たきな「ちっちゃい千束がいます!!?」   作:リコリコ常連客になりたい

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 評価たくさんもらえて嬉しい~ズンチャズンチャ

 と喜びの舞を踊ったので初投稿です。

 心の中にロリを宿せ。イメージするのは、常に最強のロリ。

 そうやって千歳は書いています。






The Ordinary and The Extraordinary

 

 

 

 

 

 夜、千束のセーフハウスにて。

 真島やその仲間たちの脅威が去った今、部屋自体の仕掛けや生活用品などが一番充実しているということで「1号」と呼ばれているセーフハウスで千歳やたきなと共に生活している千束だったが、そんな彼女は今とあることに頭を悩ませていた。

 

「……うーん? うむむむ……」

「いったい何を悩んでいるんですか、千束。もう千歳は寝ましたし、私たちも寝る時間なんですけど」

「いやー、そうなんだけどさあ……」

 

 難しい顔でノートPCを前に首を捻る千束の下へ、千歳の寝かしつけを終えたたきながやってきた。

 最近、教育に良いということで寝る前に千歳に本の読み聞かせをしているたきなは、手に持っていた絵本を棚に戻すと千束の隣に腰を下ろし、どうやら彼女を悩ませているらしいノートPCを横から覗き込んだ。

 

「これは、リコリコの広報SNSアカウント、ですか?」

「お、おう……近いな」

 

 隣に座ったたきなの髪からふわりと漂ってくる香り。

 それが徐々に自分のものと似た香りになっていくことに言葉に出来ない気恥ずかしさと嬉しさを感じつつ、意外とこういう情緒に目敏いたきなにそれがバレないよう平静を取り繕いながら、千束は疑問に思っていたことを言葉にする。

 

「いやさあ、千歳が来てからこのアカウントの投稿の9割方に千歳の写真を添えて投稿してるんだけど」

「千歳はかわいいですからね。きっと広告効果も大きいはずです」

「そうそう、小さい頃の私に似てプリチーだからなあ千歳は。ちびっ子にリコリコ看板娘の座を明け渡すのには少し思う所が無いわけではないが……まあ、千歳効果で多少は客足が増えてくれるかな~とは狙ってたんだよね」

「……その言い方だと、まさか」

 

 嫌な予感がする、と眉根を寄せたたきなに、千束は深々と頷きを返しながら表計算ソフト──たきながリコリコの経営状況を把握する際に使用していたものを起動し、千歳の写真を投稿し始めてから今までの売上高の推移を呼び出した。

 

「なんと──リコリコの売り上げ、()()でっす!」

「馬鹿な、目が節穴の人たちばかりなんですか、世間は!?」

 

 それは、これまでの売り上げ──それもリコリコ経理担当のたきなによる徹底管理によって劇的に改善された後の売り上げよりもちょこっとだけ、本当にちょこっとした額の売り上げが上昇した喫茶リコリコの「現実」だった。

 てっきり増えすぎた結果の税金対策に頭を悩ませているものと考えていたたきなは、世間の人間たちの見る目の無さに憤慨し、ソファーから立ち上がらんばかりの剣幕で怒り始める。

 まさかここまで怒り出すとは思っていなかった千束は、どうどう、とたきなを宥めつつこれまでのSNSの投稿を振り返りながら反省点を探すことにした。

 店構えをヘッダーに設定し、店のロゴがアカウントのプロフィール画像である喫茶リコリコの広報アカウント。これまでも千束やたきなの日常風景や店の新商品の宣伝、時には雑誌に千束たちが載った事のアピールなども行っていた割と自由な運用をされていたアカウントだったのだが。

 千歳がリコリコに来てから、新しく店員となった彼女の紹介の投稿をしてから運用法が一変。

 千歳の接客を頑張る姿からリコリコの制服姿の千歳がはにかみ笑いでカメラにピースを向けている姿、千歳がまかないのおにぎりを美味しそうに頬張っている姿など、もはや「千歳の画像投稿アカウント」のような様相となっていた。

 千歳千歳千歳、たまに商品と千歳。その次にはまた千歳の画像……。

 ものの見事に「育児アカウント」のようになってしまっている喫茶リコリコの投稿履歴を厳しい視線でチェックしていた千束とたきなは、投稿した画像の精査を一通り終えると2人揃って大きなため息を吐き、同時に口を開いた。

 

「──どこが悪いのかさっぱり分からん!」

「全く問題はないはずなんですけど……」

 

 どこを見ても可愛さ満点の千歳の画像で溢れ、見るだけでQOLが上昇すること間違いなしの完璧な画像の数々のはずなのに、なぜ喫茶リコリコの売り上げに繋がらないのか。

 画像に問題は無かった(千束とたきな調べ)ため、次は投稿文が悪かったのではないかと投稿文とアクセス解析を行う千束たち。

 しかし、文面も所々に千歳の可愛さを一生懸命に伝えようとするあまり謎のポエムのようになってしまっている投稿があるだけで、どこにも問題があるようには見えない。

 完全に迷宮入りしてしまった「千歳広告効果低い問題」に頭を悩ませる姉馬鹿2人。

 さらにアクセス解析の結果、アカウントをフォローしている人数や投稿毎の反応の数自体は激増していることが分かり、2人を混乱の境地へと追いやるのであった。

 

「──っていう訳でさー。ウチの千歳ちゃんの魅力がイマイチ売り上げに繋げられてない訳なんですよ、おフキさん」

「誰がおフキさんだ、誰が」

 

 というやり取りがあった次の日。

 楠木の使いとして再びリコリコへやってきたフキにその話をした千束は、フキから馬鹿を見るような目を向けられた。

 

「言っちゃ悪いけど、馬鹿じゃないんスか?」

「あー!! 言ったなコイツー!!」

 

 否、セカンドリコリスであるサクラからも完全に馬鹿にされていた。

 情報共有自体はもう終えているため、フキたちがここに残っているのは昼の休憩を兼ねた待機だ。

 DA本部からの要請が来るまではリコリコでゆっくりしていこうと珍しく休みに乗り気なフキの視線の先には、ちょこまかと店内を動き回っては常連客たちの相手をする千歳の姿が。

 まるで生き急ぐようにリコリスとしての仕事に身を投じ続けていた戦友の変化を、千束はとても好ましく思っていた。もちろん、それと馬鹿にされている事は別なのだが。

 ぷりぷりと怒って見せる千束に呆れたと言わんばかりの表情を見せるフキは、自分のスマートフォンで喫茶リコリコの広報アカウントを見ながら彼女なりの分析を伝える。

 

「あのな、そもそも喫茶店の広報アカウントなんだろ、お前が言ってるこの喫茶リコリコって名前のアカウントは」

「そうですけど~? それが何か問題でも~?」

「今の投稿欄を見て、喫茶店の広報だなんて思う奴は1人もいない。精々変わったやり方で妹自慢をする馬鹿な女の写真投稿用アカウントだ」

「ようっし、言ったな貴様ぁ表に出ろ!」

 

 腕まくりをする仕草と共に入り口に向かって顎をしゃくって見せる千束(チンピラ)を無視して、スマートフォンを操作するフキ。

 今日は珍しく裏の世界も平和なのだろう、ファーストリコリスであるフキの力を必要とするような事件は発生していないようで、DA本部からの出動要請も来ない。

 たまにはこんな風に過ごすのも悪くないか、と目が合うたびにぱぁっ、と眩しい笑顔を浮かべる千歳を見つめながらフキはコーヒーを啜る。

 

「あとな、広報に千歳を使いたかったら『こんなに可愛い地上に舞い降りた天使が見れるのは喫茶リコリコだけ!』とか『もはや眩しすぎて視界が白く焼き付いて見えるレベルで尊い我らが光、千歳ちゃんと触れ合えるのは喫茶リコリコだけ!』とか、もっと広報に使えそうな文言はあるだろうが。なんだこの姉馬鹿丸出しの妹自慢しかしてない文章は」

「あの、今の例文は自分で考えたんスかね、フキさん」

「あ? 何だサクラなにか文句でもあるのか?」

「アッハイ、何もないっス」

 

 隣で千束スペシャルパフェを堪能していたサクラが、フキの考えた千歳のPR文を聞いて豆鉄砲を食らったような顔をするという一幕があったものの、フキの威圧感に押されて何も言うことが出来なかった。

 フキさんも徐々にリコリコに毒されてきてるなあ、と遠い目を浮かべてパフェを頬張るサクラ。

 尊敬するファーストリコリスの変化が良いものなのかどうかは今の彼女には判断できないが、どうかたきなや千束のようにはなってくれるなと願うのであった。

 

 

 

 

 

「しっかし、あの人たち、千歳ちゃんの心臓はどうやって解決するつもりなんスかねえ」

 

 フキとサクラが喫茶リコリコでゆっくりした、そのしばらく後のこと。

 DA本部からの要請が来たため店を後にしたフキたちが、銃撃テロを起こそうとしていたテロリストたちを無事に制圧した後の帰り道にて。

 現場の後処理をクリーナーたちに任せ、夜の街の哨戒に当たっていた道中でサクラはふとそんな疑問を抱いた。

 もちろん周囲に人の気配がないことは確認済みで、しかしどこでどう聞かれているか分からない外で機密情報について話し始めたサクラを睨みながらも、フキは続きを促した。

 

「あの人達、アラン機関には頼らないって言ってるじゃないスか。だったら、千束さんと一緒の病気に罹ってるらしい千歳ちゃんは、千束さんみたいにアラン機関から人工心臓の提供を受けられないという訳で……それだったら、一体どうするつもりなのかなあって」

 

 サクラの言った心配は、フキも心の隅で感じていたことだった。

 千束から事のあらましを聞いたため、今ではサクラも千束や千歳にまつわる情報──アラン機関やアランチルドレンの事を理解している。

 それでも、銃創などの応急処置に関して習っているのみで医学に関しては素人同然なフキたちにとって、今日も元気に接客を行っていた千歳の心臓が彼女の命においてどの程度の問題なのかがイマイチ理解し辛い所があるのだ。

 フキはもちろんのこと、意外にも小さな子供の相手が得意だったサクラは千歳との仲も良好で、彼女の命がこのままでは危ないとだけ知らされている今の状況は非常にやきもきとさせられるものだった。

 ……ただ、喫茶リコリコ所属のリコリスではないフキたちが、千歳にしてやれることは非常に少ない。そして、いつまでもその事に囚われ過ぎて、リコリスとしての本業で動けなかったら元も子もないのだ。

 フキは自分よりも上の位置にあるサクラの頭を少し背伸びして叩くと、突然の暴力に目を白黒させるサクラの前を行きながら答える。

 

「──さあな。あくまで部外者であるアタシたちが邪推したところで、リコリコにとってもアタシらにとっても何の得にもならないだろ。まあ千束の事だ、ああ見えて意外と考えてる奴だよ、安心しろ」

「フキさん……」

 

 あまり気にしていない風を装っているフキの背中を見て、サクラはかける言葉が見つからなかった。

 ……サクラは知っている。

 千束と別人であるという事を理解しているとはいえ、あまりにも過去の千束を思わせる容姿と持病を持つ千歳を前にすると、フキが少し悲しそうな表情をしていることを。

 アラン機関に頼らないと千束が言うたびに、どこかもの言いたげな顔を浮かべる事を。

 リコリスにしてしまえ。そうすれば、大手を振ってDAも、フキやサクラたちも彼女の生存のために動くことが出来る。

 そう言うのは簡単だ。しかし、それでは駄目なのだということはサクラでさえも理解できる。

 千歳がああやって無垢なままに在れるのは、千束やたきな、フキたちとは違い()()()()()()()()()()なのだ。

 そして、あの無垢な温かさが人の血を浴びることで濁ってしまうというのなら──。

 

「……正直な所。アタシ、今までリコリスの仕事が人のためになってるって聞いてもあんまり実感が無かったんスよ。この国の平和を守っている自覚はあったんスけど、やっぱり、どうにもリコリスってやつは人からの感謝を向けられない職業っスから」

「サクラ、お前」

 

 リコリスの基本武装であるサッチェルバッグ風の戦術武装鞄から拳銃を取り出すサクラ。

 唐突なサクラの告白に驚くフキも、既に拳銃を抜き放ちセーフティを解除。いつでも発砲できる態勢を整えていた。

 

「でも、千歳ちゃんみたいな小さな子たちが無垢なままで在るために、アタシたちリコリスが平和を守る必要があるってのなら──アタシたちが代わりに血を浴びるのもまあ、アリかなって思えてきたんス」

 

 サクラはそう言い終えると同時に──発砲。

 抑制器(サプレッサー)により抑制された発砲音と共に飛び出した銃弾は空気を裂きながら飛翔し、サクラたちの後方にいた男の太腿を貫いた。

 鮮血が散り、男の呻き声が人気の無い路地に響く。

 傍から見れば、ただサクラが凶行に及んだだけのようにも見える光景。しかし、それは膝を折った男が背後から拳銃を取り出したことでその印象を変える。

 

「貴様らァ……グ、ガ──!?」

「……ハハッ。そいつは違いない、なっ!!」

 

 サクラの言葉に獰猛な笑みを浮かべて同意を示したフキは、動脈を撃ち抜かれた興奮からか死なば諸共と言わんばかりの男の剣幕をものともせず、他のリコリスから「ゴキブリ」とも揶揄される独特の超低姿勢から一瞬で男の懐に潜り込んで男の腕を捻り上げ──その勢いのまま骨を折る。

 バキリという湿った破砕音と共に力の抜けた男の手から拳銃が零れ落ち、それを路地の端へと蹴り飛ばしたフキは血反吐を吐いた男の頭に照準を合わせ、頭と首と胴、計3発の発砲。

 サクラと同じく抑制器によって小さくなった発砲音が、男の聞いた最期の音となった。

 

「──()()()()

 

 フキの呟いたその言葉が、開戦の狼煙となったのだろう。

 彼女たちの周囲を囲むように現れた男たちが身に包むのは、フキたちリコリスとどこか似た印象を受ける制服。

 彼らの名は「リリベル」。DAの管理する治安維持エージェント「リコリス」と似て非なるエージェントたちであり──同業者であるはずのリコリスを狩る事もある、冷徹な男たちだ。

 とうとうきな臭さを隠そうともしなくなった多勢の相手を前にして、しかしフキとサクラに怖気づいた様子はない。

 

「サクラ。次リコリコで何食べるよ」

「ホットチョコパフェなんてどうっスか? なんかたきなの奴が出すの嫌がってるらしいんスよ、どんなゲテモノが出てくるのか気になるじゃないっスか!」

「お前……ホント趣味悪いな」

 

 まるで目の前の男たちが脅威ではないかのように気楽な様子で「次の予定」を話す少女たちに、リリベル達は逆に気圧された様子で1歩、後退る。

 そんな男たちにちら、と視線を向けたフキはただ一言だけ、声を掛けた。

 

「お前ら全員……邪魔だ」

 

 春川フキ。

 史上最強と名高いリコリスである錦木千束の影に隠れることが多いが、彼女もまた赤い制服を身に纏うファーストリコリスの1人。

 セカンドやサードが束になろうと彼女1人に敵わないのはもちろんの事、軍事訓練を受けた男性ですら性差による力の差を覆して叩きのめすほどの猛者だ。

 そして彼女の隣にいるサクラも、たきなの後釜とはいえファーストの補佐を務める程の精鋭。

 

「アタシらがまたリコリコに行くためにも……アンタらにはここで死んでもらうっス」

 

 開戦を告げる小さな発砲音が、サクラの拳銃から放たれた。

 ──平和な国の片隅で、今日も硝煙の香りと血飛沫が舞う。

 

 

 

 

 

 









 きな臭い、きな臭いのぉ

 隠れていても朕の鼻は誤魔化せぬぞ~?




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