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ポケモンカードゲームがiPadで配信決定――『ポケモン』から始まる任天堂のスマートデバイス戦略

「ポケモンカードゲーム」がPCで遊べる『Pokemon TCG Online』のiPad版のリリースが決定しました。ついに具体的に動き始めた任天堂のスマートデバイス戦略と、『ポケモン』の今後の展開に注目してみます。

任天堂 その他
8月18日、株式会社ポケモンの海外法人The Pokemon Company Internationalが、海外でのみ展開していたWindows/MAC両対応のPCアプリ『Pokemon TCG Online』のiPadアプリをリリースすることを発表。それを受け、任天堂の株価が日中上昇率6.9%を記録するという大変好調な数字を見せました。

任天堂の岩田聡社長が同社の経営方針説明会で「スマートデバイスでお客様とのより強いつながりをつくる」と表明したのが、今年の1月30日のこと。あれから約半年が経ち、ついに任天堂が動きを見せました。ですが、世界的な経済誌Forbes(フォーブス)はこの件に関して賞賛する一方で慎重な姿勢も見せています。それはどのような理由からなのでしょうか? さまざまなニュースを参照しながら、大きな期待が寄せられる任天堂のスマートデバイスへの挑戦に迫ります。

◆『Pokemon TCG Online』がiPadを選んだ理由とは


まず目を引くのは、iOS搭載端末ではなくiPad単体への展開だということです。少なくとも当初はiPhoneでは遊べないわけですね。アナログでも遊べるカードゲームであるがゆえに、小さなサイズの画面では遊びづらいというものもあるでしょう。『Pokemon TCG Online』は、国内で展開しているカードゲーム『ポケモンカードゲーム』と同じカードやルールで遊ぶゲームなんです。それにもう1つ理由を加えるなら、海外のiPadのゲームアプリ市場にはすでに成功を収めている先輩(前例)がいるのです。

その前例とは、フォーブスが挙げてくれている『Duels of The Planeswalkers(デュエルズ・オブ・プレインズウォーカーズ)』シリーズと、『Hearthstone:Heroes of Warcraft(ハースストーン:ヒーローズ・オブ・ウォークラフト)』です。前者は今日も世界中で愛されている世界初のトレーディングカードゲーム『Magic:The Gathering(マジック:ザ・ギャザリング)』が遊べる人気アプリ。これは日本語対応版も配信されています。そして後者の『Hearthstone』は、『Warcraft』や『Daiblo』シリーズで知られるBlizzard Entertainmentによるカードゲーム。『Magic:The Gathering』の面白い部分を凝縮したような魅力があるとも評され、こちらも高い評価を得ています。

ですが、フォーブスの懸念はゲームの完成度とは別のところにあるようです。同誌によれば、海外のiPadゲームアプリ市場はこれらのような頭をひねって楽しむものよりも、『Flappy Bird(フラッピーバード)』のコピーのようなシンプルなゲームの方が隆盛を誇るとのこと。確かに、スマートフォンやタブレットならではのシンプルなゲームと、カードゲームのような頭を捻るのが楽しいゲームでは、それぞれユーザー層が大きく異なるというものでしょう。

懸念材料だけでなく、好材料も挙げてみましょう。少し古い話題ですが、アメリカの調査会社Nielsen(ニールセン)が2012年の年末に「アメリカの子供たちがクリスマスプレゼントにほしいものはなにか?」というテーマで調査を行いました。結果は6歳~12歳、13歳以上の2部門で公表され、そのどちらでも第1位に輝いたのはiPadでした。順当に考えるなら2012年の年末だけでもかなりのiPadユーザーが新たに生まれたことでしょう。そしてその中には当然、海外でも大ヒットしている『ポケモン』ファンも大勢います。

・海外iPadのゲームアプリ市場にはカードゲームで成功を収めている前例がある
・iPadを所持する『ポケモン』ファンはかなりの数がいるのではないか

そう考えると『Pokemon TCG Online』がiPadでリリースされるという流れに納得が得られるものと思います。あとは、『ポケモン』自身の持つ魅力で『Magic:The Gathering』と『Hearthstone』という先行者たちに追いつけるのか、追い越せるのかということです。

◆一方、日本でも『ポケモン』新展開が!


こういう背景を鑑みますと、日本での展開は予定していないという方針もうなずけます。ですが、日本は日本で来たる8月26日に『ポケモン』新プロジェクトが発表されるとの報が飛び込んできました。8月26日22時からニコニコ生放送で配信される「月刊ファミ通feat.ポケモンスペシャル」でその詳細が明らかにされます。

余談ですが『ポケモン』といえば、2013年8月に開催された「ポケモンゲームショー」の会場で流れているPVにルカリオとバシャーモがまるで格闘ゲームのように対峙する謎の映像が挿入されており、ファンの間で大きな話題となりました。続く2013年11月には、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演した石原恒和プロデューサーから「先輩探偵のピカチュウと謎を解く探偵ゲームを出したい」というような発言も飛び出しています。

iPad版『Pokemon TCG Online』の日本展開はあるのでしょうか? そして、これまで断片的に提示されてきたこれら新たな『ポケモン』がベールを脱ぐのでしょうか。PCアプリの移植という形で、ついにスマートデバイスへの取り組みが目に見える形になった任天堂。まずは8月26日のニコニコ生放送を楽しみに、今後の展開に注目です。

(C) 2014 Pokemon/Nintendo
(C) 2014 Wizards of the Coast LLC
《蚩尤》
蚩尤

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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