「AV出演強要」は存在するのか? 多くの人が見落としている「本当の実態」

成人年齢引き下げで議論が盛んだが…
河合 幹雄 プロフィール

2020年のメーカーアンケート調査によれば、撮影後、販売できないケースは何十本もあることがわかる。


この中には、女優から発売中止を正式に申請されて中止したものもある。

撮影中止については、以下のようになる。



110社中22社が、撮影のキャンセルや途中中止があると答えている。

全てのメーカーがアンケートに答えているわけではないが、シェアとしてはほとんどカバーできているので、撮影中止、販売中止は、全撮影、年間5000以上のうち1%ぐらい、あると推察できる。

それに、女優になったきっかけについて、2021年女優アンケートによれば、68.4%が、自分から応募し、スカウトされた女優は、8.4%、残りはAV関係者に知り合いがいたり、友人に誘われたりであった。

巧みにスカウトに言いくるめられて断れなくて出演してしまったというストーリーは、現在のAV業界ではなく、前世期のイメージであろう(近年スカウト依存度は3割、2割、1割とどんどん減少してきている)。

このアンケートは女優になれた人のみの回答なので、女優になりたいと応募して断られたケースが、他に山のようにあること言うまでもない。良くも悪くも、これが現在の状況であり、巧みな勧誘などの出る幕はない。

 

最後に、2022年3月31日 配信停止状況(2018年2月スタートの3年余りの間の累積)をあげておこう。

「対応不能」とある56件は、親からの申請であり、女優である娘は、売れまくっているため親バレし、本人は続けたいケースである。

「却下判断」とある57件は、身バレ顔バレで慌てて配信停止を申請したケース、あるいは彼氏ができたので、その手前配信停止申請したケースである。なお、場合によるが、結婚は配信停止してもらえるのが伝統である。

本人は、やる気満々出演し、大人気となったが、父親が地方公務員だったケースは、発売直後に全面停止している。気持ちの問題ではなく、社会的に具体的な差し障りがある場合には、配信停止する運用となっているようである。

なお、最近は、親の職業も事前チェックしているようである。とにかく波風立てないでやっていきたいというのが大手メーカーの基本姿勢である。

なお、プロダクション(芸能事務所よろしく女優が所属する)は、2017年時点では、最初はAVだと言わないで勧誘する手段は普通にやっていて、AV人権倫理機構の指導により、ホームページにAVだと、明確に書くことが徹底されたのは2018年夏であった。その点は反省点と認識されている。

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