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人間の体は約60兆個もの膨大な数の細胞から成り立っていますが、コレステロールはそれらの細胞を構成する細胞膜の材料であり、細胞膜を強くし、細胞を支える役割を担っています。
また、コレステロールは、生体機能を調節するホルモンの材料でもあり、副腎皮質<ふくじんひしつ>ホルモン、男性ホルモンや女性ホルモンなどの重要な構成成分です。
さらに、食事から取り入れた脂肪などの消化吸収を助ける胆汁酸も、コレステロールを材料として肝臓で作られています。
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このように、悪者と思われがちなコレステロールですが、健康を維持するために必要不可欠なものなのです。コレステロールが不足すると、免疫力が低下します。
成人の体内には、約100~120gのコレステロールが存在し、その一部が新しいものと入れ替わることによって、生体機能が維持されています。
健康を保つためには、成人の場合1日1~1.5gのコレステロールが必要とされ、そのうちの70~80%は肝臓などで合成されます。残りの20~30%を食事からとっています。
私たちの体の中のコレステロールは、下のようなバランスで合成・吸収されています。
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人の体内にあるコレステロールは、脳と筋肉と肝臓に各3割ずつ、残りの1割が他の臓器や血液中にあります。
食事からコレステロールを摂取し過ぎると、体は体内で合成する量を減らし、余分なコレステロールを体外へ排出して、コレステロール量が常に一定に保たれるように調節しています。
食事からとる量が多過ぎたり、加齢などで体内の調節機能が低下したりすると、コレステロール量のバランスがくずれてしまいます。そのため、食生活を中心とする自己療養が大切になるのです。- 3大栄養素のひとつである脂質のうち、誘導脂質に属する脂質の一種。化学式はC27H46Oで、構造式は亀の甲が連結した形となる。
- 体内で合成されるコレステロールは、おもに肝臓で作られますが、ほかに、小腸、副腎皮質、筋肉などでも少量が作られています。 コレステロールが合成される時の材料は、脂質や糖分が分子レベルにまで分解されたアセチルC0Aという物質で、その後、15以上の複雑な反応段階を経て、コレステロールが合成されます。
- 胆汁酸は、肝臓で作られる胆汁(胆汁酸、コレステロール、胆汁色素、リン脂質、水分からなる消化液。胆嚢<たんのう>で貯蔵されます)に含まれる有機成分のひとつです。 脂質や脂溶性ビタミンの消化・吸収を行うため、その材料となるコレステロールが不足すると脂質代謝にも影響を及ぼします。