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まあこの件で再度プチバズさせて貰った訳なんだけど、改めてイロイロ思ったので連ツイ。
／『チ。』批判への反応が面白い
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ブログで長々書いたことの再生産っちゃ再生産なんだけど、結局のとこ歴史フィクションってのはそもそも大なり小なり嘘が必要で、その辺を読者も分かった上で楽しむのが前提なので、「史実と違う」って指摘が単体で批判要素になるかっつったらまあならん訳なんですよね。
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なんだけど、じゃあ逆に「史実と違う」って指摘が常に批判になり得ないかってったらそれも違うと思うのよねって話があって、場合場合によっては十分批判になり得ることもある訳ですよ。
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ただその場合は結局のとこ作品のテーマ、内容、コンセプト、描写のリアリティライン諸々を含めた上での話をする必要があって、でないと結局「フィクションに何言ってんの？」でお終いになっちゃうんよね。
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なので歴史フィクションに「史実と違う」ってアプローチの批判する場合は、「何故この作品では史実との違いが作品批判になり得るか（なり得ると自分が考えたか）」をちゃんと論立てする必要がある。んだけど、これ漫画批評として結構難度の高いテクニックが要求されるんよね。
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まあだから凄えウエメセで偉そうな言い方すると、発端の方ってギリシャ数学史の専門家らしいんだけど、フィクション批評については大して手慣れてないでしょって話が出来て、だから「史実と違う」って表層批判しか出来てないんでしょって思っちゃう訳で。
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いや正直ぶっちゃけ俺もあんだけ文字数使っても、完全に自分の言いたいこと文章化できたかって言ったらかなり自信無いとこあるもん。上手く伝えたいこと伝えられてないなって、力の無さ自覚させられてるってのはあるよ本当。
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多分だけど発端の人も別にあらゆる歴史漫画にいちいち批判してる訳じゃないでしょって話があって、いち読者としてイラッとしたならやっぱりイラッとさせる何らかの要素は「チ。」という漫画には含まれてると思うんよね。その辺のメカニズムを言語化できてないってだけで。
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でまあ、これもブログ内で書いてんだけど、「チ。」ってマジでアリバイ作りが巧妙な漫画で下手にその辺の史実との違いについての批判すると、大概作中のどっかに「いやいや分かって描いてんすよ。ホラここにちゃんとフォローあるでしょ？」って１コマやら一言セリフやらがあるんすよ。
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その辺もねー、巧いな〜と思うと同時に、マジで純粋に心情でだけモノを言うと「しゃらくせ〜〜〜〜〜〜」ってなってそれ自体が逆にイラッとポイントになったりするんですがぁ。
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ブログ記事内ではザックリ言うと、「この作品のメタ的なスタンスが作品テーマを自分自身で毀損しとらんか？」って問題提起で「史実と違う」批判しとる訳なんですけど、もうちょい言うと「史実の知識持った人にとって作品の魅力が損ないやすいような作りになっとらんか？」って話もあるんすよね。
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という訳でそれがまあこの辺の話になる訳なんですが。
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あでのい
@adenoi_today
「チ。」の場合は「面白ければ何でもええんか」ってよりか、「そもそも『チ。』の面白さって現実との接続を利用してる所が多分にあるので、史実との食い違いが面白さ自体を阻害してるとこない？」って感覚が結構あるんよな。
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あとさあ、俺この漫画始まった時に１話読んで「うわーーーーむっちゃおもしれーーーーーーー！」ってなったと同時に「けど上手く描くのむっちゃ難しいテーマだぞこれーーーーーーーーーーー！？」ってなったんすよね。
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科学の歩みってさあ、本質的に「漫画」にしづらいとこかなりあると思うのよ。 凄え膨大な数の色んな考え方の人らによる小さな積み重ねで紆余曲折ありつつ進んでくもんだし、一人一人の科学活動自体も大部分は起伏の存在しない孤独なデータの積み重ねだし。
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これ俺が学生時代に確か２度目か３度目だかに出た学会でだと思うんだけど、招待講演で２０年くらいのご自身の研究内容についてむっちゃ分かりやすくて面白い発表された先生がいて、そこで質疑応答ん時に「初めからこんなに上手く行くと予想されてたんですか？」って質問があったんだけど
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「そんな訳ない。発表で出してるのは上手く一本のストーリーになるような部分の成果だけを繋ぎ合わせてるだけですよ」って返答されてて、「なるほどな〜〜〜〜」と思ったしいざ自分が修論書く段階で「うわーーー本当だーーーーーー！！」ってなったよね。
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まあ今のは余談にしても、結局のとこ、人と人との間の人間ドラマを軸にした起伏があって物語を生成するのに向いてないんだよ、科学研究って。だからそれ漫画にするとなると、科学をテーマにしつつ科学の姿を歪曲したものに必然的にせざるを得ない部分があるんすよね多分。
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だからマジで「チ。」に関しては「クソ面白いけどコレ大丈夫か？」って１話時点で思ったし、話進むたびに結局「案の定、全然大丈夫じゃなかったな」ってなった訳ですが。
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これさー、作者の前作の「ひゃくえむ」っていう100m走をテーマにした漫画があるんすけど、こっちの方もかなりそういう所あるんすよね。いやこの漫画もマジで面白い漫画なのは確かなんですけど。
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１００m走もさ、原理的にシステム上むっちゃ漫画のテーマにしづらいんですよね。その辺はこの記事の間章でかなり長々と書いたりしたんだけど。
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だから「ひゃくえむ」も１話読んだ時点で「うわーーーーーむっちゃおもしれーーーーーーーーーけど大丈夫かコレ！？！？」ってなったし、実際そんな大丈夫じゃなかったと思ってるんですよね。
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この漫画も結局途中で８００mリレーがメイン競技に一時的になってて「ほらーーー１００m走じゃ漫画もたなかったじゃんーーー」って思ったし、最終巻辺りも100m走の最中にいろんな描写が増えてった結果、正直最初の方で描けてた「一瞬の煌めき」感がどんどん無くなっていっちゃった気がすんだよな。
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まあ「ひゃくえむ」に関してはそこまで何度も読み返した訳じゃないから印象論になっちゃってるので、改めて読み返したらまた違うのかも知れんが。
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でまあ、だから何て言うか、この作者に関しては「初速が死ぬほど面白いし無茶苦茶達者な漫画描くんだけど、むっちゃ漫画にするの難しい題材選んだ上でその難しさ上手いこと解消されずモヤついて終わっちゃう」っての２作続けて描きおったなってのが個人的認識なんですよね。
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