最長在任、からっぽな時代 安倍元首相国葬 吉岡忍さんルポ

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一般献花台(奥)周辺を取材する吉岡忍さん=27日午前11時21分、東京都千代田区(中村桂吾撮影)

 国民の間で賛否が分かれ、議論を呼んだ安倍晋三元首相の国葬。弔意を示すために、あるいは反対の気持ちを示すために人々が向かった東京・日本武道館周辺を佐久市生まれのノンフィクション作家、吉岡忍さん(74)に歩いてもらった。

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 時に時代は、政治家の名前とともに語られる。天皇主権と憲政の両立を狙った伊藤博文、戦争と破局への火ぶたを切った東条英機、所得倍増とブルドーザーで高度成長を駆動した池田勇人や田中角栄。

 ならば、在任8年8カ月、憲政史上最長を記録した安倍晋三元首相はどうか。凶弾に倒れて80日、55年ぶりの国葬儀は主要メディアの世論調査すべてで「反対」が上回る異様な空気の中で行われた。

 私は現場に向かった。

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 昼前。秋空から炎暑が降った。取材ヘリが舞っている。

 地下鉄半蔵門駅から老若男女が引きも切らず湧いてくる。行列は千鳥ケ淵緑道にあふれ…

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