本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。
11月29日~12月5日に最もツイート数が多かったのは、「The effects of the national HPV vaccination programme in England, UK, on cervical cancer and grade 3 cervical intraepithelial neoplasia incidence: a register-based observational study」(HPVワクチンが若い英国人女性の子宮頸癌を大幅に減少)の1万1091件だった。この論文は日経メディカルOnlineでも11月末に既に紹介している。
英国では、2008年9月1日に2価のHPVワクチン(サーバリックス)の接種が開始された。定期接種の対象年齢は12~13歳(学年は8年生)の少女で、キャッチアッププログラムとして2008~09年には17~18歳を対象に、2009~10年には14~18歳もワクチンの接種対象とした。3回接種を完了した人の割合は、定期接種の対象者では80.9%~88.0%だったが、キャッチアップ対象のうち14~16歳(10~11年生)で受けた人は70.8~75.7%、16~18歳(12~13年生)で受けた人では38.9~48.1%にとどまった。
この研究では、その後の子宮頸癌スクリーニングプログラムで癌が見つかった女性の発症率を年代別に比較している。HPVワクチン接種が始まる前の世代のうち最も若い女性を基準にすると、定期接種の対象で12~13歳で接種した女性は0.13(95%信頼区間0.06-0.28)、14~16歳の時に接種した女性が0.38(0.29-0.48)、16~18歳の時に接種した女性では0.66(0.59-0.75)だった。ワクチンのカバー率が高く、年齢が若いうちに接種を受けた女性ほど子宮頸癌の発症リスクが低かったため、HPVワクチンは子宮頸癌予防に有効だと結論している。
今回注目した論文は病理領域でツイート数の多かった「New Kids on the Block:A Review of the Latest Iatrogenic Foreign Materials Seen in Gastrointestinal Specimen」(消化管標本に見られる医原性異物の最新レビュー)だ。この論文では、様々な医薬品の開発や内視鏡検査の増加に伴い、消化管の標本を調べる病理医が遭遇する可能性のあるカラフルな医原性異物が増えていることを指摘している。
実際に見つかった医原性異物の例は、医薬品充填剤(クロスポビドン、微結晶セルロース)、粘膜下層剥離剤(Eleview、ORISE)、炭酸ランタン、親水性ポリマー、OsmoPrep、イットリウム90マイクロスフィア(SIR-Sphere、TheraSphere)、樹脂(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、セベラマー、胆汁酸封鎖剤)などがあるそうだ。たとえ生物学的に不活性な物質であっても、これらは外観や形状を知らない病理医を困惑させる可能性がある。正確な診断を行うためにも、臨床医は実施した検査・治療や使用した薬剤の情報を提供し、病理医は異物の存在を認識しておく必要があると指摘している。
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