票の数え直しに追われる七尾市職員=24日午後11時50分、七尾総合市民体育館

 24日の七尾市議選の開票で、投票者数より投票総数が1票多いことが分かり、作業が予定時刻から1時間10分遅れた。市選管はこの票を含む2票を異例の「マイナスの持ち帰り票」として開票結果を確定させた。同市では市議選と衆院選の期日前投票で投票所が混雑していた。31日には衆院選の開票が控え、とりわけ激戦の3区で最多の票を扱うとみられるだけに、県選管は「あってはならない失態」と断じ、原因究明と再発防止を求めた。

 七尾市選管は当初、24日午後11時半に作業を終える予定だった。だが、開票が残り800票余りとなった時点で、投票所を訪れた有権者の合計「投票者数」と、投じられた票数の合計「投票総数」が一致しないことが判明。再度確認したが、開票直後に発表した投票者数2万9311人に対し、投票総数が2万9312票と1票多く、原因が分からない状況が続いた。

  県選管に相談せず

 この時点で、市選管は各投票所で集計したデータを突き合わせると相当な時間を要すると判断。問題の1票と、有権者側の手続きの不備で不受理となった1票を合わせた2票について、「持ち帰り票マイナス2票」と見なして、選挙結果を確定させた。

 七尾市選管は、兵庫県西宮市など全国での事例を確認した上で、持ち帰り票のマイナス計上を石川県選管に相談せず、独断で決めた。県選管によると、県内の自治体で同様の処理は「聞いたことがない」という。七尾市選管は原因について投票所での受け付け漏れや二重投票の可能性もあるとみて調べる。

  職員混入は否定

 市選管の岩田武雄委員長は開票結果確定後の25日未明、報道陣の取材に対し、持ち帰り票のマイナス計上について「時間に余裕がない中、選挙を終了させる必要があった」と説明。開票中の職員が混入した可能性については「そこまで疑っていない」と否定的な見方を示した。

 奥村義彦事務局長は「選挙事務の処理として不適切な部分があった」と帳尻合わせを認めた。選挙の公平性を担保できるかとの質問には「管理執行上の問題はあるが、調べてから回答する」と述べた。

 七尾市の期日前投票所では、21日に衆院選の投票用紙を二重交付するミスが発生。22日には市議選の投票用紙を誤って衆院選小選挙区の投票箱に投函(とうかん)する間違いが起きている。

 31日投開票の衆院選石川3区では前職2候補による激戦が繰り広げられている。各陣営からは「ミスが続くなど言語道断。1票で当落が決まる重みを自覚してもらいたい」など市選管に対する苦言も出ている。

  投開票「適正に」 県選管が呼び掛け

 石川県選管は25日、県庁で19市町選管の担当者を対象に打ち合わせを行い、七尾市選管で衆院選や市議選をめぐるミスがあったことを受け、各担当者に適正な投開票事務の管理執行を求めた。

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