マザー2は「何か」を持っているゲームだった。
もちろん面白いゲームでもあった。
しかし、面白いゲームになり得るための要素とは別に、特別な魔力を持っていた。
それを明確に文章にするのは、僕には無理だ。
あまりにもあやふやで、掴み所がなくて。
でも1つだけなら。
なぜかこのフレーズは閃いた。
「常温の中の毒」
今までこれを何回か友達に話した事がある。
しかし「それはよくわかんないな、ほのぼのしてて良いゲームだったってのが感想だよ」みたいな返事をよく返された。
違う。
マザー2は決して優しいだけのゲームなんかじゃなかった。
色々な所で遊び手に深読みをさせ、それに対して自分なりの考えが固まると、
「これって実は怖いんじゃないか?」
「それは、平然と進んでいっていい事なのか?」
そんな疑問が生じる。
キャッチーな絵柄がその疑問を逆に強める。
ゲームクリアをした後、それは確信に変わった。
これは黒いゲームだ、と。
そして、それがたまらなく心地よかった。
樹の上の秘密基地で開発中止宣言を見た時、
なぜか僕は一切の動揺と言えるようなものに襲われなかった。
あれほど楽しみにしていたのに、だ。
それと同時に、飼い犬が死んだ時の事を思い出した。
その時も、なんとも思わなかった。
でも、それはやっぱりどうしても嫌なものだった。
生理的に、「神谷知宏」としてのルール的に嫌で嫌でしょうがなかった。
腹が立つとか悔しいんじゃなくて、嫌なのだ。
マザー3は死んでしまった。
もう生きかえらないのだろう。
でも、どうしても捨て切れない期待も存在してしまう。
亡骸も見ていないのに、死んだという事実だけを突きつけられているのだから。
死んだものは生きかえらない。
今は、そんな常識さえ崩れてしまえばいいと思っている。 |