講習会で外国人差別発言 静岡・大道芸W杯プロデューサー
2022.10.6
静岡市で11月4~6日に開催される「大道芸ワールドカップ(W杯)」に向け、実行委員会が9月に開いたボランティア対象の講習会で、イベントのプロデューサーを務める県舞台芸術センター(SPAC)俳優の奥野晃士氏が外国人差別と受け取れる発言をしていたことが、6日までの関係者などへの取材で分かった。SNS(会員制交流サイト)を中心に批判の声が高まっている。
講習会は9月17日に市内で開かれた。今大会は新型コロナウイルスの影響で海外パフォーマーの参加を見送ったことを踏まえ、奥野氏は「日本人による日本人らしい祭典を目指す」というテーマで講話した。日本人のルーツや特徴などを記した配布資料を基に「中国人や韓国人は日本人とはルーツが違う」「中国は易姓革命、皆殺し文化だった。そういう中で廃れていったのではないか」などと発言した。
奥野氏は取材に「偏った表現になり不徳のいたすところ。心からおわびし、(講習会で配布した)内部資料を撤回する」と答え、後日改めて謝罪する意向を示した。市も事態を把握し、近く実行委を開いて対応を検討するとしている。
講習会には約10人が参加した。参加者の一人は「ボランティアにも外国にルーツのある人はいる。(奥野氏の発言は)看過できない」と非難した。
大道芸W杯は静岡市で毎年秋に開催される恒例行事。新型コロナの影響で2020年、21年と2年連続で中止した。今年は規模を縮小して3年ぶりに開催される。
■「許されぬ考え」宮城SPAC総監督
奥野晃士氏の発言を受け、県舞台芸術センター(SPAC)の宮城聰芸術総監督は6日までに「大道芸ワールドカップにとって決して許されない考え方だ」との見解を動画投稿サイト「ユーチューブ」で表明した。
宮城氏は「一人のアーティストがどういう思想を持つかは自由」とした上で、「公的事業がその思想の下に運営されると受け止められる行動は、プロデューサーとして極めて不適切だった」と指摘した。
奥野氏は宮城氏が演出する舞台公演に数多く出演している。