辺野古基地工事の時間外に行ってら抗議者がいなかったから座り込みではない、などと西村博之氏が不思議な主張をしていた。
西村氏は自説の根拠として国語辞典の説明をもちだしたが、国語辞典を編纂している飯間浩明氏は辞書は定義をさだめるものではないと指摘している。
あくまで辞書は社会一般の見解をまとめて紹介するものであって、内容も社会の変化にともない変わっていくという理解が必要だろう。
もちろん社会一般の見解の根拠として提示するのであれば必ずしも間違いではないが、24時間とぎれないことを目的とした運動ではない。
あくまで要求をのませるため場所を占有する運動であって、達磨のように座禅をつづける修行と同じではない。
ちなみにWikipediaの「座り込み」にはガンジーの提唱や国連の定義が掲載された時期がある。
座り込み - Wikipedia
しかしこれはひとりのユーザーが10月5日以降にさしこんだものであって、信頼できる出典でもない*1ことが「@__dAi00@__dAi00」氏に指摘されている。
そして「ナッシュビル座り込み運動」も西村氏が辺野古にいく以前から下記のような記述が存在する。
ナッシュビル座り込み - Wikipedia
妨害による被害者と大量の逮捕者を出しながら、80日以上におよぶ非暴力闘争のすえ、市内飲食店での差別撤廃に成功した。
1960年2月13日土曜日、最初の大型の座り込みが企画された。午後12時半頃、ほとんどが黒人の120名の学生達はダウンタウンのウールワース、S・H・クレス、マクレランに歩いて行き、ランチ・カウンターに座った。店員が彼らへの食事の供給を拒むと、2時間そこに座り込み、その後何事もなく去っていった
2月18日、第2の座り込みが行なわれ、200名以上の学生達はウールワース、S・H・クレス、マクレラン、グラントに入店した途端、ランチ・カウンターは閉鎖された。学生達は30分ほど居座り、何事もなく立ち去った。
また、複数の辞書の記述を横断的に確認できるコトバンクでも、『ニッポニカ』の項目で公民権運動のシット・インとの関連が記述されている。
座り込みとは - コトバンク
アメリカの公民権運動において、白人のランチカウンターに黒人が座り込むsit-in戦術をとって以来、労働組合運動だけではなく、社会運動一般において、自分たちの要求や主張を広く国民にアピールするために用いられることが多くなっている。
やはりコトバンクの『ニッポニカ』から公民権運動の項目を見ると、座り込みの手法や場所がさまざまあることがうかがえる。
公民権運動とは - コトバンク
1960年、ノースカロライナ州グリーンズボロでは、4名の黒人大学生によりシット・インと称される新たな直接行動が始まった。飲食店の白人専用席に座り、注文が応じられるまで座り続けるというものである。座り込みは各地に広がり、同年末までに5万人が参加した。さらに、図書館、ホテル、公園などでも同様の抗議が行われた。
開かれた公園や夜間も影響するホテルならともかく、飲食店や図書館での座り込みが深夜までおこなわれるイメージをする人は少ないのではないだろうか。
もちろん辺野古座り込みにしても、工事を阻止するために早朝からおこなわれていたことは少し調べればわかるし、新型コロナ禍で中断したり縮小したことも報道されてきた。
「なんでここまで抵抗するのか、わかる?」 座り込み555日の辺野古レポート(上) | アイデアニュース
早朝6時前には人が集まっています。1日の座り込みのために会議をしたり、マイクなどの準備、椅子やプラカードを出したり、朝から裏方の仕事もたくさんあります。作業車両が入ってくるのがこの頃では朝、昼、午後と3~4回。座り込みの人が少ない時間帯を狙ってキャンプの中に入ろうとする車を止めようと、みんな暗いうちから座り込んでいます。
辺野古の座り込み6000日 市民ら決意新たに 抗議活動続ける - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト
座り込みは2004年4月19日、政府が辺野古沖の海底ボーリング調査を行った日に始めた。現在は感染防止対策の観点から、平日は午前中のみ少人数で抗議する。
もし辺野古の座り込みが将来の辞書に掲載されるとして、24時間つづけていないことをもって座り込みではないと評価されるとは思いがたい。