世の中には多くの宗教がある。彼らは基本的に仲が悪く、そのために戦争すら起こしているぐらいである。

しかしそれでも彼らの間に共通する点がある。それはその教義の中で自殺を禁止しているという点である。
「自殺したら墓に入れない」「自殺したら3000年間地獄をさまよう」
彼らはなぜここまでして自殺を嫌うのだろう?

自殺はそもそも意味がないことで、彼らはそれを教えようとしているという考え方もできるだろう。
しかし自殺は苦しみから逃れる効果的な手段であることに疑いはない。

この点をとく鍵は、宗教においてはその信者数が力となり、すべての宗教は信者の拡大を狙っているということである。
そしてその信者数とは、生きている信者の数に他ならない。

自殺によって多くの人間が救済され、またそうなることを望んでいる。しかしそれによって信者が減少してしまっては
宗教の存続にとって大きなダメージなのである。だから彼らは自殺を禁じているのだ。

よって彼ら自身が組織の拡大を目的としなくなった場合、かれらは合理的な判断によって自殺を選択している。
たとえば人民寺院事件の最後の対話を読んでほしい。

http://employees.oneonta.edu/downinll/mass_suicide.htm

彼らは真剣に話し合い、そして当然の帰結として自殺を選択している。宗教が「自らの拡大」という副次的な目的を捨て、人々の救済という本来の目的に立ち戻ったとき、自殺は決して禁忌ではないのである。
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