大阪近鉄バファローズの命名権売却騒動を発端として、オリックスブルーウェーブと大阪近鉄バファローズによる合併騒動が起こり、ついにはストライキにまで発展したプロ野球史に残る出来事だった。詳しい経緯は割愛するが、プロ野球ファンを蔑ろにした合併騒動は近鉄バファローズ消滅という悲しい結末を迎えることになった。後述するが、近鉄バファローズ消滅は西武ライオンズファンの私からしても悲しい出来事だった。さらに、ファン、現場の選手やコーチや監督、球団首脳との温度差が余りにも激しいことを痛感した。これをきっかけに選手もまた、プロ野球はファンあってこそ成り立っているものだと痛感しただろう。
実を言うと、観戦日誌でオリックスバファローズを「バファローズ」と表記せずに「オリックス」としているのは、この合併騒動に起因している。
いつも観戦日誌でオリックス戦を投稿するときに、
オリックスバファローズファンから
「なぜバファローズと表記しないんだ。」
と言われるのではないかと私自身多少の罪悪感はある。
その頃、オリックスの宮内義彦社長のやり方が私には納得出来ないことが多々あった。下位指名選手に契約金払わない、結果を出さないと情け容赦無く戦力外にする、ファンの気持ちを汲み取らずに近鉄バファローズと無理矢理合併を突き進める、だから弱体化するんだよ!と思った。決してオリックス球団を毛嫌いしてるわけではない。今ではファンサービスに頑張っていると感じているから。
読売ジャイアンツのゴリ押し、オリックス球団の無理矢理な合併、近鉄バファローズ消滅、これをきっかけにプロ野球ファンを辞めようと本気で思った。今は辞めなくて良かったと思っている。ライオンズファン仲間だけでなく、他球団のファンとも野球好きとしてプロ野球を様々な視点で話せるようになったからだ。
今でも近鉄バファローズ消滅で終わらせたことには満足してない。今でも私の心には近鉄バファローズは現存している。以下、近鉄バファローズへの想いを述べさせていただく。
1982年〜1994年の西武ライオンズ黄金時代における最大のライバルチームが近鉄バファローズだった。投手力、堅実な守備力、足を絡めた攻撃が持ち味の西武ライオンズに、勢いづけると止められない猛攻撃の近鉄バファローズが対抗するという構図があった。ライオンズとバファローズとの優勝争いが1980年代後半から1990年代前半までのパ・リーグの面白さだったと思う。また、優勝するときにはドラマティックに、優勝出来そうなときには失速するといった人間臭さが近鉄バファローズにはあった。そんな痛快なところが好きになり近鉄バファローズファンになった人は私の周りに多い。そんな近鉄バファローズが消滅すると聞いて悲しさを感じずにはいられなかった。
西武ライオンズの黄金時代は、選手個々の実力だけでなく、近鉄バファローズ、阪急ブレーブスなどの強いチームによって支えられたと思っている。
平成時代が間もなく終わりを迎える。令和時代に近鉄バファローズのような球団消滅の悲劇が起こらないように、プロ野球ファンのひとりとして強く願う。
私は忘れない、近鉄バファローズという豪快さと脆さを兼ね備えた人間味あふれるプロ野球球団があったことを。
おいねセレクション 近鉄バファローズベストナイン
(1989年〜2004年)
監督 仰木彬
先発投手 阿波野秀幸
エースは野茂英雄だろうという意見も否定しないが、優勝に貢献したこともあり阿波野秀幸氏を推す。阿波野、野茂が両輪となって活躍したなら西武ライオンズ黄金時代にもう1回優勝していたのではないかと思う。他には、野茂英雄、高村祐、山崎慎太郎、小野和義、岩隈久志、パウエル、バーグマンあたりが出てくる。
中継ぎ投手 佐野重樹
抑え投手 赤堀元之
怪我が無かったら大魔神・佐々木主浩と肩を並べる抑え投手として名を連ねたはずだ。忘れている方も多いが、1992年には抑え投手ながら最優秀防御率のタイトルも獲得した。他には、吉井理人、大塚晶則が出てくる。別の意味ではヘクター・カラスコが記憶に焼き付いている。
捕手 山下和彦
1970年代の梨田昌孝、有田修三あたりから捕手二人体制になり、一人に絞るのが難しかった。リーグ優勝に貢献したこともあり選んだ。他には、光山英和、古久保健二、的山哲也、藤井彰人と他球団なら即正捕手になれる逸材ばかり。
一塁手 石井浩郎
二塁手 大石大二郎
俊足巧打で守備も一級品。西武ライオンズの辻発彦が居なかったら1980年代、90年代最高の二塁手になっていたはず。新井宏昌との1・2番は西武ライオンズ黄金時代に驚異となった。他には、大島公一、水口栄二、高須洋介と、なかなかの好選手が揃っている。
三塁手 中村紀洋
遊撃手 武藤孝司
左翼手 新井宏昌
今振り返っても南海ホークスは何でトレードで放出したのか訳分からない。1987年に記録した184安打はイチローに抜かれても色褪せないはず。大石大二郎との1、2番コンビは驚異となった。他には、スチーブンス、中根仁になるだろう。
中堅手 タフィー・ローズ
ホームランバッターのイメージを持たれる方も多いが、私は中距離ヒッターだと思っている。近鉄バファローズは不思議と優良外国人選手が出てきた。低めの球を掬い上げる打撃もローズの魅力だった。他には、村上隆行、大村直之になるだろう。
右翼手 礒部公一
指名打者 ラルフ・ブライアント
1988年7月3日ナゴヤ球場の対西武ライオンズ戦に3発のホームランを放ってから、驚異と化した気がする。1989年10月12日の4発といい、ホームランが代名詞の選手だった。「三振かホームランか」の長距離打者の典型的な選手でもあった。他には、山本和範、淡口憲治とシブい選手が浮かび上がる。