英国の公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルは10月4日、バリー・オサリヴァン英語評価研究開発部門主席らとの記者懇談会を開いた。オサリヴァン氏は、東京外国語大学と共同開発した英語スピーキング試験の例を紹介し、「日本の状況は確実に変わり、変化が可能な状況になった」と評価。同時に、英語4技能を評価する試験では「透明性」と「オープンであること」、そして人々の理解を得ることが重要だと語った。
文科省は今年8月、「大学入学者選抜における好事例集」を公表し、その中で東京外国語大学がブリティッシュ・カウンシルと共同で英語スピーキング試験を開発・実施した例を取り上げた。オサリヴァン氏はこの試験について「大きな問題なく実施でき、学生の満足度も高いことが分かった。他の大学にも広げていきたい」と意気込んだ。
オサリヴァン氏はまた、東京外国語大学のスピーキングテストのベースとなった同団体のテスト「Aptis(アプティス)」で、評価の質を担保するための取り組みを紹介。「実施する上では、評価者がプロフェッショナルであり、研修をしっかり受けていることや、さらにその評価者をきちんとモニタリングできることが大切になる。それに加えてテクノロジーの要素、例えばAIなどを導入していけば、両方の側面から採点ができるはずだ」と語った。
さらに「スピーキングテストでは、開発の段階できちんと透明性を持って、全てを明確にすることが大事だ。どの部分で点数が得られ、誰が評価し、どのような条件の下でテストが行われるかを、透明性を持って学生に伝えなければならない」と指摘。同団体では、評価方法のマニュアルや評価者の研修内容などを公開していることを紹介した。
また、日本でのスピーキングテスト導入の課題について問われたオサリヴァン氏は「私が一番、課題だと思うのは、一般の人々の賛同を得て共に前に進めるかだ。反対している人たちが、何を心配しているのかをしっかり理解する必要がある。テストそのものに反対しているのではなく、コストはどうか、誰が受験できるのか、透明性は大丈夫か、といった具体的な心配事があるように思う」と応じた。
東京都教育委員会が実施しようとしているESAT-Jは、全ての都立高校受験者を巻き込んだ大規模な失敗例となるのでしょうね。