正しい眠りのパターンは1つだけしかなく、それは、自然に目覚めるまで7~8時間続けて眠り続けることだという思い込みは、よくある誤解です。そんなに長く眠り続けるのは無理だという方は、1晩に2回眠る方法を試してみてはいかがでしょう。睡眠を研究しているMelinda Jackson博士とSiobhan Banks博士が科学サイト『The Conversation』で述べているように、長時間続けて眠るという行為は、人類が長らく続けてきた唯一の睡眠パターンではありません。実のところ、夕暮れ時から何時間か眠り、真夜中に起きて少し活動し、そのあと朝まで再び眠るのが標準だった時代が、かつてはあったかもしれないのです。
このような睡眠スケジュールは「二相性睡眠」と呼ばれています。夜に眠り続けることが困難な人たちにとっては、いったん目を覚ましたらそこで起きるほうが理にかなっているかもしれないのです。
人類学者たちは、産業革命前のヨーロッパでは、二相性睡眠が標準と考えられていたことを示す証拠を発見しました。入眠は、定められた就寝時刻ではなく、やるべきことがあるかどうかによって決定されていました。
歴史学者であるA. Roger Ekirch教授の著書『At day's close: night in times past』(1日の終わりに:かつての夜の過ごしかた)によると、この時代の各家庭では、人々は夕暮れ後に就寝し、数時間後に起きて1~2時間活動し、そのあと夜明けまで再び睡眠をとっていたようです。
夜中に起きている時、人々はくつろいだり、自分が見た夢についてじっくり考えたりしていました。月やオイルランプの明かりをたよりに、縫い物や薪割り、読書などをする人もいました。
言うまでもありませんが、よく眠れているし、日中に疲れが出ることもないのであれば、わざわざ睡眠パターンを変える理由はありません。でも、必要な睡眠を取るのに苦労しているという方は、画一的なモデルが自分に本当に合っているのかを考えてみる価値はあるのではないでしょうか。
もし真夜中に何度も目を覚ますようなら、天井をじっと見つめているよりも、いっそのこと起きて何かするほうが良いかもしれません。
Did we used to have two sleeps rather than one? Should we again | The Conversation via Inc.
Eric Ravenscraft(原文/訳:阪本博希/ガリレオ)
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