今回は、バーボンの定番の銘柄であるアーリータイムズがリニューアルしたので飲んでみようと思います。

メーカー、蒸溜所、カテゴリーが変更

_DSC5011_01元々アーリータイムズは、ブラウンフォーマン社が手がけ、同社の持つ、ルイビルにあるダウンタウン蒸溜所で製造されていました。

しかし2020年に、アーリータイムズのブランドを、ライウイスキーを手がけるサゼラック社に譲渡し、製造する蒸溜所も、サゼラック社が所有するバートン1792蒸溜所に変更されました。
バートン1792蒸溜所では元々同名のスモールバッチバーボンを製造していました。
アーリータイムズ自体が、元々バートン1792蒸溜所のあるバーズタウンで誕生したので、ある意味里帰りをしたと言ってもいいでしょう。

また、日本の輸入元も2022年6月に、アサヒビールから明治屋に変更されました。

これらの変更に伴って、アーリータイムズはレギュラーのイエローラベルなどが休売していましたが、新しい蒸溜所の元で造られた原酒をベースにしたホワイトラベルが、9月から販売を開始しました。
これは海外の中で最も速く、日本で先行販売がされた物になります。

しかし残念なことに、この新しいホワイトラベルは「バーボンではない」のです。

アメリカの法律上で定められているバーボンは、トウモロコシを原料にしたコーンウイスキーを51~79%使うことに加え、熟成樽は新樽であることが条件となっています。
一方でホワイトラベルでは、新樽以外に一度使用してリチャー等を行って再利用した樽も使うため、バーボンとは名乗れず、「アメリカンブレンデッドウイスキー」という名称が使われています。

実はブラウンフォーマン社時代より、アメリカ国内で販売されていたアーリータイムズでは再利用樽原酒も使っていたためにバーボンとして売られていませんでした。

この変更を行った背景には、消費者のウイスキーの嗜好が淡麗でマイルドに変わりつつあるというリサーチがあったから、とのことです。

ということで、この新機軸のウイスキーを飲んでみます。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはリンゴとブドウの甘い香りが広がります。
液色は少々濃いめの琥珀色です。

ストレート

軽くエステリーな香りが広がるものの、リンゴ、ブドウの香りが先に訪れ、後からバニラの甘い香りが続きます。
味わいは、アルコールからの辛みはそこそこで、その後は酸味が主体で、ほろ苦さと甘さがやってきます。

ロック

リンゴ、メロン、オレンジの香りが先に訪れ、奥からはバニラ、シナモンの香りが続きます。
味わいは、苦みがメインで、後から軽く甘さも感じ取れます。

ハイボール

リンゴ、ブドウの香りが先にやってきて、後からナッツの香ばしさが続きます。
味わいは、多少の苦みがあるものの、後から甘さが続きます。

バーボンっぽさは多少あるが...

バーボンではなく、アメリカンブレンデッドウイスキーを標榜しているだけあって、従来のイエローラベルとは別物になっています。

ストレートなどで多少のバーボンっぽさはあるものの、どちらかと言えばリンゴやブドウの香りが強めで、ライトなブレンデッドウイスキーと思った方がいいです。
ただ、バーボンの代表作が消えてしまったことは、バーボン好きには辛いところでしょう。

700mL、アルコール度数40度、価格は1500円ほどです。
なお、従来のイエローラベルはプレミアがついています。

<個人的評価>

  • 香り C: リンゴ、ブドウの香りが先立ち、バニラが後から来る。ストレート、ロックでエステリーさが顔を覗かせる。
  • 味わい D: ストレートではそれなりの飲みやすさだが、加水で雑味が目立ってきつい。
  • 総評 D: アーリータイムズを名乗るべきではないだろう。