先頃、マザー3の開発が中止になったという情報を耳にし、マザーシリーズを一度もやったことはないのですが、ほぼ日刊イトイ新聞に載っている話は面白いものばかりなので開発中止対談も読んでみました。心に残る作品だと知っておきながら当時マザーシリーズを一度もやらなかったのは、"いつかできるだろう"と思っていたから。はためでは、多くの人から名作と評され、続編の2も出、これは揺るぎないシリーズになるだろうと思えた。でも実際は違った。紀憂で終わる筈の懸念が一つ中途に途切れ、突然消えた。
そんな印象です。
あの対談に目を通した限り、とてつもなく面白そうなものになったであろうと感じました。各人の開発に対する意気の変遷を推し量るのにはあまりにも小さな、けれども重要な片鱗を「ほぼ日」で垣間見れたことにより、開発者の心を込めた作品の実現の難しさ、産みの苦しみを少し理解できたような気がします。
糸井さんの構想はとても夢のあるもので、実際他のゲームでも、ゲームという器の中にどこかにありそうな世界を創り上げるという試みはなされてきています。今まで一辺倒に、決められた道筋を言われた通りに進むようなゲーム特有の暗黙のセオリーを打ち砕く力が特にありそうに糸井さんの言葉には感じたのですが、残念です。ゲームが活字のみの本のような、広がりのある表現媒体の一つとして見られるきっかけが得られるはずだったような。
マザー3開発の今までの6年間を開発者の方々の記憶だけに閉じ込めておくのは、業界にとってもマザー3が得られる筈だったノウハウと考えると大きな痛手かもしれません。どのような形でも、マザー3の構想が成した完成形がいつか日の出を見ることを未だ期待しています。 |