「#KuToo」運動で知られる石川優実さんの著書をめぐる訴訟で、最高裁は上告を棄却及び不受理とした。ツイッターの投稿であっても、一般の著作物の引用と同じ法理が適用されることが確認された形だ。
ツイートの引用基準は一般の著作物と同じ
本件では、石川優実さんの著書『#KuToo 靴から考える本気のフェミニズム』におけるツイートの引用が著作権法に違反しているなどとして、出版社である現代書館と石川さんに対し、匿名のツイッターユーザーが出版差し止めと損害賠償を求めていた。
最高裁は9月29日付けで原告の上告を棄却及び不受理とし、石川さん側の勝訴が確定した。
10月3日、判決を受けて石川さんと弁護士らが開いた会見で、石川さんの代理人を務めた神原元弁護士は、
「最高裁は原告の訴えを退けた東京地裁、知財高裁の事実認定をそのまま認めている。ツイートであっても一般の著作物と同じ基準で引用できるということが改めて確認された」(神原さん)
と話した。
勝訴でも終わらないバッシング、なぜ
同じく石川さんの代理人である太田啓子弁護士は、一審・二審ともに判決をインターネットやSNSで公開しているものの、恣意的な解釈やバッシングが絶えない現状を指摘。
「判決が出ても全く終わらないのが本件の特徴だ。誤った解釈を指摘してもなお、同じ主張を繰り返す人が絶えない。ミソジニーや物言う女性への苛立ちを感じる」(太田さん)
石川優実さんも訴訟が提起されてから(2020年8月)のおよそ2年間を振り返り、
「ずっと誹謗中傷が続いた。この訴訟で私に悪いイメージを持った人は多いと思うし、信頼を失ったと感じる。私のことを応援してくれる人にも『やっちゃったなと思った』と打ち明けられたこともあった。
この訴訟の本質は女性蔑視だと思う。こうして判決が出たことで、おかしいことがおかしいと認められてよかった」
と語った。
また石川さんの代理人弁護士らは、本件はある弁護士が当該書籍を著作権法違反だと繰り返し主張したことに起因すると指摘。別の弁護士による誹謗中傷も問題視しており、謝罪含め何らかの対応を求めることを検討しているという。
(文・竹下郁子)