは意見です。
第1問!
「『竹取物語』で、かぐや姫は月へ帰る」
これは意見でしょうか?事実でしょうか?
『竹取物語』という作品の中で、かぐや姫が月に行ったと書かれているのは事実なので、事実となります。
第2問!
「スマートフォンは学校に不要だ」
これは意見でしょうか?事実でしょうか?
「スマートフォンは必要だ」という意見を言うこともできますよね。どちらとも言える、いろんな考え方が示せる、という意味で、意見となります。
第3問!
「猿も木から落ちる」
これは意見でしょうか?事実でしょうか?
…アイビーさんとしゅうせいさん、悩んだ末、答えが分かれました。
「猿も木から落ちる」を、ことわざとして捉えると、”名人でも油断をすると失敗することがある”というひとつの主張なので、意見と捉えることができます。
しかし、文字面どおりに捉えると、猿が木から落ちることもあるかもしれませんし、そのような場面を見た人にとっては事実ともいえます。
視点によって事実であったり、意見であったりするということです。
少し意地悪な問題でしたね!
さて、いよいよ意見文を書くことに挑戦です。
今回、2人には事前に宿題が出ていました。
まず、事前レクチャーの様子を見てみましょう。
先生「世の中にはいろいろな文章がありますよね。お2人に書いてほしいのは意見文です。レポートとも違うし、小説とかエッセイとも違うんですよね」
では、どうやって書くのでしょうか。
上の右図を見てください。
意見文は「序論」「本論」「結論」の3つのパートから成り立ちます。
まず、序論で問題を提起します。
次に、本論で問題を検討し、展開します。
最後に、結論で考えをまとめます。
それでは2人が書いてきた意見文を見てみましょう!
アイビーさんは「犬や猫の飼育放棄」が、しゅうせいさんは「レディースデーは公平か」がテーマです。
先生「お2人とも本当に自分の思いといいますか、等身大の問題提起をしっかり書いていてくれていてよかったと思います」
この後は、アイビーさんの意見文を例にブラッシュアップしていきます!
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☆アイビーさんの意見文☆
最近は在宅時間が増え、癒やしの存在として犬や猫を飼うことが流行である。しかし、途中で手放してしまうという悲しい事実も存在する。ペットを迎えて後悔した理由は、しつけ・世話・費用などに対するイメージのギャップであるが、世話が必要なことは最初から分かっているはずだ。全く無責任な話である。安易に動物を飼うことをなくすためにできることは何があるのだろうか。
今年の6月からマイクロチップ装着の義務化が売り手に課せられる。これは、ブリーダーやペットショップに対して、販売する犬や猫にマイクロチップの装着を義務付ける、というものである。私は、飼い主にも当然そうしたほうがよいと考える。こうすることにより飼うことを見直す人も現れるだろう。
このように、私はマイクロチップの装着を飼い主全員に課すことが、動物を安易に飼うことを防ぐことにつながると考える。
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それでは、詳しく見ていきましょう。
序論では、犬や猫を飼うことが流行っている中で、飼育放棄してしまう人がいる現状を挙げ、「安易に動物を飼うことをなくすためにできることは何があるのだろうか」と、問題を提起しています。
次に、本論では、最近話題の「犬や猫の皮膚に埋め込むマイクロチップ」に関するニュースについて書いています。マイクロチップには、その犬や猫の売り手や飼い主などの情報が入っています。2022年6月から、ペットを売る人は、必ず犬や猫にこれを装着することが義務付けられます。アイビーさんは、まずこの事実を紹介し、その上で「飼い主にも義務付けるべき」という意見を書きました。
最後に、結論で自分の考えをまとめています。
序論、本論、結論の3段構成で書けていることが分かりますね!
では、実際に、この意見文が説得力を持つかどうか、確認していきましょう。
アイビーさんは、本論で事実と意見を述べていますが、事実だけでは意見にならないことに注意が必要です。
簡単な例文を使って考えてみましょう。
例えば、「雨が降り出した」という事実から、「うれしい」という意見を主張したいとします。
なぜ「うれしい」のか疑問に思いませんか?
うれしい理由を説明しないと伝わりませんよね。
アイビー「お気に入りの傘をさせるから」
しゅうせい「体育の授業で、好きなバスケを体育館でできるから」
このように理由を説明すると、説得力が増しますね。
これが、本論を書くときの大事なポイントです。
では、アイビーさんの意見文をもう一度見てみましょう。
事実…「犬や猫へのマイクロチップの装着が売り手に対して義務付けられる」
意見(主張)…「飼い主にもマイクロチップの装着を義務付けるべきだ」
これを先ほどと同じように考えると、理由づけが抜けていることがわかります。
さて、この理由、どのように説明しますか?
アイビー「ブリーダーやペットショップだけだと、やっぱり今飼っている犬や猫も、なんて言うんですかね…」
先生「今すでに飼っている犬や猫は、じゃあどうなるのかと」
アイビー「そうですね。どうなるのか、ですよね」
というわけで、例えば「今すでに飼われているペットも問題として考えるべきなので」という理由づけをすると、意見の根拠が明らかになります。
本論で意見を主張するときは、根拠となる理由づけをするのを忘れないようにしましょう!
意見を社会に広く発表する場として、新聞の投稿欄があります。
「女子の制服 なぜスカート?」
「道端に唾 理解できない」
など、テーマはさまざまです。
あなたも挑戦してみませんか?
意見文を書く上でのポイントをまとめておきましょう。
(1)意見文は、序論、本論、結論、この3段階で構成する
(2)意見を主張するときには、事実を書くだけでなく、理由づけもする
実際に意見文に挑戦した2人にも感想を聞きました。
アイビー「また意見文を書いたりとか、今度なにか意見を言う場所があったら、意見を言ってみようかなって思いました」
しゅうせい「理由づけをしっかりすることによって、自分の意見をより強く、意思をぶつけることができるんだなって思いました」
向井「冒頭でも言ってましたけど、意見を否定されてしまったら嫌だなとかっていうのが2人もあったと思うんです。でも、否定されて『あ、違うんだ』って気付いたっていいってことですよね」
先生「決して、論破をしたりとか、打ち負かすためにやるわけではなくて、あくまでも目標は自分の意見に説得力を持たせる。一方で、対立意見に対してもリスペクトというか、尊敬の気持ちを持って、向き合っていく。という姿勢がすごく大事なのかなと思いますね」
次回もお楽しみに☆
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